就労継続支援B型に特化 | 宮城・東北の指定申請・実地指導対策サポート

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お知らせ

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)⑧>運営のポイント <~行政書士が解説~>

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こんにちは。行政書士の大場です。

多機能型への転換手続きが完了すると、「とりあえず開設はできたけど、その後の運営はどうすれば?」という段階に入ります。

実はここからが本番です。

今回は、多機能型運営の3つの要(職員体制・記録・加算)を整理してみます。

 ① 職員体制 「兼務」と「共通管理」をどう設計するか

多機能型の大きな特徴は、職員を兼務できることです。
たとえば、同じ管理者やサービス管理責任者がA型とB型、B型と生活介護を兼ねることが可能です。

ただし、“兼務できる”=“自由に配置できる”ではありません。

次のようなルールを押さえる必要があります。

区分 要件 留意点
管理者 同一建物・一体運営が前提 常勤換算の確保が必要
サビ管(サービス管理責任者) 同一敷地・利用者規模に応じた配置 両サービスの計画・記録が整合すること
職業指導員・生活支援員 兼務可。ただし勤務時間配分を明記 勤務表・体制届の時間整合が必須
看護職員・機能訓練員 共通配置が可 健康管理体制がサービスをまたいで説明できること

② 記録の一体化 ― 日報・支援記録を分けすぎない

多機能型では、記録管理が複雑になりがちです。
A型・B型・生活介護それぞれに日報を分けると、運営負担が大きくなります。

 ポイントは「共通部分は一元管理、個別支援は区分管理」

区分 管理の考え方
出勤・出席記録 共通化(同一日報または勤務簿で管理)
支援記録(個別計画) サービスごとに記録(例:B型用・生活介護用)
ミーティング記録 一体運営会議として月1回以上実施
工賃台帳・生産活動記録 事業全体で一括管理(原資区分は分ける)

<行政書士の視点>
実地指導では「記録の形式よりも、内容の一貫性」が重視されます。
記録を分けすぎると、サービスが独立している”と見なされることもあります。

③ 加算の一体化   算定要件のズレに注意

多機能型では、加算の算定が最もややこしい部分です。
共通職員を配置していても、加算上は“サービス単位”で算定されるため、届出内容が正確でないと返戻になります。

加算区分 管理上のポイント
処遇改善加算/特定処遇改善加算 職員名簿・勤務時間・賃金台帳を共通管理
サービス提供体制強化加算 サービスごとに配置基準を満たしているか確認
ベースアップ等支援加算 給与改善の配分ルールをサービスごとに説明できること
生産活動活性化支援加算 B型活動が生活介護と一体運営されているかを明記
就労定着・移行支援加算 一体的支援の記録が残っている

 ④ 「一体的運営」を説明できるかが鍵

多機能型では、書類の整備よりも「運営の説明力」が問われます。
監査では、次のような質問をされることが多いです。
 

・職員会議はどのように一体的に実施していますか?
・利用者の支援記録は、どのように共有していますか?
・各サービスの職員が連携する仕組みを説明してください。
これらに答えられるよう、運営会議記録・連絡帳・共有フォルダ管理などを整備しておくことが重要です。

⑤ 開設後3か月で確認すべきチェックリスト

チェック項目 確認内容
職員体制届 届出内容と勤務表が一致しているか
運営規程 実際の運営に即した修正がされているか
支援記録 共通項目と個別項目の整理ができているか
加算届 算定対象職員・勤務時間の整合
会議記録 一体運営の記録(議題・決定事項)
工賃台帳 B型活動分を明確化できているか

<行政書士の視点>
開設直後は“運営の軌道修正期間”です。
半年以内に「一体運営マニュアル」を整えると、次年度以降の監査対応が楽になります。

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2025年11月03日 23:39

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)⑦>多機能型転換の手続きとスケジュール<~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

「多機能型への転換」と聞くと、「新しい事業をもう一つ立ち上げる」イメージを持たれる方も多いかもしれません。

しかし実際は、既存のB型事業の“指定変更”という手続きで行われます。
今回は、その手続きの流れと行政協議のポイントを整理します。

 

 ① 多機能型転換の基本構造

多機能型事業所は、複数のサービスを一体運営する仕組みです。
したがって、新しく事業を「追加する」のではなく、既存の指定(B型)の中に新しいサービスを組み込む形になります。

