就労継続支援B型に特化 | 宮城・東北の指定申請・実地指導対策サポート

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<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(物件選定編)⑬>物件選定・用途変更<仙台市版>

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型事業所を開所する際、もっとも重要なテーマが “物件選定” です。

そして、物件選定の裏側には必ず「用途判定(建築基準法の用途区分)」 が関わります。

・見た目が良い
・家賃が安い
・広さがちょうどいい

…だけで選ぶと、あとで必ず問題が発生します。

物件選びは「用途判定の可否」→「消防」→「設備基準」の順でチェックすることがもっとも重要です。
今回は“物件選定の判断基準+用途判定の正しい順序” をまとめていきます。

 1. B型事業所にに向いている物件

物件候補が出てきたら、まずはこの3つをチェックします。

✔ ① 面積・レイアウトが適切か
・訓練・作業室
・相談室
・多目的室
・トイレ
・事務室
・廊下幅
特に訓練・作業室は「成人1人あたり 3.3㎡」 が仙台市の目安です。
例:利用定員20名なら
→ 66㎡程度が必要になります。
✔ ② 立地・アクセスは問題ないか
・最寄駅・バス停
・駐車場
・送迎の動線
・近隣クレームのリスク
B型事業所は地域住民との関係も重要です。
✔ ③ 建物の構造・築年数が用途判定に耐えられるか
・検査済証の有無
・鉄骨・鉄筋コンクリート造か
・床の耐荷重
・天井高
・配管・電気容量
ここが甘いと、あとで工事が高額になりがちです。
2. 用途判定とは?
物件を選ぶ前に必ず知っておくべきこと
建築基準法では、建物は “用途(使い方)” によって分類されているというルールがあります。
・事務所
・店舗
・工場
・学校
・住宅
・福祉施設(通所施設)
※就労継続支援B型事業所は一般的に「福祉施設(通所)」扱い。
つまり…事務所や店舗として使われていた物件がそのまま“B型の通所施設”として使えるとは限りません。
これが物件選びで最も誤解されやすい点です。
 
3. 用途変更が必要かどうかは、この順序で判断する

物件契約をする前に、必ず次の3ステップを踏みます。

STEP1|建物の“元々の用途”を確認する(最優先)

物件資料・登記簿に書かれている内容ではなく建築確認申請書検査済証 で確認するのが原則です。

これらは、不動産会社ではなく行政(建築指導課)に保存されている正式資料 です。

<元の用途の目安>
・事務所 → 用途変更の可能性あり(要注意)
・店舗(物販・飲食) → 消防設備不足が多く慎重な判断が必要
・学校跡・公共施設跡 → 通所系は適合しやすい
・福祉施設(デイサービス等)跡 → 原則そのまま使用可能
※「元用途」が何であるかにより、用途変更の必要性・工事量が大きく変わります。
 STEP2|用途変更の要否は “用途・構造・収容人数” の組み合わせ

建築基準法には「〇名を超えると用途変更が必須」という一律の基準はありません。

しかし実務では、“福祉用途として使用する場合、収容人数(利用者+職員)により避難・防火基準が変わるため、用途変更の判断材料になる”というのが正確です。

<判断材料となる項目>
・元の用途(STEP1)
・建物の構造(木造/鉄骨/RC)
・階数(1階か2階か)
・避難経路の確保状況
・収容人数(利用者+職員)
・消防設備の有無
仙台市では福祉施設(通所系)を設置する場合、25〜30名規模になると用途変更・増設工事が必要になる可能性があります。
あくまで行政判断になります。
STEP3|建築指導課・消防署へ“事前協議”
仙台市の新規指定申請では物件契約前に建築・消防の事前協議が実務上必須です。
<相談時に提出する主な資料>
 平面図が必要になります。

4. B型事業所に向いている物件例

 向いている物件
・福祉施設の居抜き
・医療系テナント(クリニック跡など)
・テナントビルの1階
・平屋の広い物件
・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物
向いていない物件
・住宅の1階(用途変更不可に近い)
・店舗跡(消防設備不足が多い)
・検査済証のない古い木造
・廊下幅が狭い物件
・駐車場が確保できない物件


