<利用者さんの親なき後の問題を考える②>親の不安ベスト5 <~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
前回は、「親なき後」とは何か、そしてそれが“親の不安”と“本人の生活”の両面に関わる問題であることをお話ししました。
前回のブログはコチラ⇒<利用者さんの親なき後の問題を考える①>「親なき後の問題」って何? <~行政書士が解説~>
今回は、実際にご相談の中で耳にする「親なき後」の不安ベスト5を紹介します。
「うちも同じだな」と感じる部分があれば、そこが“備えの第一歩”になるかもしれません。
第1位 お金の管理ができるか心配
最も多いのが、金銭管理に関する不安です。
「通帳を渡したら全部使ってしまうのでは」「だまされないか」そんな声を聞きます。
支援制度の中には「日常生活自立支援事業」や「成年後見制度」など、金銭面を支援する仕組みがありますが、それぞれにメリット・デメリット、利用条件があるため、早めの検討が大切です。
第2位 住む場所がなくなるのでは
「自分の家で一緒に暮らしてきたけれど、私がいなくなったらこの家はどうなるのか?」持ち家であれば名義・相続・固定資産税の問題、
賃貸であれば契約更新・保証人の問題が出てきます。
「生活の場」をどう確保するかは、親なき後の支援の中でも最も現実的で、そして根深いテーマです。
第3位 兄弟に負担をかけたくない
「上の子に迷惑をかけたくない」「相続のことで争いたくない」親のやさしさが生む、静かな葛藤です。
ここでは、遺言書や家族信託などで“分け方”や“任せ方”を明確にしておくことが有効です。
気持ちを言葉にし、法的に残すことは、兄弟間の関係を守ることにもつながります。
第4位 施設や支援先が見つからない
「いざとなったとき、どこに預ければいいの?」支援体制そのものへの不安も多く聞かれます。
実際、地域によっては入所施設やグループホームが不足しており、“待機”のまま何年も過ごすケースもあります。
今のうちに、地域の事業所・相談支援専門員などとつながっておくこと。これが、いざというときの“支えの地図”になります。
第5位 本人が自分の人生を選べるのか
親なき後の最も本質的な問いは、「この子が“自分らしく生きていけるか”」ということかもしれません。
金銭や住まいの備えと同じくらい大切なのが、本人が自分で決める練習を重ねていくこと。
たとえば買い物や通院など、小さな自己決定の積み重ねが、親なき後の生活力を育てていきます。
次回のブログはコチラ⇒<利用者さんの親なき後の問題を考える③>制度でできること < 成年後見制度・信託・遺言をわかりやすく>