 例)就労継続支援B型事業所 → 「就労継続支援B型・生活介護」の多機能型へ変更

この場合
・新たな事業(生活介護)を追加指定申請
・既存B型事業の指定内容を変更申請
・共通の運営規程・体制届を整備
という3ステップが必要です。

< 行政書士の視点>
多機能型は“新設”ではなく、“拡張”です。「新規指定+変更申請」が同時に進むため、行政協議の段取りが重要です。

 ② 手続きの全体フロー

以下は、宮城県内で一般的に行われている流れの例です。

段階 内容 期間の目安
① 事前相談 県・市町村と構想段階で協議 開設の約2か月前まで
② 書類作成 申請書・運営規程・体制届・平面図など 約3〜4週間
③ 行政審査 県または指定都市が内容を確認・補正 約2〜3週間
④ 指定通知 指定書が交付される 原則:開設の10日前まで
⑤ 開設・運営開始 変更後の体制で運営開始 指定日以降

<注意点>
宮城県では、「開設予定日の2か月前までに相談」が原則です。
書類の不備があると、開設予定日を延期せざるを得ないケースもあります。

 ③ 提出書類一覧

書類名 内容・留意点
指定申請書(新規追加分) 新たに追加するサービス内容を記載
指定変更届(既存B型) 既存事業の「種別変更」として提出
運営規程(共通版) サービス区分ごとの記載を一体化(共通部分を明記)
体制届 職員配置・兼務・勤務時間を明記
管理者兼務届 共通管理者の場合に必須
平面図・配置図 共用設備・部屋の用途を明確に表示
利用者説明文書 サービス内容変更の案内・同意書(既利用者用)
誓約書・誓約事項 新規追加分の遵守事項確認書

④ 運営規程の整備ポイント

多機能型では、「複数のサービスを一つの規程で管理」する必要があります。
そのため、共通部分と個別部分を整理して記載します。

区分 内容
共通部分 事業の目的・運営方針・職員体制・利用者の権利擁護など
個別部分 提供するサービス内容・対象者・定員・支援時間・加算体制

 ⑤ 行政協議で確認される主な項目

確認項目 内容
建物・設備 サービスごとの部屋分け、トイレ・動線の共用範囲
職員体制 管理者・サビ管・支援員の兼務状況
記録・台帳 サービスごとの日報様式・工賃・勤務表管理
安全管理 消防法・避難経路・防災計画
運営規程 一体運営が明文化されているか

<注意点>
「一体運営であること」を示すため、管理者・職員・記録様式・勤務表などを共通化している証拠資料を添付するとスムーズです。

⑥ スケジュール作成のコツ

多機能型転換では、複数手続きを同時進行させる必要があります。

 進め方の例(目安:3か月前から)

・3か月前:県・市町村に事前相談
・2か月前:図面作成・運営規程改定案作成
・1か月前:申請書・体制届提出
・2週間前:行政補正対応
・開設当日:新体制で運営開始


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(再構築・発展に関すること)⑧>運営のポイント <~行政書士が解説~>

2025年11月03日 23:01

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)⑥>なぜ今“多機能型”なのか? <~行政書士が解説~>

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こんにちは。行政書士の大場です。

ここ数年、障害福祉事業所の経営や制度の現場で「多機能型への転換」という言葉が広がっています。

では、なぜ今、多機能型が注目されているのでしょうか?

今回はその背景を、制度改正・経営環境・支援の多様化という3つの観点から整理してみます。

 ① 制度改正の方向性 ― “多様な働く場”の推進

厚生労働省は、令和6年度報酬改定の中で、障害者の「多様な就労・生活の在り方」を支えるための仕組みとして“複数サービスの一体的運営”を明確に位置づけました。

たとえば
・生活介護とB型の一体的支援モデル
・地域移行・定着支援との連携強化
・利用者本人の選択に基づく柔軟な通所形態
が推奨されるようになっています。

<行政書士の視点>
以前は「B型はB型」「生活介護は生活介護」と完全に区切られていましたが、今は“生活と就労の中間支援”を目的に、一体化を認める制度構造に変わっています。

② 経営環境の変化 ― 単独事業では続かない時代へ

全国的に、B型事業所の運営環境は年々厳しくなっています。

・利用者数の増加に対して、報酬単価はほぼ横ばい
・工賃アップのための加算取得に人員的・書類的負担
・地域の就労ニーズが細分化
その中で、一つのサービスだけに依存する経営には限界が見え始めています。


 ここで「多機能型」が注目される理由は

・サービス間で職員や設備を共有できる
・利用者の受け入れ幅を広げて定員を安定化できる
・事業ごとの収入変動リスクを分散できる
という、経営のリスクヘッジの役割を果たすからです。

