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<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑩>「工賃」はどうやって決まるの? 

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型事業所の現場を見ていると、同じように見える作業でも「工賃の差」が意外と大きいことに気づきます。

ある事業所では月1万円、別の事業所では3万円を超えていることもあります。

なぜ、こんな違いが生まれるのでしょうか。
実は「工賃の決まり方」には、明確なルールと“設計”があります。

工賃の原点は「生産活動収入」

工賃のもとになるのは、事業所が得た生産活動収入です。

たとえば・・・
・下請け作業(袋詰め・検品など)
・自主製品の販売(お菓子・雑貨・印刷物など)
・企業や自治体との委託業務

これらで得た売上から材料費や経費を引き、残った部分を利用者へ分配します。
つまり工賃とは、「売上の結果」ではなく「経営判断の結果」なんです。

工賃を決める3つの要素

工賃の額は、次の3つのバランスで決まります。
1,生産活動の売上(収入)
 → 工賃の原資、何の仕事で収入を得るか。
2,経費構造(材料費など)
 → 工賃にまわせる金額をどれだけ確保できるか。
3,分配ルール(支給基準)
 → 利用者ごとの支給額をどう決めるか。
この3つのバランス次第で、同じ売上でも「工賃の出し方」が大きく変わります。

平均工賃の全国水準

厚生労働省の調査によると、令和5年度の就労継続支援B型の平均工賃は月額約18,000円前後です。
ただし、地域や業種によって差が大きく、製造やデザイン、印刷など付加価値の高い業種では3万円を超える事業所もあります。
「平均額を追うよりも、自事業所のモデルを作ること」これが工賃アップの第一歩です。

「売上=工賃」ではない

よく誤解されるのが、「売上が上がれば工賃も上がる」という考え方です。
実際には、次のような要因で工賃額は変わります。
・材料費や外注費が多ければ、工賃原資は減る
・設備投資や家賃負担が増えると、分配に回せない
・作業量や参加日数の違いで、支給額がばらつく

つまり、工賃は経営の“結果”ではなく、“設計”の問題です。
どんなルールで分けるのかを明確にしておくことで、公平で納得感のある仕組みが生まれます。


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2025年11月10日 03:12

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑨>職員体制と経営の安定化<~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

ここまで、「職員配置」や「加算届」「変更届」など、制度の“仕組み”を中心にお話ししてきました。

今回は少し視点を変えて、「職員体制をどう整えれば経営が安定するのか?」そして、「加算をどう“活かす”か?」を考えていきます。
 

① 加算は「経営のボーナス」ではなく「体制の裏づけ」

「加算を取る=収入アップ」ではありますが、本来の目的は“報酬アップ”よりも、“支援体制の質を上げること”にあります。

たとえば、
・サービス提供体制加算は、経験豊富な職員を配置して支援の質を維持するための加算です。
・処遇改善加算は、職員を安定的に雇用し続けるための加算です。
・目標工賃達成指導員加算は、生産活動の充実によって工賃を上げるための加算です。

<行政書士の視点>
加算は「利益」ではなく「支援の質の証明書」です。

② 「配置基準を満たす」から「チームで回す」へ

多くの事業所では、“最低基準を満たすこと”に精一杯で、結果としてギリギリの人員配置になっています。

でも、B型事業の特性上、
・利用者の体調変動
・生産活動の波
・職員の入れ替わり……こうした不確定要素が常にあるため、“ぎりぎりの配置”は経営リスクになります。

< 行政書士の視点>
加算職員が急に退職しても、体制が崩れないようにすることが経営の安定につながります。

③ 「加算職員=経営資源」としての考え方

たとえば、
目標工賃達成指導員を「加算のための配置」と考えるか、「生産活動の責任者」として育てるか
この差が、半年後・1年後の工賃水準に確実に現れます。
見方 結果
加算を取るために配置 要件を満たしても成果が見えない
経営の柱として育成 工賃アップ・販路開拓・生産性向上に直結

