就労継続支援B型に特化 | 宮城・東北の指定申請・実地指導対策サポート

「行政書士事務所ライフ法務プランニング」は、就労継続支援B型事業所の開設から運営までを専門にサポート。複雑な指定申請代行、生産活動の企画・導入、実地指導対策までワンストップで支援。まずは無料相談へ。

ホーム ≫ お知らせ ≫

お知らせ

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(開所の全体像編)④>開所までの全体スケジュール(6ヶ月モデル)<仙台市版>

32862374_m

こんにちは、行政書士の大場です。

仙台市で就労継続支援B型を開所するためには、標準で5〜6ヶ月 の準備期間が必要です。

理由は、仙台市の開所プロセスが

・事前相談
・建築基準法・消防の確認
・管理者・サビ管の事前面談
・申請書作成
・審査・補正
・実地調査
・指定通知

という「7段階」で構成されているからです。

今回は、仙台市で実際に動く現実的な6ヶ月スケジュールモデル を時系列でわかりやすく解説します。

 B型開所に必要な期間

✔ 標準:5〜6ヶ月
✔ 余裕を持つなら:7ヶ月以上

※「物件の用途変更が必要かどうか」で大きく変わります

仙台市は次のルールが絶対です。
申請期限=指定希望月の2ヶ月前・15日必着
例)7月1日開所 → 5月15日必着
この日付を基準にすると、全体がきれいに逆算できます。

 6か月モデルケース

7月1日開所を目指す場合の6ヶ月スケジュールです。

  1月:準備開始(−6ヶ月)
✔ 開所時期の決定

「7月1日に開所したい」を最初に決める。

✔ 法人設立(新設の場合)

会社、合同会社、一般社団法人などの設立準備
※法人設立には 2〜3週間必要

✔ B型事業所開所の要件・基準の確認
・人員要件
・建築基準
・生産活動の方向性
を整理し、全体像をつかむ。
  2月:物件選定(−5ヶ月)
✔ 物件探し

仙台市では、物件選びが開所スケジュールの核心。

✔ 用途判定
・用途変更が必要か?
・消防改修が必要か?
・部屋の広さは適切か?
・作業室は3.3㎡/人の基準を満たすか?
✔ 候補物件の絞り込み

この段階で物件探しが長引くと開所が2〜3ヶ月遅れる

3月:事前相談(−4ヶ月)
✔ 物件を決める前に相談(最重要)

仙台市は物件契約前の相談を求めています。

✔ 事前相談申請
・平面図(仮でOK)
・事前相談確認シート
✔ 担当者との調整

運営方針・設備基準を確認してもらう。

3〜4月:建築・消防(−4ヶ月〜−3ヶ月)

事前相談後は、必ず 建築指導課・消防署との調整 に進みます。

✔ 建築基準法の判定
・用途変更が必要か
・動線、廊下幅、作業室の基準
・トイレ・洗面の数
✔ 消防法の確認
・感知器
・誘導灯
・消防設備の整備状況
✔ 必要があれば内装工事へ

工事が発生する場合は1〜4週間かかることも。

  4月:管理者・サビ管の事前面談(−3ヶ月)

仙台市の独自プロセスである管理者・サビ管の事前面談 がここで実施されます。

✔ 面談には管理者・サビ管の“2名”の参加が必須
✔ 面談期限は申請期限の1週間前まで

(例:5/15提出 → 5/8ごろがリミット)

✔ 面談の内容
・事業所の方針
・管理者の経験・職務
・サビ管の資格・研修状況
・職員体制の予定
・生産活動の方向性
※面談は「合否」があるため、準備必須。
  4〜5月:書類作成(−3〜−2ヶ月)

いよいよ最大の山場です。

✔ 書類総数かなりの枚数
以下をすべて整合させる必要があります:
・付表8
・運営規程
・経歴書(管理者・サビ管)
・写真(外観・各室)
・平面図
・勤務形態一覧
・事業計画書
・収支予算
・賃貸借契約書
・協力医療機関の契約
・加算届出書類(別冊3)
仙台市は“整合性チェックが非常に厳しい”です。
 5月15日:申請書提出(−2ヶ月)
✔ 5月15日“必着”