 ③ 支援の多様化  “一人ひとりに合わせた”柔軟な仕組み

利用者の中には、次のようなケースが少なくありません。

・午前は体調が不安定で、午後から作業に参加できる
・週の前半はリハビリ中心、後半は軽作業ができる
・一定期間B型で訓練し、将来的にはA型・一般就労を目指す
このように、生活と就労を行き来する支援を実現するには、従来の単独型事業では対応しきれません。

④ 国の政策的な位置づけ  「地域共生社会」への流れ

厚生労働省が掲げるキーワードは「地域共生社会」就労支援、生活支援、医療、介護、教育などが地域で連携して人を支えることを目指しています。この方針の中で、多機能型事業所は「福祉の総合拠点」「地域の支援ネットワークの中核」として期待されています。

<行政書士の視点>
宮城県内でも、B型+生活介護やB型+就労移行など、地域ごとの特性に合わせた“複合モデル”が少しずつ広がっています。

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2025年11月03日 22:48

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)⑤>多機能型とは何か? <~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。
近年、全国的に「B型事業所の多機能型転換」が進んでいます。
ニュースや研修会などでも、「A型や生活介護との一体運営」という言葉を耳にする機会が増えてきました。


それでも現場では、「多機能型って、結局どういう仕組みなの?」「B型事業所でもできるの?」
といった声が多く、制度の全体像がわかりにくい部分もあります。

今回は、就労継続支援B型の“新しいかたち”として注目される「多機能型事業所」について、制度の基本と位置づけを整理していきます。

多機能型とは? 

「多機能型事業所」とは、複数の障害福祉サービスを一体的に運営できる形態のことをいいます。

つまり
・A型+B型
・B型+生活介護
・就労移行+B型

といったように、一つの法人・一つの建物複数のサービスを提供できる仕組みです。

厚生労働省では、この仕組みを「多様な就労ニーズに応えるための柔軟な運営形態」として位置づけています。

 なぜ多機能型という仕組みがあるのか

就労支援の現場では、利用者の特性や体調により「A型は難しいけれど、B型なら通える」「午前中だけ生活介護を利用して、午後は軽作業をしたい」といった“個別化ニーズ”が年々増えています。

そのため、法人が複数の事業を運営し、一つの場所で継続的な支援を行えるようにしたのが「多機能型事業所」です。

 <行政書士の視点>
多機能型は「別々の指定をまとめる」のではなく、一体的な運営を前提とした“包括的指定”です。
そのため、一つの管理者・一つの運営規程で複数サービスを行うことが可能になります。

 多機能型と「併設型」の違い

区分 多機能型 併設型
仕組み 複数サービスを一体的に運営(1つの指定) 各サービスが独立して運営(別指定)
管理者 共通管理者でも可 各事業所に管理者が必要
運営規程 共通規程で一体運営 事業ごとに別規程
実地指導 一体で実施 それぞれ独立に実施
メリット 職員・設備の共有がしやすい 管理の柔軟性が高い
デメリット 一体運営を説明できないと指摘を受ける コスト・人員が重複しやす

 多機能型にできる組み合わせ例

パターン 内容 主なねらい
A型+B型 一般就労移行を目指すステップアップ型 支援の継続性を確保
B型+生活介護 重度障がい者の体調や希望に応じて柔軟対応 利用者の選択肢を広げる
就労移行+B型 訓練と就労体験を同時に提供 就労準備支援の充実

<行政書士の視点>
特に「B型+生活介護」は宮城県でも増加傾向です。
午前は生活介護で体調を整え、午後はB型で軽作業を行う・・そんな利用者の生活に寄り添う運営形態が求められています。

 B型事業にとってのメリット

1,利用者の幅が広がる
 → 就労意欲や障がい特性に合わせた柔軟な支援が可能に。
2, 法人経営の安定化
 → サービス構成を分散できるため、報酬改定や定員変動の影響を受けにくくなる。
3, 地域連携が進む
 → 生活支援・就労支援を一体で行うことで、行政・医療・家族との連携が強化される。

 多機能型転換に向けての最初の一歩

・まずは「どのサービスを組み合わせるか」を整理
・現在の建物・職員体制で実現できるか確認
・管理者・サビ管の兼務体制を検討
・運営規程を見直し、事業目的・提供内容を明確に

