<就労継続支援B型事業所(お金編)⑯>なぜ「工賃設定」が重要なのか?<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型事業所の相談を受けていると、よくこんな言葉を耳にします。
「工賃って、市が決めるんじゃないの?」「とりあえず前の事業所と同じ金額でやっています」
実は、ここに大きな誤解があります。
工賃は行政が決めるものではなく、法人が自ら設定するものです。
つまり「経営判断」と「支援方針」が交わる部分です。
① 工賃=支援と経営の“接点”
B型事業所の運営は、給付費だけでは成り立ちません。
もう一つの柱が、生産活動による収入です。
この「活動の成果」を利用者へ還元するのが工賃です。
つまり
支援の成果が「数字」で表れるのが工賃です。
だからこそ、工賃の設定は「支援」と「経営」の両面から考える必要があります。
② 「工賃=余ったお金」ではない
誤解の多い考え方が、
「材料費・人件費を引いた残りを工賃にする」というやり方です。
たしかにそれも一つの形ですが、それだけでは“支援の意図”が反映されません。
本来、工賃とは
・支援目標に基づいて
・作業内容・成果・成長度に応じて
・利用者ごとに説明できる形で設定されるべきものです。
< 行政書士の視点>
工賃は「余り」ではなく「設計」です。
あらかじめ方針を立てておくことで、“納得のある数字”に変わります。
③ 国の方針「工賃向上計画」との関係
厚生労働省は、全国のB型事業所に向けて「工賃向上計画」の策定を求めています。
つまり、工賃は“上げなければいけない”お金ではなく、“上げていく努力が見えるお金”なのです。
この考え方は、単なる目標金額ではなく、
・商品やサービスの質を高める
・企業・地域との連携を増やす
・支援体制を見直す
といった経営改善の指標としての意味もあります。
< 行政書士の視点>
工賃の金額そのものよりも、「どうやってその数字にたどり着いたか」が重要です。
④ 工賃は“働く実感”をつくるもの
B型事業所の目的は、単に「作業の機会を提供すること」ではありません。
利用者が
「自分も社会の一員として働いている」と実感できるように支援すること。
その“実感”を具体的に感じられるのが、月末に渡される工賃です。
次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(お金編)⑰>工賃の基本構造<~行政書士が解説~>