< 行政書士の視点>
加算職員は“経費”ではなく“投資”です。
加算で得た分を再び人材育成に回すそれが「持続可能なB型運営」の考え方です。

 ④ 「加算=固定費」ではなく「変動資金」として使う

加算はあくまで「要件を満たして初めて得られる報酬」です。
つまり、“変動的な資金”です。

 ⑤ 「支援の質 × 経営の安定」こそが、次の時代のB型運営

令和6年度報酬改定でも、国は“多様な生産活動”や“地域連携による工賃アップ”を重視しています。
つまり・・・
「支援」と「経営」は、もはや別の話ではありません。
観点 ポイント
支援の質 職員配置・支援時間・個別支援計画の精度
経営の安定 加算の継続・工賃の安定・人材の定着
行政評価 工賃向上計画の実施状況・地域との協働


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2025年11月04日 12:20

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑧>変更届の実務 <~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

B型事業所の運営で避けて通れないのが、職員の異動や退職です。
「うちは職員が安定してるから大丈夫」と思っていても、ある日突然、「今月いっぱいで退職します」と言われる。

その瞬間、頭の中にこう浮かぶはずです。
「あっ……加算どうなるんだっけ?」
 

 ① 「変更届」とは?

まず基本から見ていきます。

変更届とは、届出済みの人員体制・加算内容などに変更が生じた場合、その事実を行政(県や指定権者)に報告する書類のことです。

就労継続支援B型では、次のようなケースで提出が必要になります。

提出が必要なとき 主な内容
職員の退職・異動 サビ管、職指、生支、加算職員など
職員の勤務形態変更 常勤→非常勤、兼務→専任など
新規加算の開始/終了 目標工賃達成指導員加算など
事業所情報の変更 住所、代表者、定員など

< 行政書士の視点>
「人が変わったとき」は必ず変更届がセットです
書類上の世界では、“職員がいる”ことより“届出がある”ことが重要です。

 ② “月途中の退職”が一番やっかい

現場で一番混乱するのがここ。
「退職日は15日。じゃあ、その月の加算は取っていいの?」

結論から言うと・・・
その月の加算は基本的に“日割り不可・月単位扱い”です。

つまり、
・退職が月途中(15日など)の場合 → その月は加算算定できないケースが多い
・退職が月末(30日または31日)の場合 → 翌月からの変更届でOK

< 行政書士の視点>
“加算は月単位”という原則です。
「15日までいたんだから半月分出るでしょ?」という考えは通りません。

③ 「変更届」を出すタイミング

変更内容 提出期限の目安
職員の退職・異動 変更があった日から10日以内
加算の終了 算定をやめる月の翌月10日まで
職員採用などで復帰 新しい職員が着任したら1か月前ルールに注意(再届出)

 

 ④ 「退職→補充」の間が空いた場合

たとえば、目標工賃達成指導員が退職し、次の職員が採用されるまで1か月空くケース

→ この期間は、加算を算定できません。

加算職員が配置されていない月は、報酬請求上、その加算項目を外す必要があります。

<行政書士の視点>
変更届は「退職」と「新任」で2回出すのが原則です。
“抜けた期間”があると、後で返還対象になる可能性があります。

 ⑤ 行政書士がよくやるアドバイス

・退職が決まった時点で同日に変更届ドラフトを作成
・新任予定者が決まったら再届出の準備を同時に進める
・変更届の控えには退職日・提出日・担当者名を記録
・県や市の様式は年度ごとに変わることがあるため、最新版を確認

次回のブログはコチラ⇒
<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)⑨>職員体制と経営の安定化<~行政書士が解説~>
 
2025年11月04日 11:52

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑦>加算届と算定ルール<~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

就労継続支援B型の制度を見ていくと、「加算」という仕組みがいくつも登場します。

報酬改定のたびに新しい加算が増えたり、算定要件が細かくなったり・・・

中には「名前は知っているけど、どう取ればいいのか分からない」という加算も多いのではないでしょうか。


今回は、“加算届”と“算定ルール”の基本を、行政書士の視点から整理してみます。

 ① 加算とは? ― ざっくり言えば“頑張りボーナス”