<行政書士の視点>
転換は「新しい指定申請」と「既存B型の指定変更」が同時に進みます。行政との事前協議が最も重要なステップです。

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2025年11月03日 22:26

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)④>運営開始後の注意点 <~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

分場やサテライトを開設して一安心、しかし、実は届出を出して終わりではありません。
むしろ大切なのは、「運営を続ける」これからの部分です。

今回は、開設後に特に注意したい「実地指導」「加算」「体制見直し」の3つの視点からお伝えします。

① 実地指導で見られるポイント

宮城県では、分場・サテライトも本体事業所と同様に実地指導・監査の対象になります。
“同一指定事業所”として扱われるため、監査では「本体と一体的に運営されているか」が厳しく確認されます。

<確認される主な項目>

チェック項目 内容・留意点
① 職員体制 届出どおり配置されているか(常勤・兼務の区分)
② 支援記録 本体と同一フォーマットで管理されているか
③ 日報・勤怠 分場・サテライトの職員勤務表が整っているか
④ 工賃台帳 拠点ごとに記録しつつ、最終的に本体で集計されているか
⑤ 契約書類 利用契約書・重要事項説明書に分場利用が明記されているか
⑥ 消防・安全 消火器・避難経路・点検記録が整っているか

② 加算の整理   分場・サテライトで特に注意

分場やサテライトの開設により、職員配置や支援体制が変わると、加算の算定要件も変わります。

<主な加算と留意点>

加算区分 注意点
処遇改善加算/特定処遇改善加算 職員配置が変わったら体制届の修正が必要
福祉・介護職員ベースアップ等支援加算 分場職員を含めて算定対象にできるか確認
生産活動活性化支援加算 分場での活動内容が「本体と一体」であることが前提
サービス提供体制強化加算 常勤職員比率に変動が出ないように注意

<行政書士の視点>
分場の開設後、「加算体制が一時的に崩れる」ケースがあります。職員配置の変動があるときは、必ず体制届の再提出を忘れずに・・・

 ③ 体制見直し ― 運営を安定させる3つのチェック

届出後も、定期的に以下の項目を見直すことで、監査・加算・運営トラブルを防ぐことができます。

チェック項目 内容・頻度
① 職員体制表 半年に一度は本体と分場の兼務状況を再確認
② 運営規程 活動内容・所在地・設備変更があれば即改訂
③ 記録・台帳 支援記録・工賃台帳を月次で本体と照合

< 注意点>
分場の住所・面積・活動内容を変更した場合、運営規程変更届・分場変更届を再提出する必要があります。
宮城県では「変更後10日以内」が原則です。

 ④開設後3か月で確認しておきたい書類一覧

書類名 内容・確認ポイント
職員勤務表 兼務者・常勤者の勤務日数の確認
体制届控え 届出内容と現状が一致しているか
支援記録・日報 分場⇄本体の整合性(支援内容・活動日)
工賃台帳 拠点ごとに分け、本体で一括集計
消防点検記録 定期点検・避難経路の確保
運営規程改定版 最新内容が反映されているか


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2025年11月03日 22:07

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)③>申請と手続き 分場設置届・体制届・運営規程変更の流れ<~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

分場やサテライトの開設は、「新しい事業所を作る手続き」ではありません。
すでに指定を受けている就労継続支援B型事業所の一部として追加する届出です。


今回は、宮城県で実際に行う届出・変更手続きの流れを整理します。

 ① 手続きの全体像

分場・サテライトの開設は、「指定変更申請」ではなく、運営規程変更+分場設置届+体制届の提出で行います。

宮城県の届出フローはおおむね以下の順序です。

< 届出の流れ(全体図)>

1, 事前協議
 ↓
2,書類作成・添付資料整備
 ↓
3, 県または指定都市へ届出提出(2週間前までに受理)
 ↓
4,内容確認・補正対応(必要に応じ)
 ↓
5, 開設・運営開始(届出受理後)

② 提出先と時期

区分 提出先 提出時期
指定都市以外(例:石巻市・大崎市) 宮城県障害福祉課(本庁または保健所経由) 原則:開設の2週間前までに受理
指定都市(例:仙台市) 各市の障害福祉担当課 同上

<行政書士の視点>
提出期限は“書類を出す日”ではなく、“行政が受理する日”基準です。書類の差し戻しがあるため、1か月前に相談・提出準備しておくのが安全です。

 ③ 提出する主な書類一覧

区分 書類名 内容・ポイント
基本届出 分場設置届出書 新拠点の名称・所在地・面積・設備などを記載
運営規程変更届 分場の所在地・職員配置・支援内容を追記 「分場の運営も本体と一体である旨」を明記
体制届 職員変更・加算対象職員異動を届け出 新しい拠点に配置される職員を反映
添付資料 平面図・配置図・避難経路図 建物の用途・構造を明示(消防法・建築基準法対応)
その他 設備備品一覧表・職員配置表 宮城県公式様式を使用すること

