<障害者優先調達推進法とは②>調達の仕組みと対象となる取引
こんにちは、行政書士の大場です。
前回は、「障害者優先調達推進法」とはどんな法律か、そしてそれが“販路拡大のチャンス”になる理由をお話ししました。
前回のブログはコチラ⇒<障害者優先調達推進法とは①>「障害者優先調達推進法」とは何か?
今回はもう少し踏み込んで、「実際にどんな仕事が対象になるのか」「どういう仕組みで発注されるのか」を具体的に見ていきましょう。
国や自治体が「買っている仕事」とは?
役所の中では、毎日のように物品購入や業務委託が行われています。
たとえば、次のようなものが対象です。
これらは「物品調達」または「役務(サービス)調達」と呼ばれ、B型事業所でも受託可能な業務が多く含まれています。
仕組み①:毎年、自治体が「調達方針」を公表する
障害者優先調達推進法では、すべての国機関・都道府県・市町村に対して、毎年度「調達方針」を策定・公表することが義務づけられています。
宮城県の例
「印刷・清掃・封入封かん業務など、引き続き障害者就労施設からの調達を推進する」
(令和6年度 障害者就労施設等からの物品等調達方針 より)
つまり、「何を買いたいか」は毎年公表されており、営業のヒントがすでに公開されているということです。
仕組み②:調達実績が「数字」として公表される
この法律のユニークな点は、「どのくらい買ったか」を各自治体が毎年報告することです。
国・自治体が、どんなものを・どのくらいの金額で障害者就労施設から購入したのかを、年次報告書にまとめて公表。
これは“営業データ”でもあり、「どの部署がどんな仕事を外注しているか」を見える化する資料になります。
対象となる「障害者就労施設等」とは
法律上の対象は、以下のような施設です。
| 区分 | 対象となる事業 |
|---|---|
| 就労継続支援A型・B型 | 最も多い対象、継続的な業務委託が可能。 |
| 就労移行支援事業所 | 一部の役務提供も可(清掃・軽作業など)。 |
| 地域活動支援センター | 物品販売などで対象になる場合あり。 |
つまり、「B型事業所だけの法律」ではありませんが、継続的な“請負・受託”ができる体制がある事業所ほどチャンスが大きいのです。
仕組み③:発注のルートには「随意契約」が使える
通常、自治体の契約は「入札」が基本です。
しかし、障害者優先調達推進法に基づく取引では、入札を行わずに発注(随意契約)できる特例が認められています。
「障害者就労施設等からの調達を促進するため、随意契約を行うことができる」(会計法施行令第99条第1項第14号)
つまり・・・
「見積書1枚+実績紹介」で直接受注できるケースもあるのです。
この点が一般の企業取引との大きな違いです。
行政書士としての視点
調達契約に進むためには、契約書・仕様書・請負関係書類の整備が必須です。
行政書士として支援できるのは、以下のような部分です。
こうした“書類整備”ができていないと、せっかくの依頼が「契約手続きで止まってしまう」こともあります。
法律を「活かす」ためには、法的準備も大切です。
次回のブログはコチラ⇒<障害者優先調達推進法とは③>どうすれば発注先になれるのか?