次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(物件選定編)⑭>行政の事前相談前に見るべきポイント

2025年11月21日 19:24

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑫>法人登記後に必要な“開業準備手続き”とは

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こんにちは、行政書士の大場です。

法人の設立登記が完了すると、「これでスタートできる!」と思われがちですが、実はここからが 開業準備の本番 です。

B型事業所の開所に向けては、登記後すぐに進めるべき行政手続き・事務準備が複数あります。

今回は、法人登記後に必ず行うべき“開所までの初動タスク” を整理していきます。

 1. 法人口座の開設(最優先)

B型事業所の開所では、国保連からの給付費の振込先が必須になるため、法人口座の準備は最優先事項 です。

<必要書類>
・登記事項証明書
・法人印鑑証明書
・代表者の本人確認書類
・賃貸契約書(本店所在地)
※障害福祉は審査が慎重になる銀行もあるため、口座開設は早めに動くのが鉄則です。

 2. 社会保険・労働保険の加入

職員を雇用する前に
社会保険(健保・厚生年金)
労働保険(労災・雇用保険)
への加入が必要です。

<提出先>
・社会保険 → 年金事務所
・労働保険 → 労働基準監督署/ハローワーク
<注意>
B型事業所では職員の雇用時期が審査対象になります。
雇用契約書・勤務時間の整合性も後に提出するため、「いつ誰を雇用するか」のスケジュール管理が重要です。

3. 事業用の賃貸契約(物件確定)

登記後は、B型事業所として使う「事業所物件」の契約を進めます。
この段階で、
・建築基準法の用途変更
・消防設備の確認
・平面図の整備
が必要になるため、物件契約 → 図面作成 → 建築・消防協議の流れをスピーディーに動かす必要があります。

4. 税務署・市区町村への届出

法人として適切に運営するための税務手続きです。
<税務署へ>
・法人設立届出書
・青色申告承認申請書
<県税事務所・市区町村へ>
・法人設立届

 5. 会計ソフト・帳簿体制の準備

B型事業所は「給付費+生産活動」の複数会計が必要となります。
そのため、
・給付費会計
・生産活動会計
を分けて管理する必要があり、開業前に 会計ソフトの設定 を行っておくのが理想です。

6. 法人印鑑の管理・印鑑証明の取得

法人印鑑を作成したら、登記後すぐに 法人印鑑証明書 を取得できます。
これは、
・賃貸契約
・銀行
・行政手続き
で頻繁に使うため、最低3通は取得しておく のが実務的におすすめです。

 7. 開所に向けた“指定申請手続き”の準備

ここからが本番です。
<B型事業所開所に必要な主な準備>
・運営規程の作成
・平面図・設備一覧の作成
・管理者・サビ管の要件確認
・協力医療機関の確保
・事業計画書の作成
・収支予算書の作成
・勤務形態一覧表の準備
・加算要件の設計
・利用契約書・重要事項説明書の作成
法人登記が終わると、ここから事前相談を経て申請書の作成・提出などがスタート します。


次回ブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(物件選定編)⑬>物件選定・用途判定<仙台市版>

2025年11月21日 18:54

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑪>法人印鑑の作り方

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こんにちは、行政書士の大場です。

法人を設立する際には、定款や登記と並んで欠かせないのが「法人印鑑」の準備です。
法人実印・銀行印・角印をどのように作るかは、その後の登記、銀行口座開設、契約事務の基盤になります。

今回は、B型事業所開所にもそのまま使える法人印鑑の種類と最適な刻印内容の基本 を、わかりやすく整理していきます。

1. 法人印鑑には“3種類”ある

法人印鑑は、以下の3つが基本セットです。

① 法人実印(代表者印)

法務局に登録する最重要の印鑑です。

② 銀行印

法人名義の銀行口座の登録印です。

③ 角印(社印)

領収書・請求書・見積書に押す印です。

2. 法人実印(代表者印)の刻印内容

法人実印は、登記に使われる「法的な印鑑」です。

✔ 刻印内容の基本形

会社名(正式名称)+代表者印

たとえば

・株式会社あおば
「株式会社あおば 代表取締役之印」

・合同会社みちのく
「合同会社みちのく 代表社員之印」

・一般社団法人ひかり
「一般社団法人ひかり 代表理事之印」

✔ 法人ごとの正しい表記(重要)
法人種類 正しい刻印表記の例
株式会社 代表取締役之印
合同会社 代表社員之印
一般社団法人 代表理事之印
一般財団法人 代表理事之印