加算とは、国が定めた「特定の取り組みをしている事業所に上乗せ支給する報酬」のことです。

「頑張っているところには、ちゃんと報いる」という仕組みです。

分類 主な加算 内容
職員・体制系 サービス提供体制加算、処遇改善加算、特定処遇改善加算 職員の配置・経験・資格に応じて加算
支援内容系 目標工賃達成指導員加算、生活支援体制加算 支援内容や利用者成果に応じて加算
事業運営系 福祉専門職配置加算、送迎加算、就労定着支援加算など 体制整備・外部連携の充実度で評価

<行政書士の視点>
「加算」とは、行政的には“届出+要件充足+算定実績”の三位一体、届出を出しただけでは、1円も加算されません。

 ② 「届出」と「算定」は別モノ

ここが現場で最も誤解されやすいポイントです。

用語 意味 タイミング
届出 「うちの事業所はこの加算を取る予定です」と県に申請すること 算定開始の1か月前まで
算定 実際に要件を満たして請求すること 毎月の給付費請求時

たとえば、
「4月からサービス提供体制加算Ⅱを取りたい」場合、3月中に届出を出しておく必要があります。

<行政書士の視点>
“届出=宣言”です。“算定=証拠”です。
どちらか片方だけでは加算は成立しません。

 ③ 「目標工賃達成指導員加算」は特に要注意

B型特有の加算で、人気も高いのがこれ
でも、要件が意外と細かい

要件 内容
職種 目標工賃達成指導員を専任で1名配置(常勤換算1.0)
資格 必須資格なし(経験または能力でOK)
兼務 サビ管・職支・生支との兼務不可(他の職務と同時間帯NG)
業務内容 工賃向上計画の策定・実施・営業活動など
届出 1か月前に提出(変更時も再届出)

 ④加算を「取る」から「活かす」

加算は“取る”ことが目的ではありません。
“取れる状態を維持して、支援の質と職員の安定をつくる”ためのものです。

<行政書士の視点>
加算を「報酬アップのため」だけでなく、「職員の定着・やりがい・チーム強化」に使うためのものですので戦略や計画が必要になってきます。

次回のブログはこちら→<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)⑧>変更届の実務 <~行政書士が解説~>

2025年11月04日 02:36

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑥>勤務形態の考え方 <~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

就労継続支援B型事業所の職員配置を考えるときに、必ず出てくるのがこの言葉「常勤換算(じょうきんかんさん)」です。
なんだか数学っぽい響きですよね。
実は、これは“人の数を足し算するための便利な仕組み”なんです。

 

 ① 常勤換算とは? ― “時間の足し算”で1人にするルール

たとえば、Aさんが週20時間働き、Bさんが週20時間働いていたら、合わせて1人分の働き、という考え方です。

職員 勤務時間 常勤換算値
Aさん 週20時間 0.5
Bさん 週20時間 0.5
合計 1.0(=常勤1人分)

つまり、
「常勤換算1.0人分」を確保していれば、
法令上も報酬上も“1人配置”とみなされます。

< 行政書士の視点>
人数ではなく“時間”で見るのがポイントです。
「3人いるから足りてる」ではなく、「合計で何時間働いているか」で判断されます。

② よくある“勘違い”

< よくある誤解その1>
「週にちょっとでも来ていれば、0.5人くらいにはなるでしょ?」
→ 残念ながらなりません。
常勤(週40時間など)を1.0とすると、その人の勤務時間がどれだけかで正確に按分されます。
例:週10時間なら 10 ÷ 40 = 0.25人分
 <よくある誤解その2>
「午前だけ来てるパートさんを3人足せば、1人になるはず!」
→ これも要注意。
重複時間があると、同じ時間帯に3人が同時に働いても1人分にしかならないことがあります。
行政は「重なった時間ではなく、延べ勤務時間」で判断します。