※1日遅れると → 開所が8月1日にズレる。

✔ 持参提出が必須レベル

郵送はリスクが大きすぎる

  5〜6月:審査 → 補正(−2〜−1ヶ月)

仙台市の審査は以下の流れです。

✔ 一次審査

→ 記載漏れ・不足書類チェック

✔ 補正

よくある不備

・氏名・住所の表記ゆれ
・勤務形態の常勤換算ズレ
・目的文言の不一致(登記 → 運営規程)
・協力医療機関の記載違い
・写真と平面図の不一致
✔ 補正のコツ
・当日中に修正着手
・書類ではなく「整合性」を直す
・直した箇所の再ズレに注意する
 6月:実地調査(−1ヶ月)

建物・設備が書類どおり整っているか、仙台市が現地で確認します。

✔ チェックされる項目
・設備基準
・消防設備
・動線・扉の幅
・苦情受付の掲示
・生産活動の準備状況
・職員体制が揃っているか
・運営規程・重要事項の整備
実地調査は最終関門です。
  7月1日:指定通知 → 開所

無事にすべてクリアすると、指定通知 → 開所 → 国保連の初回請求 へ進みます。

次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(法人設立編)⑤>B型事業所の開所に向いている法人格はどれ?<仙台市版>

2025年11月20日 23:20

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(開所の全体像編)③>申請期限は「2ヶ月前15日必着」<仙台市版>

23204942_m

こんにちは、行政書士の大場です。

仙台市でB型事業所を開所する上で、最も重要なルールのひとつがこの提出期限です。

申請書の提出期限

「指定希望月の2ヶ月前・15日 “必着”」仙台市の公式ルールでは、指定を受けたい月が 4月1日であれば、
2月15日が申請期限(必着)
“必着”とは、当日までに市役所に到着していなければ、受理されないという意味です。
1日でも遅れると、開所日はまるごと1ヶ月後にスライドします。
これは仙台市が明確に定めているルールで、年度や状況に関係なく 必ず守られる運用です。

逆算してスケジュールを決める

逆算スケジュールは、仙台市でB型事業所を開所する場合の 最初の必須作業 です。

 (例)7月1日開所を希望する場合の逆算

タスク 期限
申請書提出(必着) 5月15日
管理者・サビ管の事前面談 5月8日まで(提出の1週間前)
建築基準法・消防の確認完了 4月末
内装工事(必要な場合) 4月上旬〜中旬
事前相談(物件契約前) 3月
物件確定 3月
法人設立(新設の場合) 2月〜3月
スタート地点 2〜3月
ここから分かるとおり、
すべてのスタートは「申請期限」から逆算して決まる。
申請期限を基準に、建築・消防 → 面談 → 書類作成 → 事前相談と遡っていくのが最も失敗しない方法です。

 書類作成に時間がかかることも忘れずに

仙台市の指定申請は、
新規開所の場合の書類の枚数はかなりの数になりますので極めて大規模な事務作業になります。

そのため、書類作成には

 最低でも1ヶ月前後の準備期間が必要

特に、
・運営規程
・勤務形態一覧
・サビ管の実務経験証明
・協力医療機関の契約
・平面図の修正
・賃貸借契約書の整合性
・写真の撮影
などは時間がかかります。
この準備を申請期限の15日から逆算するのが鉄則です。

 “申請準備のコツ”

行政書士として、開所を確実に成功させるために必要なポイントをお伝えします。

✔ ① 逆算は「申請期限」から行う

開所日(1日)ではなく、必着期限(15日)から逆算すること。

✔ ② 面談は期限の1週間前が限界

面談が遅れると
→ 必要書類の指摘が出る
→ 修正期間が足りない
→ 提出に間に合わない

✔ ③ 書類は“1ヶ月前から作成開始”が安全

管理者・サビ管の書類不備は
補正の定番なので、早めに着手を。

✔ ④ 建築・消防は最優先

用途変更や消防指摘は、書類より圧倒的に時間がかかります。
最悪の場合 → 開所が数ヶ月遅れることもあります。


次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(開所の全体像編)④>開所までの全体スケジュール(6ヶ月モデル)<仙台市版>