 様式ダウンロード
 宮城県 障害福祉サービス事業指定・届出関係様式

④ 行政とのやりとり(事前協議)

届出前に、必ず行政(県または市町村)の担当者と「事前協議」を行います。

 <協議で確認される主な内容>

項目 チェックポイント
建物 用途変更が必要か、消防・避難設備は適切か
人員 常勤・非常勤の配置バランス、兼務職員の扱い
定員 本体との合算定員が妥当か
支援内容 生産活動・訓練内容・工賃支払いの一体性
記録管理 支援記録の共有方法、日報・勤務表の管理方法

< 行政書士の視点>
分場は「手続き」よりも「運営の一体性」が重視されます。形式的な届出だけでなく、現場体制を説明できる資料(図面・動線図・勤務シフト)を整えておくと協議がスムーズです。

⑤ 消防・用途変更の確認

宮城県では、建物を新たに使用する場合、都市計画法・建築基準法・消防法の確認が求められます。

区分 内容 担当機関
都市計画法 用途地域で福祉施設利用が可能か(43条協議) 市町村の都市計画課
建築基準法 用途変更が必要か(建築基準法第87条) 建築指導課
消防法 火災報知器・避難経路・消火器設置など 消防署予防課

<注意点>
建物を「事務所」から「作業場」に変更する場合、延床200㎡を超えると用途変更申請が必要になることがあります。

⑥ 開設後の届出・確認事項

届出を行っても、開設後すぐに実地指導の対象になります。

チェック項目 内容
職員体制 届出どおり配置されているか
支援記録 分場と本体の記録が統一されているか
利用契約書 利用者住所と通所先が一致しているか
工賃台帳 本体と分場の集計方法が整理されているか
消防・安全 消火器・避難経路表示が適正か


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(再構築・発展に関すること)④>運営開始後の注意点 <~行政書士が解説~>

2025年11月03日 21:54

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)②>開設を決める前に 立地・人員・運営計画の3つの視点<~行政書士が解説~>

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こんにちは、行政書士の大場です。

分場やサテライトの設置を検討するとき、「どんな場所を選ぶか」「人員をどう配置するか」「運営体制をどう整えるか」この3つの要素が、開設の成否を分けます。
前回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(再構築・発展に関すること)①>分場・サテライトとは何か?<~行政書士が解説~>

今回は、“届出前に考えておくべき3つの視点”を整理していきます。
 

 ① 立地の視点 ― 利用者と地域に合った場所選び

分場・サテライトの開設で最初に考えるべきは、「どこに作るか」です。

< チェックポイント>

項目 内容
利用者の通いやすさ 送迎ルート、公共交通、駐車スペース
地域性 住宅地・商業地・農地など、地域計画との整合
建物条件 用途地域の制限、建物構造、バリアフリー対応
安全面 避難経路、耐震、防火、近隣環境
近隣理解 騒音・送迎など地域住民への説明責任
<行政書士の視点>
宮城県では、都市計画法43条や建築基準法の用途確認が重要です。
たとえば「事務所」扱いの建物を「作業場」として使用する場合、用途変更が必要になるケースがあります。

② 人員の視点  「誰が」「どこで」支援を行うか

分場・サテライトでは、本体との一体運営が原則です。
そのため、職員配置と兼務のバランスを丁寧に設計する必要があります。

<主な職員配置の考え方>

職種 基本配置 分場・サテライトでの扱い
サービス管理責任者 1名(常勤) 本体と兼務可能(実地管理体制を要確認)
職業指導員・生活支援員 定員に応じ配置 分場専属 or 本体兼務(シフト要調整)
管理者 原則常勤1名 サテライトの場合は本体兼務も可(連携体制要明記)

<よくある誤解>
「職員が時々立ち寄ればいい」という運営は不可、サテライトにも職員常駐が原則であり、記録や支援計画は本体と連動して管理する必要があります。

③ 運営計画の視点 ― 継続できる仕組みを描く

届出よりも先に考えるべきは、「続けられる体制」です。
分場を開設したけれど半年で止まってしまっては開設した意味がありません。

<運営設計のチェックリスト>

視点 内容
利用者見込み 現利用者の分散・新規受け入れの見込み
作業内容 生産活動・訓練内容・工賃支払い方法
収支計画 給付費・経費・人件費・工賃原資
記録管理 支援記録・勤怠・工賃台帳の一元化
緊急時対応 災害・事故時の連絡経路・避難体制

