<就労継続支援B型事業所(新規開設編)⑫>指定申請とは何か?<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
「あぁ、役所に“許可”をもらうやつね?」……実は、それ、ちょっと違うんです。
この違いが、障害福祉事業の根っこにある考え方を物語っています。
① “許可”と“指定”は似て非なるもの
たとえば
建設業や飲食店を始めるときは「許可」や「免許」が必要ですよね。
これは、国や自治体が 「やっていいよ」と個人に許す 仕組みです。
一方、B型事業の「指定」は、
行政が “この法人にサービス提供を任せます”と、“公的なパートナーとして認める” 仕組みです。
つまり、
「あなたがやってもいい」ではなく、「あなたにお願いしたい」という関係です。
< 行政書士の視点>
福祉サービスは「行政が提供できないものを法人が担う」仕組みです。
だから、行政は“お願いする相手”を選ぶために“指定”を行うのです。
② 指定を出すのは“都道府県 or 市町村”
B型事業を指定するのは、厚生労働省ではありません。
現場を見て判断できるよう、地域の行政機関が指定権を持っています。
| 地域区分 | 指定権者 | 相談・窓口 |
|---|---|---|
| 仙台市などの政令指定都市 | 市が指定 | 各区障害福祉課など |
| その他の地域(宮城県など) | 県が指定 | 県障害福祉課 |
③ 指定を受けると「福祉サービス事業者」になる
指定を受けた法人は、行政と“契約”関係に入ります。
つまり、事業所は 「国や自治体の代わりに福祉サービスを行う立場」です。
ここが、一般企業との大きな違いです。
| 一般企業 | B型事業所 |
|---|---|
| 自由に営業できる | 行政が定めた基準に沿って運営する |
| 価格を自分で決める | 報酬(給付費)は国が決める |
| 自由なサービス提供 | 契約・支援記録・報告が義務 |
<行政書士の視点>
指定を受けた瞬間から、“制度の一部”としての責任が生まれます。
いわば、「公とつながる民間事業者」になるのです。
④ 指定には“有効期限”がある
一度指定を受けたら永久に続くわけではありません。
B型事業の指定は 6年ごとに更新 が必要です。
これは、
「制度の見直し」や「事業の質の維持」を目的としたチェック機能です。
<行政書士の視点>
“一度取れば終わり”ではなく、“続ける力”が求められます。指定はゴールではなく、「スタートライン」です。
⑤ 「指定申請」は“信頼を形にする手続き”
指定申請とは、「書類をそろえて提出すること」ではなく、“行政との信頼を文書で証明する作業” です。
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