※「之印(のいん)」は正式な印鑑の表記。

✔ 実務で最も多い失敗
・代表者の肩書きを間違える
・カタカナ・英語表記の会社名を省略してしまう
・株式会社の位置(前株/後株)を間違える
・法人名が長すぎて読めないデザインにする
法人印鑑は一度作ると10年以上使うため、絶対に妥協してはいけない部分です。

 3. 銀行印の最適な刻印内容

銀行印は金融機関で使われるため、読みやすく、簡潔であることが重要です。

✔ 最適な刻印内容

法人名のみ

例:

・株式会社あおば
→ 「株式会社あおば」

・一般社団法人あおば
→ 「一般社団法人あおば」

余計な情報(代表取締役、住所など)は不要です。

✔ 注意点

・実印と銀行印はサイズを変える(同一印と誤認されないように)

・ゴム印は不可(銀行では受け付けない)

4. 角印(社印)の刻印内容の

角印は、事業で最も使用します。

✔ 最適な刻印内容

法人名+「之印」または「印」

例:

・「株式会社あおば 之印」
・「一般社団法人ひかり 印」
※角印は正式な法的効力はありませんが、請求書・領収書の信頼性が大きく上がります。

 5. 実務で最適な“書体”の選び方

法人印鑑には3種類の書体があります。

✔ 篆書(てんしょ)体

もっとも一般的で、変造されにくい最も推奨する書体

✔ 印相体

重厚で力強い印象ただし読みづらい

✔ 古印体

読みやすいがセキュリティは低め

法人実印は「篆書体」が最適

銀行や法務局でのトラブルが少ないため、実務では篆書体が最も安定しています。

6. B型事業所開所の実務での印鑑の使い分け

B型事業所では、印鑑を次のように使い分けます。

✔【法人実印】
・法務局の登記
・賃貸借契約
・金融機関との重要契約
✔【銀行印】

・法人口座の開設

・請求(国保連)口座の登録

・自動振替の登録

✔【角印】

・重要事項説明書
・利用契約書
・請求書・領収書
・事業所内文書

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2025年11月21日 17:52

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑩>代表者の印鑑証明・役員構成・欠格事由の注意点

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型事業所の開所を目指して法人設立を進める際、書類の中で最も見落としが多いのが、

・代表者の印鑑証明書
・役員構成
・欠格事由の確認

この3つです。

どれか1つでも満たしていないと、法人設立が進まず、結果としてB型事業所の指定申請が遅れる ことになります。

今回は、行政書士として実務で最も重要だと感じる“見落とさないための3つの注意点” を整理します。

 1. 代表者の印鑑証明書(法人設立で必須)

法人設立で使う印鑑証明書は、ただの身分証代わりではありません。
「代表者が確かにその印鑑を使う意思がある」ことを証明する法的書類として扱われます。
✔ 必要なのは“個人の実印”の印鑑証明書
・株式会社 → 取締役(特に代表取締役)必須
・一般社団法人 → 理事の印鑑証明書必須
・合同会社 → 代表社員の印鑑証明書必須
✔ よくある間違い
・マイナンバーカードを持っていればOKと思っている
・古い印鑑証明(3か月以上前)を提出してしまう
・実印登録をしていない印鑑を使おうとしている
✔ 実務ポイント

印鑑証明書の期限は3か月以内のものが安全。
印鑑の登録がまだなら、法人設立前に必ず登録する。

証明書がないと、定款認証も登記申請も止まります。

2. 役員構成の注意点(B型事業所の指定審査に影響)

法人設立では、“役員構成” が非常に重要です。

特にB型事業所の開所では、役員とスタッフ(管理者・サビ管)が兼務可能か?
という質問が多いのですが、ここは慎重に判断します。

✔ 法人ごとの最低役員人数
法人種別 最低人数 備考
株式会社 取締役1名でOK 最もシンプル
合同会社 社員1名でOK 代表社員必要
一般社団法人 理事1名+社員2名(実質3名) ここを勘違いしやすい

