<就労継続支援B型事業所(新規開設編)⑨>資金計画と出資<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型事業所を立ち上げるとき、「障害福祉への想い」や「地域のニーズ」はとても大切です。
しかし、行政が審査でまず見るのは「この法人に、運営できる資金力があるか?」です。つまり、“資金計画が現実的かどうか”です。
どんなに立派な理念があっても、資金の裏づけがない法人は「開設できる法人」とは見なされません。
① 資金計画は“事業計画の骨格”
| 区分 | 内容 | 目安金額(概算) |
|---|---|---|
| ① 物件関連費 | 賃貸保証金・改修・設備・消防対応など | 200〜500万円 |
| ② 人件費(開設準備期間) | サビ管・職員の雇用開始時期に応じて | 100〜200万円 |
| ③ 備品・消耗品費 | 机・パソコン・作業機材など | 50〜100万円 |
| ④ 運転資金 | 開設〜初回給付金入金まで(約3か月分) | 300〜400万円 |
| 合計(目安) | ― | 700〜1,000万円前後 |
< 行政書士の視点>
特に「運転資金3か月分」を確保できているかが、行政が最も重視するポイントです。
給付費は“後払い”のため、最初の数か月を持ちこたえる資金力が必要になります。
② 資金の「出どころ」を明確にする
資金の調達方法は大きく3つに分かれます。
| 区分 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| ① 自己資金 | 出資金・代表者貯蓄など | 信用度が高く、行政評価も良い |
| ② 融資(借入) | 日本政策金融公庫・信用金庫など | 開設前でも相談可能。金利よりも実現性を重視 |
| ③ 補助金・助成金 | 地方自治体・雇用関係助成金など | 審査期間が長く、確定しにくい(あくまで“プラス要素”) |
③ 出資の考え方 “形だけの資本金”では通らない
法人を設立する際、出資金(資本金)をいくらにするかで迷う方も多いでしょう。
しかし、B型事業の審査では「見せ金」や「形式的資本金」は通用しません。
行政が見るのは、「実際に動かせる現預金」です。
| 法人形態 | 最低目安資本金 |
|---|---|
| 株式会社/合同会社 | 300万円以上が望ましい(最低は1円でも設立可能だが非推奨) |
| 一般社団法人/NPO法人 | 出資制度なし。運転資金として300〜500万円の残高証明を添付 |
④ 行政が資金計画でチェックするポイント
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 開設時点の残高 | 通帳の写しで実際の預金を確認 |
| 初期投資の根拠 | 見積書・契約書などの裏づけがあるか |
| 運転資金の確保 | 3か月以上の人件費・家賃を賄えるか |
| 返済計画 | 借入金の返済が事業収支に影響しないか |
| 収支計画書 | 給付費収入・生産活動収入・加算を含めた実現性 |
< 行政書士の視点>
“資金があるか”ではなく、“根拠を示せるか”を見られます。
書類よりも、数字に説明がつくかどうかが勝負です。
⑤ 資金計画書を作るときの3つのコツ
→ 給付費・工賃・経費を一覧化すると、行政に説明しやすい。
→ 実際は計画より多くかかります。見栄えより現実重視が大切です。
→ 申請済み書類(受付票や面談記録)があると安心感が出ます。
次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(新規立上げ編)⑩>法人運営の体制整備 <~行政書士が解説~>