2025年11月20日 22:56

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(開所の全体像編)②>指定日は“毎月1日”だけという重要ルール(仙台市版)

4177886_m

こんにちは、行政書士の大場です。

仙台市で就労継続支援B型(以下B型)を開所するうえで、必ず最初に知っておくべきルールがひとつ あります。

それがこちら
  ↓
 

仙台市の指定日は “毎月1日” のみ

仙台市は、B型だけでなく障害福祉サービス全般の 指定日が毎月1日だけ と決められています。

つまり、

・4月1日開所 → OK
・4月2日開所 → 不可
・3月15日開所 → 不可
・1日以外の開所日は一切ない

ということです。

開所日は必ず 「月初1日」 に固定されます。

なぜ1日しか認められていないの?(制度的な理由)

仙台市が1日に統一しているのは、以下のような行政側の理由があります。

✔ 国保連の請求期間が「月単位」で動くため

障害福祉サービスの給付費は 月単位 で計算されます。
そのため、事業開始日を1日に固定すると
・請求
・利用日数
・加算
・月額管理
がシンプルです。

✔ 行政の審査・管理を統一できるため

・新規指定
・変更届
・廃止
といった重要手続きの審査を「月初」で統一すると管理が楽になります。

✔ 実地指導・モニタリングの調整が行いやすい

事業所の開所日がバラバラだと監査日程の調整が困難。
1日に集約すれば、行政の負担が減ります。


つまり、行政の審査・請求・監査を安定させるための運用ルールということです。

これは仙台市の公式サイトでも明確に記載されています。

  申請期限は「指定希望月の2ヶ月前・15日必着」

1日指定とセットで絶対に覚えるべきルールがもう一つあります。

 4月1日開所希望の場合

申請期限:2月15日(必着)

 5月1日開所希望の場合

申請期限:3月15日(必着)

“必着”=当日までに到着していないと受理されません。
1日でも遅れれば、次の月まで開所が1ヶ月遅れます。

この点は仙台市も明確に注意を促しています。

次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(開所の全体像編)③>申請期限は「2ヶ月前15日必着」<仙台市版>

2025年11月20日 22:27

<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(開所の全体像編)①就労継続支援B型事業所を開所するには?(仙台市版)

1995453_m (1)

こんにちは、行政書士の大場です。

「仙台市で就労継続支援B型を立ち上げたいのですが、何から始めたらいいですか?」開所相談の9割が、この質問からスタートします。

結論からいえば
仙台市のB型開所は“手続き × 建築消防 × 人材 × 書類の4つを正しく進められるかが全てです。


この4つの流れを理解するだけで、開所準備の全体像が一気につかめます。

今回の第1回では、「仙台市のB型開所の全体像を理解できる」ように、分かりやすくまとめました。

 1.B型事業所を開所する“全体の流れ”

仙台市B型の開所プロセス(標準4〜6ヶ月)

STEP1|事前相談(物件契約前)

STEP2|建築基準法・消防の確認(用途変更の判定)

STEP3|管理者・サビ管の事前面談

STEP4|申請書の提出

STEP5|審査・補正対応

STEP6|実地調査

STEP7|指定通知 → 開所準備 → 初回請求

 

 2.仙台市の開所は“毎月1日指定”という特殊ルール

仙台市には、必ず知っておくべき重要ルールがあります。
指定日は毎月1日のみ。

つまり、4月15日や3月5日などに開所することはできません。
必ず「1日スタート」。そしてさらに重要なのが申請書は2ヶ月前の15日“必着”。

例:4月1日開所希望→ 2月15日が提出期限(必着)


この逆算を間違えると「開所が1ヶ月ズレます。」

3.最も時間がかかるのは“建築・消防”