※一般社団は「社員」と「理事」が別概念です。

 3. 欠格事由の確認(最も見落とし厳禁の項目)

欠格事由は、特定の条件に該当すると、そもそも法人の代表者・役員になれないルール です。
これは障害福祉サービスだけでなく、会社法・一般社団法人法・社会福祉法など、複数の法律で規定されています。
代表例は以下のとおりです。
✔ 法人の役員になれない欠格事由(抜粋)
・成年被後見人・被保佐人
・破産手続開始の決定を受け復権を得ない者
・禁固以上の刑で一定期間を経過していない者
・暴力団関係者
・福祉サービスの業務停止・取消処分を受け、一定期間経過していない者
・社会福祉法第59条の「欠格条項」に該当する者
✔ 仙台市の指定申請でも提出する
仙台市では、申請書に 「欠格事由に該当しません」 という誓約書(参考様式8)が必要です。
そのため…欠格事由に該当していないか、法人設立前に全役員を確認する必要があります。

欠格事由は「提出後に発覚」すると取り返しがつかないため、法人設立前の確認が必須です。

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2025年11月21日 17:01

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑨>法人設立に必要な書類一覧

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こんにちは、行政書士の大場です。

仙台市で就労継続支援B型を開所するには、必ず「法人格」が必要 です。

しかし多くの方が最初にぶつかる壁が、
「法人をつくるには何を揃えればいいの?」「株式会社?合同会社?一般社団法人?違いが分からない…」「必要書類が多すぎて、どれを準備すべきか混乱する」という“法人設立の書類問題”です。

そこで今回は、B型事業所開所に必要な“法人設立の書類をまとめました。

1. 最初に準備すべき「本人系書類」(法人共通)

法人設立でまず必要になるのは、あなた自身(発起人・役員)の情報です。

□ 1. 本人確認書類
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
□ 2. 個人実印・印鑑証明書
株式会社・一般社団法人では 役員全員の印鑑証明が必須
合同会社は代表者のみでOK
□ 3. 法人印鑑(3点セット)
・法人実印
・銀行印
・角印(任意だが便利)
□ 4. 資本金の入金記録

・通帳コピー(表紙・1〜2ページ+入金ページ)
※一般社団法人は資本金の概念がないため不要。

□ 5. 本店所在地の資料
・賃貸契約書
・住所を自宅にする場合は住民票記載の住所

2. 定款作成に必要な情報

定款は法人の“憲法”です。

□ 法人名(商号)

□ 本店所在地

□ 事業目的(B型はここが最重要)

必ず入れる文言:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」

仙台市は“目的欄”の審査が厳しいため、少しでも不備があると補正になります。

□ 資本金の額(株式会社・合同会社)

□ 決算日

□ 役員構成(代表者・理事・取締役)

□ 公告方法(電子公告/官報など)

3. 法務局に提出する書類

法人の種類によって必要書類が変わります。
分かりやすく3つに分類しました。

🔵 【株式会社】に必要な書類

□ 定款(公証役場で認証)

□ 発起人決定書

□ 設立時取締役の就任承諾書

□ 取締役の印鑑証明書

□ 資本金払込証明書

(通帳コピー添付で可)

□ 役員名簿

□ 設立登記申請書

□ 登録免許税(最低15万円)

□ 本店所在場所決議書

(定款に住所が書かれていない場合)

□ 印鑑届書/印鑑カード交付申請書

🟢 【合同会社】に必要な書類

□ 定款(公証役場認証不要)

□ 社員名簿

□ 業務執行社員の就任承諾書

□ 資本金払込証明書

□ 設立登記申請書

□ 登録免許税(6万円)

□ 本店所在場所決議書

□ 印鑑届書/印鑑カード申請書

🟣 【一般社団法人】に必要な書類

□ 定款(公証役場で認証)

□ 設立時社員総会議事録

(社員は最低2名必要)

□ 理事の就任承諾書

□ 社員名簿

□ 理事名簿

□ 設立登記申請書

□ 登録免許税(一律6万円

□ 印鑑届書/印鑑カード申請書

4. 法人口座開設で必要になる書類(銀行審査用)

