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<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑩>「工賃」はどうやって決まるの? 

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型事業所の現場を見ていると、同じように見える作業でも「工賃の差」が意外と大きいことに気づきます。

ある事業所では月1万円、別の事業所では3万円を超えていることもあります。

なぜ、こんな違いが生まれるのでしょうか。
実は「工賃の決まり方」には、明確なルールと“設計”があります。

工賃の原点は「生産活動収入」

工賃のもとになるのは、事業所が得た生産活動収入です。

たとえば・・・
・下請け作業(袋詰め・検品など)
・自主製品の販売(お菓子・雑貨・印刷物など)
・企業や自治体との委託業務

これらで得た売上から材料費や経費を引き、残った部分を利用者へ分配します。
つまり工賃とは、「売上の結果」ではなく「経営判断の結果」なんです。

工賃を決める3つの要素

工賃の額は、次の3つのバランスで決まります。
1,生産活動の売上(収入)
 → 工賃の原資、何の仕事で収入を得るか。
2,経費構造(材料費など)
 → 工賃にまわせる金額をどれだけ確保できるか。
3,分配ルール(支給基準)
 → 利用者ごとの支給額をどう決めるか。
この3つのバランス次第で、同じ売上でも「工賃の出し方」が大きく変わります。

平均工賃の全国水準

厚生労働省の調査によると、令和5年度の就労継続支援B型の平均工賃は月額約18,000円前後です。
ただし、地域や業種によって差が大きく、製造やデザイン、印刷など付加価値の高い業種では3万円を超える事業所もあります。
「平均額を追うよりも、自事業所のモデルを作ること」これが工賃アップの第一歩です。

「売上=工賃」ではない

よく誤解されるのが、「売上が上がれば工賃も上がる」という考え方です。
実際には、次のような要因で工賃額は変わります。
・材料費や外注費が多ければ、工賃原資は減る
・設備投資や家賃負担が増えると、分配に回せない
・作業量や参加日数の違いで、支給額がばらつく

つまり、工賃は経営の“結果”ではなく、“設計”の問題です。
どんなルールで分けるのかを明確にしておくことで、公平で納得感のある仕組みが生まれます。


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2025年11月10日 03:12

<障害者優先調達推進法とは⑤>これからの優先調達と地域連携の方向性

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こんにちは、行政書士の大場です。

これまでのシリーズでは、障害者優先調達推進法の目的や仕組み、そして調達事例を紹介してきました。

今回は、この制度がこれからどんな方向に発展していくのか「地域連携」「SDGs」「CSR」の視点から見ていきます。
 

国がめざす方向:「調達」から「共創」へ

内閣府は令和5年度以降、この法律を単なる“発注制度”ではなく、地域の共創を生む仕組みとして位置づけ始めています。
「国や自治体が“買う側”になることで、障害者の働く場を地域経済の一部として根づかせる」という考え方です。

たとえば、内閣府の報告では次のような方針が示されています。

・優先調達の対象を「企業・団体の連携活動」へ拡大
・民間企業のCSR調達を促進
・SDGs(目標8:働きがいも経済成長も)との整合性を強化

つまり、行政だけでなく企業も“買い手”になる時代に入っているのです。

 自治体の新しい動き:地元企業とのマッチング

宮城県や仙台市でも、近年は「官民連携型のマッチング」が進んでいます。

例として
・宮城県:就労施設のカタログを作成し、県内企業・団体へ配布
・仙台市:「障害者就労施設製品フェア」を市庁舎で開催
・石巻市:地元商工会議所と連携し、清掃・発送業務を地元事業所へ紹介

これらの取り組みは、単なる契約の仲介ではなく、“地域全体で仕事を回す仕組み”をつくる試みです。
行政+企業+福祉の連携を「地域産業の一部」として再構築していくことが、優先調達の“次のステージ”です。

民間企業の動き:CSR調達と「共働モデル」

今、民間企業の間でも、“社会的価値をともに生み出す調達”=CSR調達の動きが広がっています。

たとえば、
・企業ノベルティ・封筒・名刺などをB型事業所に外注
・地元イベントの運営補助を福祉施設と共同実施
・印刷・梱包・検品などを福祉事業所と分業

企業が印刷・デザインを担当し、B型事業所が封入・梱包を担う共働モデルもその一例です。

この流れは、「障害者優先調達推進法」との親和性が非常に高く、法制度とCSRを融合させた新しい地域経済モデルとして注目されています。

 B型事業所が今からできる3つのこと

この流れを踏まえ、B型事業所が今から取り組むべきは次の3つです。

取り組み 内容
① 自治体・企業への情報発信 カタログ・SNS・HPなどで実績を“見える化”する
② 契約・請求体制の整備 行政・企業どちらからも安心して発注できる書類体制
③ 連携先の確保 地元企業・学校などとの連携による活動拡大

