<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)③>申請と手続き 分場設置届・体制届・運営規程変更の流れ<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
分場やサテライトの開設は、「新しい事業所を作る手続き」ではありません。
すでに指定を受けている就労継続支援B型事業所の一部として追加する届出です。
今回は、宮城県で実際に行う届出・変更手続きの流れを整理します。
① 手続きの全体像
分場・サテライトの開設は、「指定変更申請」ではなく、運営規程変更+分場設置届+体制届の提出で行います。
宮城県の届出フローはおおむね以下の順序です。
< 届出の流れ(全体図)>
1, 事前協議
↓
2,書類作成・添付資料整備
↓
3, 県または指定都市へ届出提出(2週間前までに受理)
↓
4,内容確認・補正対応(必要に応じ)
↓
5, 開設・運営開始(届出受理後)
② 提出先と時期
| 区分 | 提出先 | 提出時期 |
|---|---|---|
| 指定都市以外(例:石巻市・大崎市) | 宮城県障害福祉課(本庁または保健所経由) | 原則:開設の2週間前までに受理 |
| 指定都市(例:仙台市) | 各市の障害福祉担当課 | 同上 |
<行政書士の視点>
提出期限は“書類を出す日”ではなく、“行政が受理する日”基準です。書類の差し戻しがあるため、1か月前に相談・提出準備しておくのが安全です。
③ 提出する主な書類一覧
| 区分 | 書類名 | 内容・ポイント |
|---|---|---|
| 基本届出 | 分場設置届出書 | 新拠点の名称・所在地・面積・設備などを記載 |
| 運営規程変更届 | 分場の所在地・職員配置・支援内容を追記 | 「分場の運営も本体と一体である旨」を明記 |
| 体制届 | 職員変更・加算対象職員異動を届け出 | 新しい拠点に配置される職員を反映 |
| 添付資料 | 平面図・配置図・避難経路図 | 建物の用途・構造を明示(消防法・建築基準法対応) |
| その他 | 設備備品一覧表・職員配置表 | 宮城県公式様式を使用すること |
様式ダウンロード
宮城県 障害福祉サービス事業指定・届出関係様式
④ 行政とのやりとり(事前協議)
届出前に、必ず行政(県または市町村)の担当者と「事前協議」を行います。
<協議で確認される主な内容>
| 項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 建物 | 用途変更が必要か、消防・避難設備は適切か |
| 人員 | 常勤・非常勤の配置バランス、兼務職員の扱い |
| 定員 | 本体との合算定員が妥当か |
| 支援内容 | 生産活動・訓練内容・工賃支払いの一体性 |
| 記録管理 | 支援記録の共有方法、日報・勤務表の管理方法 |
< 行政書士の視点>
分場は「手続き」よりも「運営の一体性」が重視されます。形式的な届出だけでなく、現場体制を説明できる資料(図面・動線図・勤務シフト)を整えておくと協議がスムーズです。
⑤ 消防・用途変更の確認
宮城県では、建物を新たに使用する場合、都市計画法・建築基準法・消防法の確認が求められます。
| 区分 | 内容 | 担当機関 |
|---|---|---|
| 都市計画法 | 用途地域で福祉施設利用が可能か(43条協議) | 市町村の都市計画課 |
| 建築基準法 | 用途変更が必要か(建築基準法第87条) | 建築指導課 |
| 消防法 | 火災報知器・避難経路・消火器設置など | 消防署予防課 |
<注意点>
建物を「事務所」から「作業場」に変更する場合、延床200㎡を超えると用途変更申請が必要になることがあります。
⑥ 開設後の届出・確認事項
届出を行っても、開設後すぐに実地指導の対象になります。
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 職員体制 | 届出どおり配置されているか |
| 支援記録 | 分場と本体の記録が統一されているか |
| 利用契約書 | 利用者住所と通所先が一致しているか |
| 工賃台帳 | 本体と分場の集計方法が整理されているか |
| 消防・安全 | 消火器・避難経路表示が適正か |
次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(再構築・発展に関すること)④>運営開始後の注意点 <~行政書士が解説~>