仙台市のB型事業所の開所で最も多い相談はこれです。
「この物件、使えますか?」

物件によっては“用途変更”が必要で、1〜2ヶ月かかります。

さらに、消防設備(感知器・誘導灯)などが基準を満たさない場合、改修が必要です。

つまり、仙台市の開所スケジュールは“物件で決まる”これを知らずに物件を契約すると、開所が2〜3ヶ月遅れるケースもあります。

4.“書類+整合性”が最大のハードル

仙台市の指定申請では、
提出書類がたくさん あります。

ただ量が多いだけでなく

✔ 氏名の表記

✔ 運営規程との一致

✔ 事業計画との整合性

✔ 平面図・写真の一致

✔ 協力医療機関との契約内容

✔ 職員の勤務形態(常勤換算)

 5.“人員配置”と“要件”は最初に決めるべき

仙台市の開所では、管理者・サービス管理責任者・職業指導員・生活支援員の配置を正しく整える必要があります。

中でも、

・管理者の経験要件

・サビ管の資格・研修状況

・実務経験180日ルール

・兼務の可否

・常勤換算の考え方

ここがクリアできなければ、申請は受理されても“補正の可能性があります。


6.開所後の“実務”も見据えて動かないと失敗する

仙台市のB型は、
開所した後にも以下が必要です。

・初回利用契約
・支援記録の作成
・工賃向上計画の提出
・加算届出
・労務管理
・生産活動の立ち上げ
・国保連請求(これができないと給付費ゼロ)

つまり、「開所できること」と「運営できること」は全く別物」です。

この視点を持って開所準備を進めると、半年後・1年後の運営が驚くほど楽になります。

次回のブログはコチラ⇒<新規>就労継続支援B型事業所(開所の全体像編)②>指定日は“毎月1日”だけという重要ルール(仙台市版)

2025年11月20日 03:48

<就労移行支援サービス費の考え方④>定着率と報酬の関係

33159711_m

こんにちは、行政書士の大場です。

就労移行支援の報酬は、「就職率」ではなく「定着率」で評価されます。
つまり、“働き続けられる支援”をどれだけ行えているかが、そのまま事業所の報酬に反映される仕組みです。

今回は、実際の数値を使って、定着率と報酬の関係を具体的に見ていきます。

基本報酬は“定着率”で7段階に区分される

令和6年度報酬改定では、就労移行支援の基本報酬が「利用定員」と「定着率」に応じて細かく設定されています。

【定員20人以下の事業所】

定着率 基本報酬単位(1日あたり)
5割以上 1,210単位
4〜5割未満 1,020単位
3〜4割未満 879単位
2〜3割未満 719単位
1〜2割未満 569単位
0〜1割未満 519単位
0割 479単位

【定員21〜40人以下の事業所】

定着率 基本報酬単位(1日あたり)
5割以上 1,055単位
4〜5割未満 881単位
3〜4割未満 743単位
2〜3割未満 649単位
1〜2割未満 524単位
0〜1割未満 466単位
0割 432単位

どれくらいの差が出るの?

単位数だけでは実感がわきにくいので、仮に1単位=10円として試算してみます。

<試算の前提条件>
・1単位=10円
・定員20人以下(1日1人あたりの単価)
・20日稼働/月
・1人あたりの金額を算出(=利用者1名分)
 <計算式>
・月間報酬(1人あたり)=基本報酬単位×10円×20日
・年間報酬(1人あたり)=月間報酬×12か月

 

<具体計算>
● 定着率5割以上(1,210単位)
12,100円×20日=242,000円(月間報酬)/月242,000円×12か月=2,904,000円(年間報酬)
➡ 表記:約24.2万円/月 約290万円/年

 

● 定着率3〜4割未満(879単位)
8,790円×20日=175,800円(月間報酬)/月175,800円×12か月=2,109,600円(年間報酬)
➡ 表記:約17.6万円/月 約211万円/年

 

● 定着率1〜2割未満(569単位)
5,690円×20日=113,800円(月間報酬)/月113,800円×12か月=1,365,600円(年間報酬)
➡ 表記:約11.3万円/月 約136万円/年

まとめ表(計算式に基づく)

定着率 単位 1日単価(10円換算) 月間報酬(20日) 年間報酬(12か月)
5割以上 1,210 12,100円 242,000円 2,904,000円
3〜4割未満 879 8,790円 175,800円 2,109,600円
1〜2割未満 569 5,690円 113,800円 1,365,600円