制度を“待つ”のではなく、自らが「地域の一員として動く」ことで、新しい仕事の形が自然と生まれます。

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2025年11月10日 01:21

<障害者優先調達推進法とは④>調達事例と成功のポイント

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こんにちは、行政書士の大場です。

これまでの回では、「障害者優先調達推進法」の目的や仕組み、そして“発注先になるための準備”についてお伝えしました。

今回は、実際に全国でどんな仕事が発注されているのか?
宮城県をはじめとする自治体の事例を紹介しながら、成功しているB型事業所の共通点を見ていきます。

 全国で広がる「行政からの発注」

この法律に基づく発注は、全国すべての自治体で毎年報告されています。
たとえば、令和5年度の実績を見ると

・国(各省庁)全体での調達額:約58億円
・地方自治体全体での調達額:約340億円超

(出典:内閣府「障害者就労施設等からの物品等の調達実績報告」令和5年度)

つまり、全国で約400億円規模の仕事が、障害者就労施設やB型事業所に発注されているということです。

 宮城県の実績から見る「現実的な仕事」

宮城県の令和5年度報告書には、こんな項目が並びます。

発注内容 取引先 契約形態 金額帯
庁舎内清掃業務 就労継続支援A型事業所 委託契約 約100万円前後
県庁印刷物(封筒・パンフレット) 就労継続支援B型事業所 随意契約 約30〜80万円
封入封かん作業(通知書・広報誌)
就労継続支援B型事業所
随意契約 約20万円前後
花苗・観葉植物の納品 地域活動支援センター 物品購入契約 約10万円前後
数字で見ると小規模な契約に見えますが、「継続して依頼される」「年度ごとに増える」という特徴があります。
つまり、“一度の成功が次の受注につながる”のです。

成功事業所の共通点

これらの事業所に共通しているのは、次の3点です。

成功要因 内容
① 信頼の積み上げ 1回きりで終わらず、報告・改善を続ける
② 書類整備 見積書・報告書・契約書類を正確に揃える
③ 顔の見える関係 発注担当者との定期的な連絡・報告を欠かさない

「うちは規模が小さいから」と思う必要はありません。
むしろ小回りが利くB型事業所こそ、地域の“公共パートナー”としての強みを発揮できます。

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2025年11月10日 01:04

<障害者優先調達推進法とは③>どうすれば発注先になれるのか?

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こんにちは、行政書士の大場です。

前回は、「障害者優先調達推進法」で実際にどんな仕事が発注されているのか、そして“随意契約”という特例によってチャンスが広がっていることをお話ししました。
前回のブログはコチラ⇒<障害者優先調達推進法とは②>調達の仕組みと対象となる取引

では実際に・・・
どうすれば行政や自治体の「発注先」として選ばれるのか?
今回はそのポイントを、手順を追って整理していきます。

ステップ①:まずは「調達方針」を調べる

最初の一歩は、自治体のホームページを見ることです。
「障害者就労施設等からの物品等の調達方針」や「調達実績報告書」が公開されています。

・自治体がどんな業務を外注しているか
・どの課(部署)がどんなものを買っているか
・調達実績のあるB型事業所の名前

これを知るだけで、「営業すべき部署」が明確になります。
たとえば印刷業務が多い自治体なら、当事務所が推奨するデジタル印刷・デザイン事業がマッチする可能性も高いのです。

ステップ②:行政に「自分たちの仕事」を伝える

調達推進法は“登録制”ではありません。
したがって、発注してもらうためには、自ら情報を届けることが重要です。

たとえば
・施設パンフレット(仕事内容・実績・得意分野)
・商品カタログ・作業サンプル
・品質管理・納期管理の仕組み
・見積書の提出先・連絡担当者の明記

「発注したい」と思ってもらえるよう、行政職員にわかりやすく提示することが大切です。

 

