<就労継続支援B型事業所(お金編)⑰>工賃の基本構造<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型事業所の新規開設の相談を受けていると、よくこんな質問を受けます。
「給付費の中から工賃を払うんですよね?」実は、ここが最も多い誤解のポイントです。
給付費と工賃は、どちらも「お金」に見えますが、流れも性質もまったく別です。
この違いを正しく理解することが、安定運営の第一歩です。
① 「給付費」と「工賃」は別の財布
まず、整理しておきましょう。
| 区分 | 内容 | 原資 | 支払い先 |
|---|---|---|---|
| 給付費 | 障害福祉サービスの対価 | 国・県・市町村 | 法人(事業所) |
| 工賃 | 生産活動の成果の分配 | 法人の事業収入 | 利用者本人 |
つまり、
給付費は“法人が受け取るお金”、工賃は“利用者に支払うお金”です。
<行政書士の視点>
工賃は「給付費の一部」ではありません。
むしろ、“給付費をどう使って生産活動を支えるか”が経営のポイントです。
② お金の流れを図で見る
【行政】───▶(給付費)──▶【法人】──▶(工賃)──▶【利用者】
↑↑
(材料費・人件費・家賃など経費)
<行政書士の視点>
“給付費”は運営の燃料、“工賃”は成果の証です。
両方を混同しないことが、安定経営の基本です。
③ 工賃の源泉は「生産活動収入」
工賃を支払うための原資は、生産活動で得た売上です。
< 行政書士の視点>
給付費だけでは「支援の継続」はできても、「工賃の向上」はできません。
だからこそ、生産活動の設計=工賃の設計なんです。
④ 「給付費で払う工賃」はNG?
<行政書士の視点>
給付費と工賃を混ぜてしまうと、会計上も制度上も説明がつきません。
仕訳の段階で分けておくことが、トラブル防止の基本です。
⑤ 具体的な数字で見る「二本柱の関係」
たとえば、1か月の収支が次のようなイメージだったとします。
| 区分 | 内容 | 金額(例) |
|---|---|---|
| 給付費収入 | 行政からの入金 | 2,000,000円 |
| 生産活動収入 | 印刷・内職など | 300,000円 |
| 合計収入 | 2,300,000円 | |
| 経費(人件費・材料費など) | 2,100,000円 | |
| 利用者工賃(分配) | 200,000円 |
このように、
給付費と生産活動収入の両輪で運営が成り立っています。
<行政書士の視点>
工賃アップを考えるなら、「生産活動の収入をどう増やすか」がカギです。
ここにマーケティングや営業の視点を入れることが大切です。
⑥ お金の仕組みを理解することが信頼につながる
次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(お金編)⑱>工賃設定<~行政書士が解説~>