③ 「兼務」は便利だが、扱いは慎重に

B型事業所では、同じ法人内<多機能型など>
・サービス管理責任者
・職業指導員
・生活支援員が兼務することがあります。
でも、ここにも注意点が・・・
<兼務のルール>
・同一時間帯に2役を兼ねるのはNG
・兼務届の提出が必須場合あり
・勤務時間の記録を明確に分けること
 

< 行政書士の視点>
「午前中はサビ管、午後は職業指導員」というのはOK。でも「終日サビ管+生活支援」はアウトです。
時間の重複があると、どちらの配置にもカウントされません。


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)⑦>加算届と算定ルール<~行政書士が解説~>

2025年11月04日 02:07

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑤>職員配置の基本 <~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

令和6年度の報酬改定では、就労継続支援B型事業所の職員配置と報酬体系に関して大きな見直しがありました。

これまでのB型では、「7.5:1」「10:1」という2つの区分で報酬が設定されていましたが、今回の改定で新たに「6:1配置」が加わり、より手厚い支援体制を取る事業所に対して報酬が上乗せされる仕組みになりました。

① 「従業者配置区分」の3段階

現在の就労継続支援B型では、職業指導員+生活支援員(従業者)の配置人数に応じて、報酬単価が3段階に分かれています。

区分 配置基準(常勤換算) 内容・特徴
Ⅰ型(6:1) 利用者6人につき1人以上 令和6年度改定で新設。重度利用者・個別支援中心。
Ⅱ型(7.5:1) 利用者7.5人につき1人以上 標準的な支援体制。多くの事業所が該当。
Ⅲ型(10:1) 利用者10人につき1人以上 自立度の高い利用者が多い事業所向け。報酬単価は低め。

<行政書士の視点>
「6:1区分」は新設区分であり、より丁寧な個別支援や重度化への対応を行う事業所に重点を置いた報酬構造です。
一方、7.5:1・10:1は従来どおり選択可能な区分として存続しています。

② 「基準配置」と「報酬区分」の違い

職員配置には、「法律で定められた最低限の配置基準」と「報酬(給付費)を決めるための配置区分」があります。

種類 内容 根拠
指定基準(最低ライン) 利用者20人に対して職業指導員+生活支援員の合計1人以上 障害者総合支援法施行規則
報酬上の区分 6:1/7.5:1/10:1 のいずれか 厚労省報酬告示(令和6年改定)

<行政書士の視点>
20:1はあくまで「指定上の最低限」であり、実際の給付費はこの6:1〜10:1のどこに属するかで決まります。

③ 区分の違いが“経営”に直結する

区分 想定される支援内容 報酬単価の傾向
6:1 重度障害者中心・個別支援・医療的ケアも含む 高単価(新設)
7.5:1 標準的な支援・生産活動+生活支援の両立 中程度
10:1 軽作業中心・自立支援重視 低単価

< 行政書士の視点>
「6:1型」は報酬が上がる反面、職員確保・教育コストも大きくなります。無理に上位区分を狙うよりも、自事業所の支援実態に合った区分を選ぶことが大切です。

 ④ 「配置」は支援の設計図

令和6年の改定で、職員配置は単なる「人数要件」から、支援の質と方向性を示す経営戦略の一部へと変わりました。

<行政書士の視点>
6:1・7.5:1・10:1――この数字は「どんな支援を行いたいか」という意思表示でもあります。
自事業所の理念と現場体制をすり合わせながら、持続可能な配置を設計していきましょう。

次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)⑥>勤務形態の考え方 <~行政書士が解説~>

2025年11月04日 01:56

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)④>契約後の管理<~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

利用契約を締結したあと、「これで一安心」と思われるかもしれません。


しかし、B型事業所の契約書類は“契約した時点で終わりではなく、“継続的に管理していく”書類です。
更新・変更・記録の整合性をおろそかにすると、実地指導で思わぬ指摘を受けることもあります。