宮城県などでは「障害者就労施設等データベース」や「カタログ掲載」制度を設けている地域もあります。
県や市の福祉課・障害福祉課・契約課に問い合わせてみるのも一つの方法です。

 ステップ③:契約・見積の準備を整える

自治体と取引する際には、法的書類の整備が不可欠です。
一般の企業取引と同じように、「契約書」「見積書」「請求書」などの正確さ・整合性が求められます。

特にチェックすべきはこの3つ

書類名 ポイント
契約書 請負・委託・物品納入のどれかを明確にする
見積書 仕様・単価・納期を正確に記載
請求書 事業所名義・印・振込先の整合性

ステップ④:「品質管理」と「体制」をアピールする

発注する行政の側が気にするのは、「納期」「品質」「対応力」の3点です。

そのため、事業所の体制を明確にしておくと信頼を得やすくなります。

たとえば
・作業工程表(だれが・どの工程を・どの期間で)
・品質チェックリスト
・不良時の再作業ルール
・外注・納品時の個人情報管理方法
これらを一枚にまとめた「業務管理シート」を作っておくと、自治体職員に「安心して発注できる」と感じてもらえます。

 ステップ⑤:営業ではなく“調達提案”として話す

営業というと「売り込み」という印象がありますが、調達推進法では、むしろ「行政の課題を解決する提案」が喜ばれます。

“業務改善型の提案”を行うことで、担当課との信頼関係が生まれます。
“売る”ではなく、“手伝う”視点が大切です。
 

次回のブログはコチラ⇒<障害者優先調達推進法とは④>調達事例と成功のポイント

2025年11月10日 00:44

<障害者優先調達推進法とは②>調達の仕組みと対象となる取引

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こんにちは、行政書士の大場です。

前回は、「障害者優先調達推進法」とはどんな法律か、そしてそれが“販路拡大のチャンス”になる理由をお話ししました。

前回のブログはコチラ⇒<障害者優先調達推進法とは①>「障害者優先調達推進法」とは何か?

今回はもう少し踏み込んで、「実際にどんな仕事が対象になるのか」「どういう仕組みで発注されるのか」を具体的に見ていきましょう。

 国や自治体が「買っている仕事」とは?

役所の中では、毎日のように物品購入や業務委託が行われています。
たとえば、次のようなものが対象です。

・清掃・草刈り・除雪などの軽作業
・封入・封かん、宛名印刷、発送代行
・チラシ・パンフレット・名刺の印刷
・ノベルティグッズ・記念品の制作
・農産物・お菓子などの物品販売
・ホームページ更新やデータ入力などの事務補助

これらは「物品調達」または「役務(サービス)調達」と呼ばれ、B型事業所でも受託可能な業務が多く含まれています。

 仕組み①:毎年、自治体が「調達方針」を公表する

障害者優先調達推進法では、すべての国機関・都道府県・市町村に対して、毎年度「調達方針」を策定・公表することが義務づけられています。

たとえば・・・
・どんな分野で障害者就労施設から調達を増やすのか
・今年度の目標金額・目標件数はどのくらいかといった内容が明示されます。

宮城県の例
「印刷・清掃・封入封かん業務など、引き続き障害者就労施設からの調達を推進する」
(令和6年度 障害者就労施設等からの物品等調達方針 より)

つまり、「何を買いたいか」は毎年公表されており、営業のヒントがすでに公開されているということです。

 仕組み②:調達実績が「数字」として公表される

この法律のユニークな点は、「どのくらい買ったか」を各自治体が毎年報告することです。
国・自治体が、どんなものを・どのくらいの金額で障害者就労施設から購入したのかを、年次報告書にまとめて公表。

たとえば
・県庁:印刷・事務用品 調達総額300万円
・市役所:清掃・除草業務 調達件数12件など、数字として一覧化されます。

これは“営業データ”でもあり、「どの部署がどんな仕事を外注しているか」を見える化する資料になります。

 対象となる「障害者就労施設等」とは

法律上の対象は、以下のような施設です。

区分 対象となる事業
就労継続支援A型・B型 最も多い対象、継続的な業務委託が可能。
就労移行支援事業所 一部の役務提供も可(清掃・軽作業など)。
地域活動支援センター 物品販売などで対象になる場合あり。

