<就労継続支援B型事業所(新規開設編)①>なぜ「立地調査」が最初に必要なのか?<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型事業所の立ち上げを考えるとき、まず最初に思い浮かぶのが「建物」のことではないでしょうか。
「この建物、空いてるからここで始められそうだ」
そう考える方は少なくありません。
しかし実は・・・それがいちばん危険なスタートなんです。
B型事業所は“どこでも開設できる”わけではありません。
「できる場所」と「できない場所」が、法律でしっかりと線引きされています。
① 「立地調査」とは、最初にやるべき“法的チェック”
| 確認項目 | 関連法令 | チェック内容 |
|---|---|---|
| 土地の用途 | 都市計画法 | 市街化区域か?調整区域か?用途地域は? |
| 建物の構造・用途 | 建築基準法 | 用途変更・構造基準・面積要件 |
| 安全設備 | 消防法 | 避難経路・消火設備・防火対象物の区分 |
< 行政書士の視点>
この3つを見ずに物件を借りてしまうと、「申請の段階で使えない建物だった」という事態が起こります。
② 「建物がある」だけでは、使えない理由
たとえ空き事務所や空き店舗があっても、そのまま福祉事業に使えるとは限りません。
B型事業所は「人が集まる施設」に該当するため、建築基準法上の“用途変更”が必要になるケースがあります(建築基準法第87条)。
また、市街化調整区域では原則として新たな福祉施設の設置は認められないこともあります。
< 行政書士の視点>
「元工場」「元店舗」は、一見便利でも法的には要注意です。まず“この用途で使える建物か”を確認することから始まります。
③ 「場所」が決まらないと、計画が動かない
立地が決まらないと
・平面図(申請書類)
・避難経路図(消防届出)
・定員設定(面積基準)
すべてが止まってしまいます。
つまり、「どこでやるか」=「どんな事業になるか」を決める起点なんです。
<行政書士の視点>
実際の指定申請書類の半分以上は、建物と図面の情報から始まります。
④ 行政との“最初の会話”は立地から始まる
県や市の障害福祉課へ事前相談をすると、最初に聞かれるのは必ずこの質問です。
「どの場所で開設を予定していますか?」
なぜなら、立地条件によって行政の判断がまったく変わるからです。
| 立地の種類 | 行政の対応傾向 |
|---|---|
| 商業地域・準工業地域 | スムーズに進むことが多い |
| 第一種住居地域など住宅地 | 協議が必要、場合によっては制限あり |
| 市街化調整区域 | 原則不可(例外許可が必要) |
⑤ 立地調査で失敗しないための3つの鉄則
2,登記簿と建築図面を確認する(用途・構造・面積)
3,消防署に相談する(避難経路・防火区分)
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