<差額のイメージ>
→ 「5割以上」と「1〜2割未満」では、年間約150万円の差になります。

<ポイント>
この計算は「利用者1人あたり」の報酬です。
事業所全体の収入を試算するには、これに「平均利用者数」を掛ければOKです。
事業所全体の月間報酬=(基本報酬単位×10円×稼働日数)×平均利用者数

“報酬を上げる”ことは“支援の質を上げる”こと

報酬改定の背景には、「定着支援に力を入れる事業所を高く評価する」という厚労省の方針があります。
単位の差は“ペナルティ”ではなく、支援体制を整えた結果を評価として可視化する仕組みです。
つまり
・定着率を上げる=支援体制が整っている
・報酬が上がる=安定した事業運営ができる
という 「支援の質」と「経営安定」の両立構造 なのです。


次回のブログはコチラ⇒

2025年11月10日 22:49

<就労移行支援サービス費の考え方③>定着率の計算方法と実績報告

32795095_m

こんにちは、行政書士の大場です。

就労移行支援の報酬は、「就職者数」ではなく「定着率」で評価されます。
しかし実際に計算しようとすると、「6か月以上定着した利用者って、どこまで含めるの?」「分母は“定員”なの?“利用者数”なの?」
と迷うことが多い部分です。

今回は、厚労省の報酬告示をもとに、定着率の計算方法と実績報告の基本を整理します。

定着率とは

厚生労働省の定義によると、
「就労移行支援を利用して一般就労に移行し、就職後6か月以上継続して働いている者の割合」
をいいます。つまり「就職して終わり」ではなく、“6か月以上続いているかどうか”が評価の基準です。

 定着率の計算式

定着率は、以下の式で求めます。

定着率(%)=(就職後6か月以上継続している人数÷利用定員)×100定着率(%)

たとえば

利用定員 6か月以上定着した人数 定着率 適用区分
20人 10人 50% 1,210単位(定員20人以下)
20人 8人 40% 1,020単位
20人 2人 10% 569単位

 分母と分子の考え方

項目 内容
分母 利用定員(就労移行支援事業所として指定を受けた定員)
分子 就職後6か月以上継続して働いている利用者数

※「利用者数」や「通所人数」ではなく、定員を基準に計算する点が重要です。

 対象となる「定着者」の範囲

次のすべてを満たす人が「定着者」としてカウントされます。
1,就労移行支援の利用を終了した時点で一般就労に移行している。
2,就職後6か月以上、同一または同等の職場で継続勤務している。
3,就職先の雇用契約が確認できる(雇用形態は問わない)。
アルバイトやパート、短時間雇用であっても、「継続して働いている」ことが確認できれば対象になります。

実績報告の提出タイミング

実績報告は、毎年度の「障害福祉サービス等報告書」の中で提出します。

対象期間 提出内容 提出先
前年度および前々年度の定着者数 定着率の算出に必要な実績 都道府県・政令市(指定権者)

自治体はこの報告内容をもとに、翌年度(4月以降)の基本報酬区分(単価)を自動的に判定

自治体ごとの運用

各都道府県・政令市が実際の事務として実績を確認する際には、以下のような書式・方法が使われます。

【例:宮城県の運用】

・年度末に「障害福祉サービス等報告書」を提出
・その中の「就労移行支援サービス実績報告」欄に、「前年度の就職者数・定着者数・定員」を記載
・担当課がそれをもとに定着率を計算し、翌年度の報酬区分を判定

 開設1年目・2年目の扱い

年度 実績の扱い 算定区分
開設1年目 実績なし 仮区分(定着率3〜4割未満)879/743単位
開設2年目 前年度分のみ 1年度分の実績で暫定判定
開設3年目以降 前年度+前々年度 2年平均で正式算定(自動更新)

このように、実績がまだ少ない新規事業所については、「揃っている範囲の実績」で算定する仕組みになっています。


次回のブログはコチラ⇒<就労移行支援サービス費の考え方④>定着率と報酬の関係

2025年11月10日 22:11

<就労移行支援サービス費の考え方②>実績が出ない場合の報酬区分?