つまり、「B型事業所だけの法律」ではありませんが、継続的な“請負・受託”ができる体制がある事業所ほどチャンスが大きいのです。

 仕組み③:発注のルートには「随意契約」が使える

通常、自治体の契約は「入札」が基本です。
しかし、障害者優先調達推進法に基づく取引では、入札を行わずに発注(随意契約)できる特例が認められています。
「障害者就労施設等からの調達を促進するため、随意契約を行うことができる」(会計法施行令第99条第1項第14号)

つまり・・・
「見積書1枚+実績紹介」で直接受注できるケースもあるのです。
この点が一般の企業取引との大きな違いです。

 行政書士としての視点

調達契約に進むためには、契約書・仕様書・請負関係書類の整備が必須です。

行政書士として支援できるのは、以下のような部分です。

・契約書・見積書の法的整合性チェック
・仕様書や請負範囲の整理
・個人情報・守秘義務の条項整備
・役務提供におけるリスク分担の明確化

こうした“書類整備”ができていないと、せっかくの依頼が「契約手続きで止まってしまう」こともあります。
法律を「活かす」ためには、法的準備も大切です。

次回のブログはコチラ⇒<障害者優先調達推進法とは③>どうすれば発注先になれるのか?

2025年11月10日 00:29

<障害者優先調達推進法とは①>「障害者優先調達推進法」とは何か?

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こんにちは、行政書士の大場です。

今日は「障害者優先調達推進法」という、少し堅い名前の法律をテーマにしてみます。

名前だけ聞くと難しそうですが、実は、B型事業所や福祉事業者にとって、「販路を広げるチャンス」になる法律なんです。
 

 制定の背景:「働く場」を“つくる”ために

この法律の正式名称は、「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」平成25年(2013年)に施行されました。

目的は明確です。
国や自治体などの公的機関が、できるだけ障害者就労施設等から物品やサービスを“優先的に購入”するようにする。

つまり・・・
「買って応援」ではなく、“仕事を発注することで支える”という考え方です。

これは単なる福祉政策ではなく、障害者の「働く力」を経済活動の中で評価する仕組みでもあります。

 公共調達という「販路」

たとえば
・市役所の清掃業務
・町内の封入・発送作業
・広報誌の印刷
・花壇の管理
・名刺・チラシの制作

こうした仕事を、国や自治体は毎年、数多く外注しています。
その発注先を、「一般企業だけでなく、障害者就労施設にも広げよう」というのがこの法律の狙いです。

実績は「自治体ごと」に公表される

法律に基づき、各省庁・自治体は毎年「調達実績報告書」を作成・公表しています。

たとえば宮城県のホームページを見ると、「令和5年度 障害者就労施設等からの物品等の調達実績」が掲載されています。

・調達総額
・調達件数
・発注先の事業所名(公表対象の場合)が一覧で見られ、これが「福祉事業所の営業資料」にもなるのです。

 法律の意義:助成金ではなく“市場を作る”仕組み

この法律のすばらしい点は、お金を「配る」制度ではなく、お金が“仕事として循環する”制度だということです。
補助金・助成金のように一時的な支援ではなく、継続的に「注文が来る」仕組みがある。

これは、工賃アップや自立支援の土台になります。

 行政書士としての視点

この法律を活かすには、「発注できる体制を整えておくこと」が大切です。
・見積書や請求書の正しい書式
・請負・委託契約書の整備
・責任者や納期管理のルール化
・品質管理・個人情報管理の体制

これらは行政書士が支援できる重要な部分です。
“買ってもらえる事業所”になるために、法的・実務的な整備は欠かせません。

次回のブログはコチラ⇒<障害者優先調達推進法とは②>調達の仕組みと対象となる取引

2025年11月10日 00:13

<利用者さんの親なき後の問題を考える③>制度でできること < 成年後見制度・信託・遺言をわかりやすく>

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こんにちは、行政書士の大場です。
前回は、親御さんが抱える不安の中身を「お金」「住まい」「兄弟」「支援」「本人の生活力」という5つの視点から整理しました。
前回のブログはコチラ⇒<利用者さんの親なき後の問題を考える②>親の不安ベスト5 <~行政書士が解説~>

では、それらの不安を制度でどう支えることができるのか
今回は「法的な備え」の代表的な3つの制度を、やさしく整理してみます。

 

1. 成年後見制度 

「お金の管理が心配」「契約が難しい」そんなときに役立つのが成年後見制度です。

成年後見制度には2つのタイプがあります。

法定後見:すでに判断が難しくなっている場合に、家庭裁判所が後見人を選ぶ制度。
任意後見:まだ判断力があるうちに「将来のために信頼できる人」を自分で決めておく制度。

