<就労継続支援B型事業所(開設後手続き編)⑦>加算届と算定ルール<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型の制度を見ていくと、「加算」という仕組みがいくつも登場します。
報酬改定のたびに新しい加算が増えたり、算定要件が細かくなったり・・・
中には「名前は知っているけど、どう取ればいいのか分からない」という加算も多いのではないでしょうか。
今回は、“加算届”と“算定ルール”の基本を、行政書士の視点から整理してみます。
① 加算とは? ― ざっくり言えば“頑張りボーナス”
加算とは、国が定めた「特定の取り組みをしている事業所に上乗せ支給する報酬」のことです。
「頑張っているところには、ちゃんと報いる」という仕組みです。
| 分類 | 主な加算 | 内容 |
|---|---|---|
| 職員・体制系 | サービス提供体制加算、処遇改善加算、特定処遇改善加算 | 職員の配置・経験・資格に応じて加算 |
| 支援内容系 | 目標工賃達成指導員加算、生活支援体制加算 | 支援内容や利用者成果に応じて加算 |
| 事業運営系 | 福祉専門職配置加算、送迎加算、就労定着支援加算など | 体制整備・外部連携の充実度で評価 |
<行政書士の視点>
「加算」とは、行政的には“届出+要件充足+算定実績”の三位一体、届出を出しただけでは、1円も加算されません。
② 「届出」と「算定」は別モノ
ここが現場で最も誤解されやすいポイントです。
| 用語 | 意味 | タイミング |
|---|---|---|
| 届出 | 「うちの事業所はこの加算を取る予定です」と県に申請すること | 算定開始の1か月前まで |
| 算定 | 実際に要件を満たして請求すること | 毎月の給付費請求時 |
たとえば、
「4月からサービス提供体制加算Ⅱを取りたい」場合、3月中に届出を出しておく必要があります。
<行政書士の視点>
“届出=宣言”です。“算定=証拠”です。
どちらか片方だけでは加算は成立しません。
③ 「目標工賃達成指導員加算」は特に要注意
B型特有の加算で、人気も高いのがこれ
でも、要件が意外と細かい。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 職種 | 目標工賃達成指導員を専任で1名配置(常勤換算1.0) |
| 資格 | 必須資格なし(経験または能力でOK) |
| 兼務 | サビ管・職支・生支との兼務不可(他の職務と同時間帯NG) |
| 業務内容 | 工賃向上計画の策定・実施・営業活動など |
| 届出 | 1か月前に提出(変更時も再届出) |
④加算を「取る」から「活かす」
加算は“取る”ことが目的ではありません。
“取れる状態を維持して、支援の質と職員の安定をつくる”ためのものです。
<行政書士の視点>
加算を「報酬アップのため」だけでなく、「職員の定着・やりがい・チーム強化」に使うためのものですので戦略や計画が必要になってきます。
次回のブログはこちら→<就労継続支援B型事業所(開設後<運営スタート期>に関して)⑧>変更届の実務 <~行政書士が解説~>