29520072_m

こんにちは、行政書士の大場です。

就労移行支援の指定を受けて半年、この時期に気になるのが、「報酬区分の扱い」です。

「6か月経過すると単価はどうなるのか」「まだ就職や定着の実績が出ていない場合はどう扱われるのか」

今回は、その仕組みと根拠を整理してみます。

 開設から6か月間は“仮区分”

新規に就労移行支援の指定を受けた事業所は、まだ「就職後6か月以上定着した利用者」がいません。
そのため、開設から6か月間は全国一律で「定着率3割以上〜4割未満」区分 の報酬単価が適用されます。
定員区分 単位数(仮区分)
定員20人以下 879単位/日
定員21〜40人以下 743単位/日
<根拠>
・平成18年厚生労働省告示第523号(報酬告示)
・令和6年度報酬改定 告示第57号 別表第4(就労移行支援)

 6か月経過後は「自動的に報酬が更新」される

6か月経過後は、前年度・前々年度の「就職後6か月以上定着した利用者の割合(定着率)」をもとに、自治体が実績報告書を確認し、翌年度の報酬区分を判定します。

特別な申請は不要、実績報告を提出すれば、自治体が自動的に単価を見直します。
これが制度上の「自動更新」という仕組みです。

 

この「6か月経過後の報酬更新」は、原則として“過去2年度(前年度・前々年度)の定着率”をもとに判断されますが、開設1年目~2年目の事業所はどうなるのか疑問が出てきます。

以下で、厚労省通知と実務運用の流れを踏まえて整理します。

【開設1年目】
開設初年度は、当然ながら「前年度・前々年度の実績」が存在しません。
そのため、初年度(指定日から6か月経過するまで)は、全国一律で 「定着率3割以上4割未満」区分(仮区分) が適用されます。
定員 単位数
20人以下 879単位/日
21〜40人以下 743単位/日

この状態は、就職・定着の実績が出るまで継続されます。

【開設2年目】
2年目になると、ようやく「前年度の実績(=開設初年度)」が存在します。
この段階ではまだ「前々年度」は存在しないため、1年度分(前年度)の定着率のみで区分を判断します。
つまり、過去2年度分が揃うまでの間は、「把握できる実績(1年度分)」で暫定的に判定する仕組みです。
(※ これは令和6年度報酬改定における「過去実績がない新規指定事業所への取扱い」に基づく自治体実務です)
【開設3年目以降】
3年目以降になると、前年度・前々年度の実績が揃います。
この段階で初めて、正式な「2年度平均の定着率」で報酬区分が確定します。
以後は、毎年度この2年平均が自動的に見直されるサイクルに入ります。

 6か月経っても結果が出ない場合は?

半年経過時点でまだ「定着者がいない」場合、そのまま仮区分(定着率3〜4割未満)が継続されます。

報酬が下がることはなく、次の「年度実績報告」で初めて区分が見直されます。

つまり
「実績がない=ペナルティ」ではなく、「実績が出るまで仮区分を維持する」形になります。

ただし翌年度の実績で“自動的に減額”される場合も翌年度に提出する実績報告で、過去2年間の定着率が低い場合は、その結果に応じて翌年度の報酬単価が自動的に下がります。

定着率 定員20人以下 定員21〜40人以下
5割以上 1,210単位 1,055単位
4〜5割未満 1,020単位 881単位
3〜4割未満 879単位 743単位
2〜3割未満 719単位 649単位
1〜2割未満 569単位 524単位
0〜1割未満 519単位 466単位
0割 479単位 432単位

たとえば、
定員20人以下の事業所で定着率が「0〜1割未満」にとどまった場合、翌年度からの報酬単価は 519単位 に下がります。

根拠通知と制度設計の意図

・平成18年厚生労働省告示第523号
 → 報酬は定着率に応じて段階的に設定。
・平成18年障発1031001号 第二の3(3)
 → 届出内容や体制について「事後確認を行う」旨を規定。
・令和6年度 障害福祉サービス等報酬改定 告示第57号
 → 「過去2年度の定着率で報酬を評価」と明記。
厚労省がこのような段階区分を設けた理由は明確です。