後見人は、預貯金の管理、施設との契約、福祉サービス利用の手続きなどを本人の代わりに行います。

2. 家族信託(民事信託) 

近年増えているのが家族信託(民事信託)という方法です。
「後見人に頼むよりも、家族の中で柔軟に管理したい」という方に向いています。

たとえば
・親が“委託者”として財産を管理を子に託す
・子(“受託者”)が親のためにお金を使い、管理する

という仕組みです。

生きているうちから機能するのが特徴です。
信頼できる家族に任せられる一方、契約内容を慎重に作らないとトラブルになることもあるため、専門家による契約書作成や公証が重要になります。

3. 遺言書 

「兄弟にに迷惑をかけたくない」「この子が安心して暮らせるように財産を残したい」そんな気持ちを形にできるのが遺言書です。

特に“親なき後”に備える遺言では、次のような工夫が大切です。

・障害のある子への遺産分配を具体的に書く
・信頼できる親族や後見人に管理を任せる内容を盛り込む
・公正証書にして、確実に実行されるようにする

制度の活用

成年後見、家族信託、遺言、どれも大切ですが、目的は「安心して暮らしを続けること」です。
制度そのものが目的ではありません。

大事なのは、「どんな暮らしを望むのか」を家族で話し合い、その想いを実現するために、制度を道具として選ぶことが大切になります。

次回のブログはコチラ⇒

2025年11月09日 01:59

<利用者さんの親なき後の問題を考える②>親の不安ベスト5 <~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

前回は、「親なき後」とは何か、そしてそれが“親の不安”と“本人の生活”の両面に関わる問題であることをお話ししました。
前回のブログはコチラ⇒<利用者さんの親なき後の問題を考える①>「親なき後の問題」って何? <~行政書士が解説~>

今回は、実際にご相談の中で耳にする「親なき後」の不安ベスト5を紹介します。

「うちも同じだな」と感じる部分があれば、そこが“備えの第一歩”になるかもしれません。

第1位 お金の管理ができるか心配

最も多いのが、金銭管理に関する不安です。
「通帳を渡したら全部使ってしまうのでは」「だまされないか」そんな声を聞きます。

支援制度の中には「日常生活自立支援事業」や「成年後見制度」など、金銭面を支援する仕組みがありますが、それぞれにメリット・デメリット、利用条件があるため、早めの検討が大切です。

第2位 住む場所がなくなるのでは

「自分の家で一緒に暮らしてきたけれど、私がいなくなったらこの家はどうなるのか?」持ち家であれば名義・相続・固定資産税の問題、
賃貸であれば契約更新・保証人の問題が出てきます。


「生活の場」をどう確保するかは、親なき後の支援の中でも最も現実的で、そして根深いテーマです。

第3位 兄弟に負担をかけたくない

「上の子に迷惑をかけたくない」「相続のことで争いたくない」親のやさしさが生む、静かな葛藤です。

ここでは、遺言書や家族信託などで“分け方”や“任せ方”を明確にしておくことが有効です。
気持ちを言葉にし、法的に残すことは、兄弟間の関係を守ることにもつながります。

第4位 施設や支援先が見つからない

「いざとなったとき、どこに預ければいいの?」支援体制そのものへの不安も多く聞かれます。

実際、地域によっては入所施設やグループホームが不足しており、“待機”のまま何年も過ごすケースもあります。

今のうちに、地域の事業所・相談支援専門員などとつながっておくこと。これが、いざというときの“支えの地図”になります。

第5位 本人が自分の人生を選べるのか

親なき後の最も本質的な問いは、「この子が“自分らしく生きていけるか”」ということかもしれません。

金銭や住まいの備えと同じくらい大切なのが、本人が自分で決める練習を重ねていくこと。
たとえば買い物や通院など小さな自己決定の積み重ねが、親なき後の生活力を育てていきます。