銀行審査は年々厳しくなっています。
特に“障害福祉サービス”は慎重に扱われます。

□ 登記事項証明書

□ 法人印鑑証明書

□ 事業計画書

□ 賃貸契約書

□ 代表者の本人確認書類

□ ホームページや会社案内(求められることが多い)

次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑩>代表者の印鑑証明・役員構成・欠格事由の注意点<仙台市版>

2025年11月21日 16:43

デジタル印刷機の展示会へ

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こんにちは、行政書士の大場です。

本日は、お客さま(B型事業所の経営者)と共に仙台で開催された印刷関連の展示会へ行ってきました。
就労継続支援B型事業所の生産活動としてのデジタル印刷事業の導入に向け、実機を見て、印刷品質・作業動線・必要となる設備要件などを具体的に確認できました。「実際に触れてみるとイメージが一気に固まる」そんな一日でした。


多分、東北初となる生産活動としてのデジタル印刷事業の立ち上げに関わらせていただいています。
現場が新しい挑戦を始めるその瞬間に立ち会えるのは、本当にワクワクしますし、行政書士としてサポートできることに心から幸せを感じています。制度面・手続き・設備要件、研修、運用まで、これからもしっかりバックアップしていきたいと思います。


 

2025年11月21日 11:50

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑧>資本金はいくら必要か?

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型事業所開所の相談を受けると、必ず聞かれる質問があります。
「資本金(資金)は、いくら用意すればいいですか?」
結論から言うと・・・


 

 資本金=最低でも100万円、理想は300〜500万円

「1円から株式会社は作れます」と言われますが、それは法律上可能なだけであり、B型事業の現実には全く合いません。
仙台市のB型事業所を開所するには、資本金(=開所資金)は次の3つの理由で非常に重要です。
1,物件契約(家賃・保証金)
2,開所までの運転資金
3,生産活動の初期投資(必要な場合)
さらに
資本金の額は、実は開所後の「工賃計算の構造」にも影響します。
今回はこれを整理していきます。

資本金とは?

→ かんたんに言うと「会社が最初に持っているお金」

もっと正確に言うと…
会社を作るときに、会社の“お財布”に入れるお金
このお金を使って、会社は最初の運営を始めます。

これが資本金です。

  資本金は“あなたの個人のお金”ではなく、会社のお金になる

会社をつくるとき、
たとえば50万円を資本金として入れたら、
あなたの個人口座のお金ではなく会社のお金になります。
あなたが勝手に使ってはいけません。
会社の運営や設備費、家賃、仕入れ、人件費など、事業のためだけに使えるお金です。

資本金の役割は3つ

資本金には3つの大きな役割があります。

① 会社の“最初の運転資金”

B型事業所の場合

・開所までの家賃
・スタッフ給与
・備品代
・申請準備

これらは工賃も給付費も入ってこない時期に発生します。

この期間を支えるのが資本金=最初の資金です。

② 会社の“信用力”を示すお金

資本金が多いほど、周囲からの信用が上がります。

・不動産会社(物件契約の審査)
・銀行(法人口座開設)
・取引先(印刷・資材の掛け取引)

これらは資本金を見ています。

③ 設備投資・生産活動の初期費用になる

B型事業所では、生産活動が工賃の基盤です。

・印刷機
・パソコン
・厨房設備
・作業机・棚
・初期材料費

こうした初期投資はすべて資本金から出します。

資本金はいくら必要?

【最低ライン】100万円
・法人設立(約20万円)
・賃貸の保証金(家賃1〜2ヶ月)
・火災保険
・備品(机・PC最低限)
などをギリギリまかなえるレベルです。
実務では「開所はできるが、かなり苦しい」パターン
【推奨ライン】300万円
もっとも現実的で安全なライン。
・家賃2〜3ヶ月分の保証金
・事務所備品
・通信・ネット環境
・書類印刷費(40枚分の印刷・郵送等)
・開所までの運営費
開所準備は売上がゼロなので、最低3ヶ月の運営資金が必要です。
【理想ライン】500万円
以下のような“初期投資型の生産活動”をするなら必須です。
・印刷機事業
・菓子製造設備
・農作業設備
・物販(ネットショップ開業含む)
特に「印刷」や「食品製造」は設備費がかかるため、500万円前後がもっとも安定します。