今回は、契約後に必要な管理のポイントを整理していきます。

 ① 契約書の「有効期間」を管理する

契約書には、必ず契約期間(通常6か月〜1年)が定められています。
この期間が過ぎると、契約は自動的に延長されるものではなく、再契約(または更新確認)が必要です。

チェック項目 内容
契約期間 受給者証の支給期間と一致しているか
契約更新日 次回更新の時期をスケジュール管理しているか
更新手続き 契約書・重要事項説明書の再確認・署名

<行政書士の視点>
ExcelやGoogleカレンダーなどで、契約更新アラートを設定しておくと便利です。

 ② 契約内容が変わったときは「契約変更」

利用日数・通所時間・工賃・送迎範囲など、契約内容に変更があった場合は、「契約変更書」または「覚書」を取り交わします。

変更内容 対応書類 備考
通所日数の変更 契約変更書 利用計画書・支援記録も修正
工賃の改定 覚書 支払規程もあわせて修正
送迎範囲・時間変更 契約変更書 苦情・事故防止の観点からも重要
利用料の改定 新契約または覚書 重要事項説明書の改訂が必要な場合あり

< 行政書士の視点>
契約変更は「文書で合意」して初めて有効です。口頭で「来月から日数を増やします」と伝えただけでは、法的な契約変更になりません。

 ③ 記録・契約内容・受給者証の“三点整合”

実地指導で必ず見られるのが、契約書・個別支援計画・受給者証の“三点整合”です。

比較項目 よくある不整合 改善のヒント
利用日数 契約書と支援計画で日数が異なる 計画変更時に契約書も確認
支給期間 受給者証と契約書の日付がズレている 契約更新日を受給者証に合わせる
支援内容 契約書では軽作業、計画では清掃など 契約書の「支援内容」欄を具体化

<行政書士の視点>
「契約書は前回のまま」「支援計画だけ更新」になっているケースがあります。
常に“3つの書類が同じ方向を向いているか”を意識が大切です。

 ④ 退所・契約終了の取り扱い

退所や転所の際も、「契約終了届」を整えておく必要があります。

手続き 内容
契約終了書 契約終了の合意書。理由・日付・署名を明記
支給停止届(市町村へ) 利用終了を行政へ報告
返金・工賃清算 利用料・工賃の最終清算を実施
記録保管 契約関係書類は5年間保管が原則


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)⑤>職員配置の基本 <~行政書士が解説~>

2025年11月04日 01:04

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)③>契約時の書類と説明ポイント <~行政書士が解説~>

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こんにちは。行政書士の大場です。

就労継続支援B型の契約手続きは、「とりあえず書面にサインをもらう」ものではありません。

契約とは、利用者と事業所が“これからどう関わっていくか”を共有する最初の場面です。

特に、令和7年10月から始まった「就労選択支援」を経て利用を決めた方の場合、事業所への期待や不安も大きく、丁寧な説明と納得感のある契約が求められます。

① 契約時にそろえるべき書類一式

契約時には、以下の書類をセットで交付・署名するのが原則です。

書類名 内容 注意ポイント
利用契約書 サービス内容・期間・利用料・解約条件 双方署名・押印(本人または代理人)必須
重要事項説明書 事業所の概要・運営方針・体制・苦情対応 「最新版」を使用すること(年度改定対応)
個人情報同意書 情報の取り扱い・第三者提供に関する同意 支援記録や行政報告への利用を明記
サービス利用同意書 支援内容・作業内容・工賃支払いの明示 “仕事”の位置づけを正確に説明
受給者証の写し 市町村発行のもの 契約期間と支給期間を照合
身元保証・緊急連絡票 緊急時対応・家族連絡先 支援中の安全確保に必要

< 行政書士の視点>
書類は「一式」で契約を構成します。

② 契約説明のポイント ― “読む”ではなく“伝える”

