<就労継続支援B型事業所(新規開設編)⑧>定款整備 <~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型事業を始める際に、最初に行政がチェックする書類、それが「定款」です。
立地や資金よりも前に、「この法人は本当に障害福祉事業をやる法人か?」という“法的な適格性”を、行政は定款で確認します。
① 定款は「法人の設計図」
定款は、法人が何を目的に、どんなルールで運営されるかを示す「法人の憲法」です。
行政の指定審査では、最初にこの定款が提出され、次の点を重点的に確認されます。
| チェック項目 | 行政が見るポイント |
|---|---|
| 目的 | 「就労継続支援B型事業」など福祉事業の明記があるか |
| 本店所在地 | 指定申請地と一致しているか |
| 役員構成 | 法的な兼務制限・人数要件を満たしているか |
| 公告方法 | 法人登記簿と整合しているか |
< 行政書士の視点>
「理念的に障害福祉をやっている」だけでは通りません。
定款に“就労継続支援B型”と明記されていなければ、申請そのものが受け付けられないことがあります。
② 目的の書き方
目的欄に「就労継続支援B型事業」や「障害福祉サービス事業」と書いていない場合、行政に「目的変更登記をしてください」と指導されます。
③ よく使われる文例
以下は、行政書士として実務でよく用いる定款目的の文例です。
● 基本形(株式会社・合同会社・一般社団法人)
第○条 当法人は、障害者総合支援法に基づく就労継続支援B型事業を行うとともに、障害者の社会参加と就労支援に関する事業を通じて、地域社会に貢献することを目的とする。
●拡張形(生産活動・地域連携を含めたい場合)
生産活動の推進、地域連携・企業協働による雇用促進事業を行い、もって福祉の向上に寄与することを目的とする。
● NPO法人向け
その目的を達成するために次の事業を行う。
(1)障害者総合支援法に基づく就労継続支援B型事業
(2)その他前号に関連する福祉事業
④ 既存法人の場合
すでに法人を持っている場合、「目的にB型が入っていない」ケースが多いです。
その場合は、定款変更+登記変更が必要です。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 理事会または社員総会で「定款変更決議」 | 議事録を作成 |
| ② 変更後の定款を作成 | 新しい目的を反映 |
| ③ 公証役場(株式会社のみ)または法人印押印 | 定款に法人印を押印 |
| ④ 登記申請(法務局) | 目的変更登記を行う |
| ⑤ 登記簿謄本を取得 | 行政へ提出用に保管 |
<行政書士の視点>
「事前協議の前」に目的変更を済ませておくのが理想です。
目的変更を後回しにすると、申請スケジュールが止まります。
⑤ 定款整備で意識すべき2つのポイント
→ 行政・銀行・取引先がすべてが定款を見ます。
→ 印刷・農業・清掃などの生産活動を予定しているなら、その文言も含めておく。
次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(新規立上げ編)⑨>資金計画と出資<~行政書士が解説~>