資本金が“工賃計算”に影響する理由

「資本金と工賃って関係あるの?」と思う方が多いのですが、実は関係します。

理由①:生産活動の“質”と“幅”が資本金で決まる
工賃は、生産活動の収入から生まれます。
つまり…
・高単価の仕事がある
・生産量が多い
・高付加価値の商品が作れる
工賃が上がる
これらは全部、最初の設備投資や材料費が必要です。
 資本金が多い場合
・印刷機が買える
・菓子製造設備が整う
・在庫を持てる
・商品開発ができる
高単価の仕事ができる → 工賃が上がる
 資本金が少ない場合
・内職しかできない
・材料が買えない
・設備投資ができない
・仕事が単価の低いものに偏る
工賃が上がらない

 理由②:運転資金がないと工賃が“先に払えない”

B型事業所の工賃は「月末払い」が基本
でも国からの給付費の入金はサービス提供の約2か月後

つまり、

お金が入らない時期にも工賃は発生する
資本金=運転資金が少ないと…
・工賃を払えない
・生産活動が止まる
・利用者の作業時間が減る
・結果として工賃が下がる
という悪循環になります。
 資本金が多い場合
→ 給付費が入るまでの2〜3か月も工賃を安定して支払える
→ 生産活動も止まらない
→ 工賃が上がりやすい
資本金が少ない場合
→ 工賃が払えず、支援時間や作業量が減る
→ 工賃は伸びない

 理由③:設備・材料・人件費の余裕が“工賃アップ”を支える

B型事業所は「工賃向上計画」の立案が義務です。

工賃アップには

・新しい仕事を取る
・生産能力を上げる
・人員増で支援時間を増やす
・材料を安定確保する

こうした“先行投資”が欠かせません。

先行投資=資本金が必要ということです。

  資本金が“融資・物件契約”にも直結する理由

物件契約をすると

・家主
・管理会社
・不動産業者

からほぼ聞かれる質問があります。
「資本金はどれくらいありますか?」「運営できる資金はありますか?」B型事業所は一般のオフィスと違い、障害福祉サービスという特殊業態のため、家主は慎重になります。

資本金が少ない法人は、契約を拒否されるケースもあります。
また金融機関の融資審査でも資本金は信用力を表す指標になります。
 資本金の「最適額」を決める考え方
✔ ① 生産活動の種類
✔ ② 物件の広さ・立地
✔ ③ スタッフ採用の時期
✔ ④ 開所後の運転資金
4つの要素を総合するとあなたの事業所に必要な「最適な資本金」が決まります。


次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑨>法人設立に必要な書類一覧<仙台市版>

2025年11月21日 01:20

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑦>定款に必ず入れるべき“障害福祉サービス事業”の文言

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型開所の法人設立でもっとも重要で、もっとも間違いが多い のが、
定款の「目的欄」に書く文言(事業目的)です。

仙台市の指定申請では、この目的欄が正しく書かれていないと必ず“補正”になります。


さらに、文言が弱いと

・設備
・生産活動
・加算
・付帯事業

に関する説明も不十分となり、開所後にも影響が出ます。

今回は、仙台市でB型事業所を開所するなら必須となる「正しい目的欄の書き方」 を完全解説します。

この文言が“必須”です

仙台市の指定申請で求められる定款(登記)上の目的文言は、これです。
【必須文言】
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」
この文言が入っていないと仙台市は“目的欄が不十分”と判断し、補正指示が出ます。
実際に、仙台市の提出書類一覧にも(根拠付きで)この目的文言が必須であることが記載されています。

なぜこの文言が必要なのか?(制度的な根拠)

理由は3つあります。

✔ ① 指定の前提は

「障害福祉サービスを行う法人であること」 法律上、指定を受けるには、事業目的に障害福祉サービスを実施する旨が明記されている必要があります。

✔ ② “対象法令+事業種別”が明確であることが求められるから

法律名(総合支援法)まで書くことで、目的が正しく特定されます。

✔ ③ 書かれていないと
「法人の事業目的と実際の事業が一致しない」と判断されるため実際に仙台市の審査では、登記事項証明書の目的欄を細かく確認します。
行政は常に、「法人として障害福祉サービスを行う意思」「法令上適切な目的であること」を確認するため、この文言は必須です。