 宮城県での準備スケジュールの目安

時期 内容
開設3か月前 立地調査・建物確認・事前協議開始
開設2か月前 図面・設備確認・職員体制シミュレーション
開設1か月前 分場設置届・運営規程変更届の作成・提出準備
開設直前 消防検査・用途確認完了・職員シフト確定
開設後 本体との運営連携チェック・支援記録整合性確認


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(再構築・発展に関すること)③>申請と手続き 分場設置届・体制届・運営規程変更の流れ<~行政書士が解説~>

2025年11月03日 21:37

<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)①>分場・サテライトとは何か?<~行政書士が解説~>

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こんにちは。行政書士の大場です。
最近、B型事業所の相談のなかで、「事業が軌道に乗ってきたので、新しい拠点を検討している」というお話を伺う機会があります。

事業が安定すると、利用者の受け入れ拡大や地域展開を視野に入れた「次のステップ」が見えてきます。

その際に検討されるのが、「分場(ぶんじょう)」「サテライト」という仕組みです。

どちらも「本体事業所とは別の場所でサービスを提供する」ための制度ですが、目的や位置づけ、手続きには明確な違いがあります。
今回は、宮城県での制度運用と実際の届出手続きを行政書士の視点で整理してみます。

どんなときに検討するの?

① 利用者が増えたとき
→ 本体が手狭になったため、近隣に作業場所を増やしたい
→ 職員体制を維持したまま受け入れ枠を広げたい
→ ⇒ 分場(ぶんじょう) の検討
 
② 遠方からの通所が難しいとき
→ 山間地・離島・交通不便地域の利用者支援を継続したい
→ 自宅近くで短時間の通所支援を行いたい
→ ⇒ サテライト の検討

分場とサテライトの比較

区分 分場(ぶんじょう) サテライト
定義 本体と同一法人が運営する“別の作業拠点” 通所が難しい利用者のための“小規模な支援拠点”
目的 利用定員の拡大・作業スペースの確保 地域密着型の支援・短時間通所
定員 本体と合算(目安20名増まで) 原則5名以下(自治体判断)
職員配置 常勤職員を含む体制が必要 最低限の職員配置で可(本体職員との兼務可)
指定関係 新規指定は不要(届出制) 同上(届出+運営規程変更)
実地指導 本体と一体で実施 本体と同時に実施

< 行政書士の視点>
分場=事業拡大、サテライト=支援の多様化、目的の違いを整理しておくと、届出・体制づくりがスムーズになります。

宮城県での手続きの流れ

宮城県では、分場・サテライト開設は「指定変更」ではなく、届出制(変更届・運営規程変更)として扱われます。
段階 手続き内容 提出時期・注意点
① 事前協議 建物・支援体制・用途を県に確認 開設の1〜2か月前が理想
② 届出書類の準備 分場設置届出書、運営規程変更届、体制届 変更予定日の2週間前までに提出
③ 添付書類 図面、設備備品一覧、職員配置表、体制状況表など 宮城県指定様式を使用
④ 関係法令の確認 都市計画法・建築基準法・消防法 用途変更・避難経路・火気設備を確認
⑤ 開設後 本体との一体運営を徹底 実地指導では分場も対象

<参考>
宮城県障害福祉課
 障害福祉サービス事業指定・届出様式(公式サイト)

書類整備のポイント

区分 主な書類 留意点
基本届出 分場設置届出書・運営規程変更届 新しい拠点の住所・支援内容を明記
体制関係 体制届・職員配置表 本体と分場の職員構成の整合を取る
図面類 平面図・配置図・避難経路図 建物用途と消防法に適合させる
その他 設備一覧表・誓約書 宮城県の指定フォーマットに合わせる

注意点

・ 建物用途の確認不足
 → 住居・事務所を「作業場」として使う場合は、都市計画法43条・建築基準法第87条の確認が必要な場合あり
 ・職員体制の届出漏れ
 → 分場配置分の支援員・職業指導員を追加する体制届が必要です。
 ・支援記録の分離管理
 → 分場で独自管理してしまうと、実地指導で「一体運営ではない」と判断されるリスクがあります。


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2025年11月03日 19:40