<就労継続支援B型事業所(新規開設編)⑦>どの法人形態で始める?<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型事業を始めるときに、必ず最初に決めなければならないのが「どんな法人で始めるか」です。
それぞれにメリット・デメリットがあります。
① 福祉事業は“法人格”で指定される
まず前提として、就労継続支援B型事業所は、行政から「法人」に対して指定されます。
つまり、法人の形によって審査の見方が変わるということです。
| 法人の種類 | 主な根拠法 | 代表的な設立目的 |
|---|---|---|
| 株式会社 | 会社法 | 営利事業(利益の分配) |
| 合同会社 | 会社法 | 小規模な営利活動・柔軟な運営 |
| 一般社団法人 | 一般社団法人法 | 非営利事業(利益を分配しない) |
| NPO法人 | 特定非営利活動促進法 | 社会貢献・公共性の高い活動 |
② 株式会社 ― “経営力とスピード”が強み
株式会社でB型事業を行うケースは増えています。
行政的にも“営利法人だからNG”ということはありません。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・意思決定が早い(代表の判断で動ける) | ・利益分配があるため、福祉らしさが伝わりにくい |
| ・資金調達・融資に強い | ・ガバナンス(監査・説明責任)が必要 |
| ・他事業(印刷・販売など)との連携がしやすい | ・内部統制を整えないと実地指導で指摘されることも |
<行政書士の視点>
株式会社は“経営型B型事業所”に向いています。
生産活動を積極的に展開したい法人には最適です。
③ 合同会社 “柔軟さ”と“低コスト”が魅力
合同会社(LLC)は、設立費用が安く、役員の自由度が高い法人形態です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・設立費用が安い(定款認証不要) | ・行政や金融機関からの認知度がまだ低い |
| ・内部運営が柔軟(社員全員で決定可) | ・登記簿上の代表者が複数人になる場合も |
| ・小規模スタートに向く | ・“信頼性”より“軽快さ”が重視される法人像 |
< 行政書士の視点>
「家族・少人数で始めたい」「農福連携など地域密着でやりたい」場合におすすめです。
ただし、信用の積み上げには時間がかかります。
④ 一般社団法人 ― “非営利の安定運営”に最適
福祉事業で最もバランスが取れているのが、一般社団法人です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・非営利だが柔軟な経営が可能 | ・設立に2名以上の社員が必要 |
| ・行政・地域からの信頼が厚い | ・意思決定に時間がかかることも |
| ・利益は法人に残し、事業拡大に使える | ・代表者の交代がやや形式的 |
< 行政書士の視点>
「利益よりも信頼を優先したい」法人に向きます。社会福祉法人ほどの制約はなく、“福祉らしさ”と“柔軟さ”の両立が可能です。
⑤ NPO法人 “公共性と信頼”の代わりに“手間と時間”
NPO法人は「社会貢献活動」を前提とした法人
行政や地域からの信頼は厚い一方、設立の手続きは少し複雑です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・非営利で公共性が高く、補助金申請に有利 | ・設立に2か月以上かかる(認証手続き) |
| ・市民・行政との連携がしやすい | ・会員制度・総会運営など手続きが煩雑 |
| ・寄付金・助成金を受けやすい | ・経営判断のスピードが遅くなる |
< 行政書士の視点>
「地域貢献型」「ボランティアからの発展型」には合っています。
ただし、スピード重視の開設には不向きです。
⑥ 目的別に見る「おすすめ法人タイプ」
| 目的・スタイル | 向いている法人 |
|---|---|
| 経営重視・スピード型 | 株式会社 |
| 少人数で柔軟に始めたい | 合同会社 |
| 非営利×安定経営 | 一般社団法人 |
| 公共性・地域密着 | NPO法人 |
< 行政書士の視点>
どの法人でも指定は可能です。
ただし、“経営計画”と“法人形態”が合っているかが大事
次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(新規立上げ編)⑧>定款整備 <~行政書士が解説~>