必須文言だけ書けばOK? → 実務では不十分です

多くの方が勘違いするポイントですが、この文言だけでは不十分です。

B型事業所を開所する法人に必要なのは、「障害福祉サービス」だけでなく、生産活動に関する文言も定款に入れること

なぜなら、B型事業所は
・印刷
・農作業
・内職
・菓子製造
など、様々な生産活動を行うからです。
生産活動は「法人の目的に含まれていること」が必須です。

【生産活動用に必須の付帯事業文言例】

以下のような文言も入れておくと
開所後の生産活動に“全部対応できる”定款になります。

「物品の販売及び企画、製造、加工に関する事業」
「各種商品の企画・デザイン・制作に関する事業」
「印刷事業、及び印刷物の企画・制作に関する事業」
「飲食物の製造及び販売に関する事業」
「上記に附帯または関連する一切の事業」

これらが入っていないと、
B型事業所の生産活動に必要な取引をする際、「目的外事業」と見なされる可能性があります。

仙台市も、運営規程・事業計画書・目的欄の整合性を厳しく見るため、ここを整えておくことは必須です。

 “ダメな目的欄”の例

次のような目的欄は、仙台市の審査で確実に補正になります。

「障害福祉サービス」だけ書いてある

→ 法令名がない。事業が特定されない。

 「就労支援事業」だけの抽象的な目的

→ 仙台市では通りません。

 生産活動に関する記載がない

→ 目的外取引になる可能性あり。

 NPO法人の目的のような抽象文言

→ 法的に事業が特定されない。


定款は「事業所の設計図」、ここで間違うと、すべてが崩れます。

次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑧>資本金はいくら必要か?<仙台市>

2025年11月21日 01:00

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑥>法人設立の流れ

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型開所を進めるうえで、「法人設立」 は最初の大きなステップになります。

B型事業所開所のための指定申請は 個人ではできず必ず「法人」での申請が必要です。
B型事業所を開所したいなら、まず法人を作ることが最初の通過点です。。

この第6回では、株式会社・一般社団法人を想定した法人を作るための現実的な流れ を解説します。

  1.法人設立に必要な“7つの決めごと”

まず、法人を作るには以下の7点を決めます。

1,法人名(商号)
2,本店所在地
3,事業目的(目的欄の文言)
4,資本金
5,役員構成(代表者・理事等)
6,決算月
7,印鑑(実印・銀行印)

B型事業所開所で特に重要なのは「事業目的」です。
仙台市は目的欄を厳しくチェックするため、以下の文言が必須となります。

✔【目的欄の必須文言(B型の根拠法令)】

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業」これが入っていないと、指定申請で“補正”になり、最悪やり直しになります。

2.法人設立の全体フロー

ここから実際の流れに入ります。

STEP1|打ち合わせ・必要事項の決定(1日)

行政書士と相談しながら以下を決めます。

・法人名
・本店所在地
・役員
・資本金
・目的文言
・印鑑の種類
・決算月
 STEP2|定款の作成

定款は法人の“憲法”

特に、目的欄の書き方は仙台市ルールに完全準拠 させます。

例:

・障害福祉サービス事業
・就労継続支援B型事業
・生産活動に必要な付帯事業など
開所後に必要な生産活動にも対応できる文言を入れます。
 STEP3|定款認証(株式会社の場合) 

株式会社は 公証役場で定款認証 が必要です。

・公証人とのやり取り
・電子定款なら印紙4万円不要
・認証に必要な書類セットのチェック
※一般社団法人は別手続き(定款認証なし)
 STEP4|資本金の払い込み

代表者の個人口座に資本金を入金し、通帳コピーが証拠になります。

・1円でも設立可能(ただし実務上は30〜100万円推奨)
・運転資金を踏まえて計画することが重要
 STEP5|法務局へ登記申請

必要書類

・登記申請書
・定款
・就任承諾書
・印鑑届書
・資本金払込証明
・役員名簿
・目的欄の確認資料
STEP6|登記完了
法務局での審査完了後、法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)が取得できます。
これが仙台市指定申請で使う「正本の必須書類」です。
 STEP7|法人実印・銀行口座開設

登記完了後に行う作業:

・法人印鑑カード取得
・法人口座開設

ここまで完了すれば、仙台市へ提出する法人関連書類が揃います。

 3.法人設立の注意点

1,目的文言は最初から仙台市仕様で作る
 → あとで修正しないと提出が止まります。
2,役員の住所を統一する
 → 経歴書・付表8に影響するため。
3,法人住所=事業所住所にしない
 → B型事業所では“本店=事業所”は避けるのが実務上の基本。
4,通帳は開所後の工賃支払いにも使える銀行にする
 → 業務効率が変わります。
5,法人設立を2月末までに完了できるとベスト
 → 7月開所を狙う場合、これを外すと全体が遅れます。

次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑦>定款に必ず入れるべき“障害福祉サービス事業”の文言<仙台市版>
2025年11月21日 00:31

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑤>B型事業所の開所に向いている法人格はどれ?

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型事業所の開所の相談で必ず聞かれるのが、この質問です。
「B型事業所を開所するなら、どの法人格が一番いいですか?」

結論からいいます。

 

 最適は “株式会社” か “一般社団法人” の2択

仙台市でB型事業所を開所する場合、おすすめできるのは この2つ です。

 【最適①】株式会社(圧倒的に安定)
 【最適②】一般社団法人(非営利性を見せたい場合)

一方で、以下の2つは慎重に判断する必要があります。

 合同会社:開所は可能だが“見え方”に注意
 NPO法人:手続き負担が大きくおすすめしない

今回は、それぞれの特徴・メリット・デメリットを仙台市の審査・運営・現場実務に合わせて丁寧に比較します。

 株式会社:最もバランスが良く、実務上の最適解

✔ 審査がスムーズ
株式会社は全国的に見ても、障害福祉サービスの指定を受けている法人の最多パターン
仙台市も株式会社に慣れているため、登記・目的欄・財務基盤の見え方が安定しています。
✔ 金融機関・家主の信用が高い
物件契約では「株式会社ですか?」という質問が実際に出ます。
→ 信用取引が最も安定
→ 生産活動の取引先にも説明しやすい
✔ 代表者の意思決定が早い

理事会・評議員会が不要で、スピード感のある経営が可能

✔ 税務・会計がシンプル

法人税課税だが、会計処理がシンプルで管理しやすい。

 一般社団法人:理念型の法人を作りたい場合に最適

株式会社と並んでB型事業所の開所で増えているのが 一般社団法人 です。

✔ 「非営利性」を見せられる
運営費は必要ですが、“株主に利益分配をしない”ことで、福祉らしい法人カラーが出せる。
利用者・家族・支援機関からの印象が良く、地域連携もしやすい。
✔ 社員(構成員)が2名いれば設立可能

人数要件はゆるく、設立も早い。

✔ 株主がいないため乗っ取りリスクが低い

議決権は「社員」と呼ばれる構成員なので、経営権の安定性が高い。

✔ デメリット:税務は株式会社より複雑
“非営利型”として認められるかで税率が変動
ここは税理士のサポートが必要です。

  合同会社:メリットは少なめ

合同会社(LLC)は設立費用が安く、代表者の意思決定も早いのが魅力。
しかし、B型開所という観点では以下のデメリットが目立ちます。
信用力が株式会社より低い
 登記の目的欄が軽く見られがち

合同会社は「副業法人」「小規模法人」のイメージが強い。
開所後の採用にも影響が出る場合があります。

 NPO法人:おすすめしない(手続きが重すぎる)

もっとも誤解が多いのが NPO法人 です。

「福祉だからNPOがいいですよね?」と相談されることがありますが・・・
仙台市でB型事業所を開所する法人としてほぼ“おすすめしません”。

理由は明確です。

設立までに4〜6ヶ月かかる

・定款作成
・事業計画
・住民説明
・公告
・認証
・設立登記

株式会社(2週間)と比べ、圧倒的に遅い。

行政監督が多く、事務負担が大きい
・年次報告
・事業報告書
・活動計算書
・理事会運営
・評議員会運営
運営コストが跳ね上がります。
金融機関の融資が受けづらい

銀行がもっとも慎重になる法人格

 解散時の財産が国や自治体に帰属する

「自分の人生の事業」が残せない


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2025年11月21日 00:01