次回のブログはコチラ⇒<就労移行支援サービス費の考え方③>定着率の計算方法と実績報告

2025年11月10日 21:36

<就労移行支援サービス費の考え方①>就労移行支援サービス費とは

30554812_m

こんにちは、行政書士の大場です。

就労移行支援の現場では、「うちは何人就職させたか」という数字が話題になることがあります。
しかし、制度の根本を見てみると評価されるのは「何人就職したか」ではなく、“どれだけの人が働き続けているか” (継続性)です。

 

 制度の背景

就労移行支援サービス費(基本報酬)は、厚生労働省告示(平成18年厚生労働省告示第523号)
および 令和6年度報酬改定(厚生労働省告示第57号) に基づいて算定されます。


この報酬制度の大きな特徴は、「就職後6か月以上、継続して働いている人の割合=定着率」によって段階的に報酬が変わる仕組みになっていいます。つまり、就労移行支援の目的が「就職支援」から「職場定着支援」へと明確にシフトしているのです。

 報酬区分の基本構造

就労移行支援の基本報酬は、事業所の 定員規模(20人以下/21〜40人以下)就職後6か月以上定着した利用者の割合(定着率) に応じて決まります。

【利用定員20人以下】

定着率 基本報酬単位(1日あたり)
5割以上 1,210単位
4割以上〜5割未満 1,020単位
3割以上〜4割未満 879単位
2割以上〜3割未満 719単位
1割以上〜2割未満 569単位
0割超〜1割未満 519単位
0割 479単位

【利用定員21〜40人以下】

定着率 基本報酬単位(1日あたり)
5割以上 1,055単位
4割以上〜5割未満 881単位
3割以上〜4割未満 743単位
2割以上〜3割未満 649単位
1割以上〜2割未満 524単位
0割超〜1割未満 466単位
0割 432単位

新規指定時の扱い

開設から6か月以内の事業所は、まだ就職・定着の実績がないため、「定着率3〜4割未満」区分(879単位または743単位) が適用されます。6か月が経過して実績が出始めると、自治体が前年度・前々年度の定着率を確認し、次年度から報酬区分を見直す 仕組みになっています。

 この制度が伝えたいこと

この仕組みが意味しているのは、「支援のゴールは“就職”ではなく“職場での定着”である」という明確なメッセージです。

就労移行支援は、“働き続ける力”を育てる支援です。
その積み重ねこそが、報酬という形で評価されるよう設計されています。


次回のブログはコチラ⇒<就労移行支援サービス費の考え方②>実績が出ない場合の報酬区分?

2025年11月10日 19:34

<就労移行支援サービスの指定基準>設備基準

3287346_m

こんにちは、行政書士の大場です。
今回は、就労移行支援サービスの指定申請に欠かせない設備基準について解説します。

就労移行支援は、一般就労を目指す障がいのある方が、訓練・相談・就職活動を行う場です。
そのため、建物や部屋の広さ、安全性、機能面について一定の基準を満たす必要があります。

 法的根拠

就労移行支援サービスの設備基準は厚生労働省告示第172号(平成24年3月26日)
「指定障害福祉サービス事業の人員、設備及び運営に関する基準」の第14条に定められています。

 告示第14条(抜粋)

第14条 就労移行支援事業所は、次に掲げる設備を有すること。
1.訓練・作業を行うための室(訓練室または多目的室)
2.利用者が相談できるための室(相談室)
3.事務室その他事業の運営に必要な設備
4.便所及び洗面所

 設備ごとの基準と考え方

【1】訓練室

利用者が訓練や作業を行うための中心的なスペースです。
・面積基準:利用者1人あたり概ね3.3㎡以上(約1坪)
 → 定員10名の場合は33㎡以上が目安となります。
・採光・換気・空調が十分であること。
・訓練作業に必要な機械や備品を備えていること。
・作業内容に応じて机・椅子・作業台・パソコン等を配置
【2】相談室(または相談室兼多目的室)
個別支援計画の面談や就職相談、家族との面談を行うスペースです。
・プライバシーを確保できるよう、パーテーションや壁で区切ること。
・机・椅子・記録資料などを整備すること。
・相談室兼多目的室として兼用することも可。

 (利用状況に応じ、個別面談の際は他者の出入りを制限するなど配慮が必要です。)