次回のブログはコチラ⇒<利用者さんの親なき後の問題を考える③>制度でできること < 成年後見制度・信託・遺言をわかりやすく>
 

2025年11月09日 01:45

<利用者さんの親なき後の問題を考える①>「親なき後の問題」って何? <~行政書士が解説~>

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こんにちは,行政書士の大場です。

最近、よく耳にする言葉があります。
それが「親なき後の問題」です。

けれど、この言葉、聞いたことはあっても、「具体的に何を指すのか」は意外と知らない方が多いです。
 

“親なき後”とは、誰の不安のことか

親なき後とは・・・
障害のある子どもを支えてきた親が、高齢や病気、死去によって支援できなくなった後その子がどう暮らしていくのか、という問題です。

たとえば、こんな声をよく聞きます。
「自分がいなくなった後、この子はどうやって生活していくんだろう」,「施設に入れるのも順番待ちだし、頼れる親戚もいない」

親御さんの心配は尽きません。
そして実は、本人にとっても「自分の生活をどう守るか」はとても大きなテーマです。

現場で起きていること

支援現場では、「親が元気なうちは安定していたけれど、亡くなってから生活が一変した」というケースも少なくありません。
金銭管理ができず滞納が続いたり、住まいを失ったり,制度や支援につながらないまま孤立してしまうこともあります。

つまり「親なき後問題」は、“親の不安”と“本人の生活”の両面に関わる問題なのです。

障害福祉サービスだけでは解決できない理由

この問題は、単に障害福祉サービスの利用だけで完結する話ではありません。
財産や住まいの名義、後見制度の利用、遺言や信託といった法的な備えが必要になることも多いからです。


ここに、行政書士などの法務専門家が関わる意味があります。
「誰が」「どのように」「どんな制度で」支えるのかを、家族・支援者・専門家で一緒に考えることが大切です。

 “親なき後”を考えるということは“親なき後”に「親がいなくなった後にどうするか」だけでなく、「親が元気なうちに、どう備えるか」という前向きなテーマでもあります。

次回のブログはコチラ⇒<利用者さんの親なき後の問題を考える②>親の不安ベスト5 <~行政書士が解説~>

2025年11月09日 01:25

<企業向け障害雇用制度(障害者雇用促進法)④>「働き続けられる」環境つくり<~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

前回は、企業が活用できる助成金や支援制度を紹介しました。
前回のブログはコチラ⇒<障害雇用制度(障害者雇用促進法)③>企業が活用できる助成金・支援制度<~行政書士が解説~>

今回はその“次のステップ”として、採用したあと、どうすれば長く働き続けてもらえるのか?
「定着支援」について考えてみたいと思います。

 採用よりも難しい「定着」

障害者雇用では、採用までは順調に進んでも、「数ヶ月で辞めてしまった」「職場に馴染めなかった」
という声を多く耳にします。


原因をたどると、本人の能力や性格よりも、“職場環境”と“周囲の理解” に課題があるケースがほとんどです。

 定着を支える3つの視点

① 職場の理解を広げる

上司・同僚が障害特性を理解し、配慮の意味を共有することが重要です。
「特別扱い」ではなく、「働きやすい工夫」として伝えることで、職場全体の雰囲気が柔らかくなります。

たとえば

・指示を“口頭+メモ”で伝える
・作業手順を「見える化」する
・苦手より「できること」を軸に役割を決める

 “理解”は支援の第一歩です。

② 仕事の“マッチング”を見直す

業務内容が本人の特性と合っていない場合、どんなサポートをしても長く続きません。

雇用後も定期的に

・作業の難易度や分量を見直す
・得意な工程にシフトする
・体調や生活リズムに合わせた勤務時間へ調整

こうした“再マッチング”ができる体制が理想です。

③ 外部支援を活用する

企業だけで抱え込む必要はありません。
外部の支援機関をうまく使うことで、安定した雇用につながります。
・ジョブコーチ(職場適応援助者)による定期訪問支援
・就労支援事業所(A型、B型・就労移行支援)との連携
・地域障害者職業センターによる職場定着支援
“外部との連携”が、社内の安心を生みます。

 環境づくり=「合理的配慮」の実践

障害者雇用促進法では、企業に対して「合理的配慮の提供」が義務化されています。

合理的配慮とは
障害のある社員が他の社員と同じように働けるよう、必要かつ過度でない調整を行うこと。

たとえば
・出勤時間の柔軟化
・業務指示方法の変更(口頭→文書)
・休憩時間の追加設定
・作業動線のバリアフリー化

これらは、設備投資だけでなく工夫やルールづくりでも実現できます。
また、前回紹介した「障害者職場改善助成金」などを活用すれば、費用面の負担も軽減可能です。

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2025年11月09日 00:54