契約書や重要事項説明書をただ読み上げるだけでは、理解は深まりません。
利用者・家族の理解度に合わせ、「一文ごとに意味をかみくだく」姿勢が大切です。

< 説明の工夫例>

内容 説明のしかた
利用料 「1割負担」と「工賃収入」は別のものです。働いた分は工賃としてお支払いします。
支援内容 「あなたの“できること”を増やすための訓練です」と目的を伝える
苦情対応 「困ったときは誰に相談すればいいか」を明確に説明する
契約期間 「この期間が終わると、再度契約内容を見直します」と継続更新の流れを伝える

< 行政書士の視点>
“説明責任”とは、利用者が理解・同意したことを証明できることです。
口頭説明だけでなく、「説明日・担当者・同席者」を記録しておくと安全です。

 ③ 「就労選択支援」から来た利用者への配慮

就労選択支援を経てB型を選んだ方は、すでに複数の事業所を見学・体験しています。
そのため、契約時には「選んだ理由」と「事業所への期待」を丁寧に聴くことが大切です。
確認ポイント 内容
選択支援の内容 どのような就労希望をもってB型を選んだか
体験利用の感想 不安や困りごとが残っていないか
契約への理解度 支援内容・工賃・日数などの理解状況を確認


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)④>契約後の管理<~行政書士が解説~>

 
2025年11月04日 00:45

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)②>契約前に確認すべきこと<~行政書士が解説~>

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 こんにちは、行政書士の大場です。

令和7年10月から、障害福祉サービスの新制度として「就労選択支援(しゅうろうせんたくしえん)」がスタートしました。

これは、これから就労系サービス(A型・B型・就労移行など)を利用したい方が、自分に合った“働く場”を選ぶための準備支援を受けられる新しい仕組みです。


つまり
これまで「直接B型に契約に来られた」利用希望者も、まず就労選択支援を経由してから利用先を決める流れに変わりつつある、ということです。今回は、この新制度を踏まえた「契約前の確認ポイント」を整理していきます。

 ① 契約の前に“選択支援”が入る時代へ

これまで:
利用希望 → 相談支援 → 受給者証 → 事業所と契約

これから:
利用希望 → 就労選択支援 → 相談支援 → 受給者証 → 事業所と契約

このように、契約までの流れに「選択支援」というワンクッションが入りました。

<ポイント>
就労選択支援は、利用者がA型・B型・移行支援など複数の選択肢を理解し、自分に合った働き方を見つけるための支援です。事業所は“選ばれる側”として、より丁寧な説明と体験対応が求められます。

 ② 事業所が確認すべき3つのこと

契約前の面談・体験・説明の場で、B型事業所として特に意識したいのは次の3点です。

確認項目 内容 対応のヒント
① 就労選択支援の利用有無 利用済みか、または現在利用中か 「どのような支援を受けて、どう感じましたか?」と質問して情報を共有
② 支援計画・希望内容 選択支援で作成された“就労希望計画”を確認 B型で実現できる部分・できない部分を整理
③ 支給決定予定 市町村での支給決定時期・種別 受給者証の交付日を確認し、契約日の設定を調

③ 契約を急がない理由

就労選択支援の導入により、市町村によっては「選択支援を経てから支給決定を行う」運用に移行しています。

<注意点>
受給者証が交付される前に契約してしまうと、給付費が支払われないリスクがあります。
契約書の日付・期間は、
・「受給者証の有効期間内」
・「支給決定種別が確定してから」であることを必ず確認しましょう。

 ④ 契約前の面談・体験のすすめ方

就労選択支援の導入で、契約前の体験利用の意義がより高まりました。

ステップ 内容
面談 利用目的・支援ニーズ・希望作業を丁寧にヒアリング
体験利用 実際の作業・職員・雰囲気を知ってもらう機会
フィードバック 利用者の感想・課題を確認し、契約時の説明に反映