【3】事務室
職員が支援記録や事務作業を行うためのスペースです。
・契約書・個人情報を安全に保管できる鍵付き書庫を設置。
・支援会議や書類整理を行える机・パソコンなどを配置。
・訓練室・相談室とは明確に区分されていることが望ましい。

【4】トイレ・洗面所

衛生面・安全性を確保するために必要な設備です。
・男女別が望ましい。
・清潔に維持管理し、手洗い設備を備えること。
・可能な限りバリアフリー構造(手すり・段差解消など)が望ましい。

 指定申請時に求められる主な書類・図面

書類名 内容
平面図(縮尺1/100程度) 各室の用途・面積・出入口・設備を明記(訓練室・相談室・事務室・トイレなど)
配置図 敷地全体と出入口・駐車場・避難経路等の位置を示す
建築関係書類 建築確認済証、用途変更届、または賃貸借契約書の添付
消防署協議書 消火器・避難経路・火災報知機などの設置確認(必要に応じて)

次回のブログはコチラ⇒
2025年11月10日 18:31

<就労移行支援サービスの指定基準>人員配置基準

24391213_m

こんにちは、行政書士の大場です。
今回は、就労移行支援サービスの指定申請時に必要な人員配置の考え方を、厚生労働省の告示を根拠に、具体的な計算式とともに整理します。




 

 人員配置基準の根拠法令

就労移行支援サービスの人員配置は、次の告示で明確に定められています。

厚生労働省告示第172号(平成24年3月26日)
「指定障害福祉サービス事業の人員、設備及び運営に関する基準」この告示の第10条から第13条が、就労移行支援の人員配置に関する根拠です。

告示に定める配置基準(抜粋)

第10条(就労移行支援の人員基準)
就労移行支援事業所には、次の職員を置かなければならない。
1.管理者 1名
2.サービス管理責任者 1名
3.職業指導員及び生活支援員 利用者6人に対し、それぞれ1以上の割合
 (このうち少なくとも1名は常勤であること)
4.就労支援員 利用者15人に対し、1以上の割合

(厚生労働省告示第172号 第10条第1項)

 「6:1」「15:1」の根拠

つまり
・職業指導員および生活支援員は、利用者6人に対して1名以上(6:1)
・就労支援員は、利用者15人に対して1名以上(15:1)
という配置比率が、厚生労働省告示第172号 第10条に明記されています。
この「6:1」と「15:1」が、就労移行支援の人員配置における公式な基準値です。

「定員の90%で算定する」根拠

第12条(利用定員の90%による算定)
当該事業所の利用定員の90%に相当する数を基礎として、
前条に掲げる職員の数を算定するものとする。
(厚生労働省告示第172号 第12条)

したがって、指定申請時の人員配置は、定員の90%を基準にして算出することが正式に定められています。

計算式(告示に基づく算定方法)

これらの条文をもとに、指定申請時の人員配置は次のように計算します。
 <基本式>
就労支援員数 = 定員 × 0.9 ÷ 15
職業指導員・生活支援員数 = 定員 × 0.9 ÷ 6
<計算例:定員10名の場合>
定員10名 × 0.9(=9名)を基礎として計算します。
職種 算定式 必要人数(常勤換算)
就労支援員 9 ÷ 15 0.6人分
職業指導員・生活支援員 9 ÷ 6 1.5人分

したがって、合計2.1人分(常勤換算)が必要になります。
このうち、職業指導員または生活支援員のいずれか1名は常勤でなければなりません(第13条)。

就労移行支援の人員配置早見表

職種 配置基準 根拠条文
管理者 1名 告示第10条第1項第1号
サービス管理責任者 1名(常勤) 同第2号
職業指導員・生活支援員 利用者6人に対し1名以上(6:1)
※いずれか1名は常勤
同第3号、第13条
就労支援員 利用者15人に対し1名以上(15:1) 同第4号
配置人数の算定 利用定員の90%で計算 第12条
常勤換算 非常勤も常勤換算で計算可 第11条

次回のブログはコチラ⇒<就労移行支援サービスの指定申請>設備基準
2025年11月10日 18:05