< 行政書士の視点>
「体験利用同意書」「個人情報同意書」は、体験段階でも整えておいて契約時に“利用経緯の証拠資料”としても使えます。

⑤ チェックリスト(契約前の確認事項)

チェック項目 内容
就労選択支援の利用状況 終了・継続中・未利用のいずれかを確認
支給決定予定日 市町村のスケジュールを確認
支援計画書の内容 利用目的とB型の支援方針が一致しているか
体験利用の有無 期間・内容・評価を記録
契約書の準備 受給者証の情報に合わせて日付・内容を調整

次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)③>契約時の書類と説明ポイント <~行政書士が解説~>
2025年11月04日 00:21

<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)①>利用者契約とは何か?<~行政書士が解説~>

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こんにちは,行政書士の大場です。

就労継続支援B型事業所を利用するには、まず「契約」というステップを踏む必要があります。


でも実際の現場では、「契約書はとりあえず印鑑をもらえばいいんですよね?」
「支給決定さえあれば、契約はあとからでも大丈夫ですか?」という声をよく耳にします。

しかし,この「契約」は、利用者の権利を守り、事業所をトラブルから守る“最初の約束”です。

今回は、その基本的な意味と位置づけを整理していきます。

① 利用者契約とは

就労継続支援B型事業は、障害者総合支援法(第29条)に基づく「利用契約制度」で運営されています。

つまり、事業所と利用者(またはその家族)は、サービス内容・利用日数・利用料などを文書で合意したうえで契約を結びます。

この契約を結ぶことによって、事業所は「サービス提供の責任を負う立場」となり、利用者は「サービスを受ける権利」を正式に得ることになります。

<行政書士の視点>
この契約は“形式的な書面”ではなく、事業所と利用者が信頼関係を築く出発点です。
どんなに小さな事業所でも、ここを丁寧に行うことでトラブルを防げます。

 ② 契約書の基本構成

就労継続支援B型の契約では、一般的に以下の3つが基本書類となります。

書類名 内容 ポイント
利用契約書 サービス内容・期間・料金・解約条件などの約束 双方署名・押印が必須
重要事項説明書 事業所の運営方針・体制・苦情対応などの詳細説明 契約書とセットで交付
個人情報使用同意書 個人情報の利用目的・第三者提供に関する同意 別紙で同意を明確化

<行政書士の視点>
れらの書類は「セットで一式」として整備するのが原則です。

 ③ 利用契約のタイミング

契約は、受給者証が交付されたあとに結びます。
一般的な流れは次のとおりです。

1, 相談支援事業所によるアセスメント
2,市町村が支給決定(受給者証の交付)
3, 事業所で契約手続き・重要事項説明
4,支援計画(個別支援計画)の作成
5, サービス開始

<行政書士の視点>
“体験利用”を受け入れる場合も、「体験同意書」「個人情報同意書」などの簡易契約書類を交わしておくと安全です。

④ 契約の法的性質

利用契約は、民法上の「準委任契約」に近い性質を持ちます。
つまり、事業所がサービスを提供し、その対価として国(給付費)や本人(利用料)が支払う関係です。

契約当事者 役割
事業所 支援サービスを提供する義務を負う
利用者 契約内容に基づいて通所し、利用料を支払う
行政(市町村) 支給決定・給付費の支払いを行う

<行政書士の視点>
行政は契約の“監督者”ではありますが、契約の当事者ではありません。
あくまで、契約の主体は「事業所」と「利用者」です。

⑤ 契約時に説明すべき3つの基本事項

項目 内容
① サービス内容 どんな支援・作業を行うのかを具体的に説明する
② 利用料・工賃 利用料(1割負担)と工賃(支援結果)を区別して説明
③ 苦情・退所 苦情窓口、退所手続き、解約条件を明確に伝える

「契約書に書いてあるから説明不要」ではありません。
法的には、“利用者が理解し同意した”ことを説明責任で証明できる必要があります。


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)②>契約前に確認すべきこと<~行政書士が解説~>

 
2025年11月04日 00:08