<行政書士が解説・就労型のB型事業所②>工賃アップは目的ではなく仕組み
こんにちは、行政書士の大場です。
B型事業所の話になると、必ずと言っていいほど出てくるキーワード、それが「工賃アップ」です。
でも最近、いろんな資料を読んでいるうちに気づきました。
「工賃を上げるぞ!」と気合を入れるよりも、“工賃が上がる仕組み”を作るほうがずっと現実的なんです。
工賃は「結果」であって「目的」ではない
国(厚労省)の方針でも、「工賃向上」は“評価指標”であり、“目標”ではありません。
つまり、工賃を上げようと頑張ること自体が目的ではなく、働く仕組みや支援の仕方を見直した結果として工賃が上がるものだと思います。
工賃は“花”のようなものです。
いくら花びらを引っ張っても咲かない。
水をやり、土を整え、日が当たるようにして初めて花が開く、支援の仕組みも同じですね。
では、「仕組み」って何のこと?
調べていくと、工賃アップの“仕組み”には3つの要素があるとわかりました。
| 仕組みの柱 | 内容のイメージ |
|---|---|
| ① 仕事(生産活動) | 利用者が関われる作業の設計、商品や受注内容の見直し |
| ② 体制(チームづくり) | 支援員・利用者・外部連携の役割分担、動きやすさ |
| ③ 販路(売る仕組み) | 販売先の確保、営業・宣伝、リピート取引の仕組み |
この3つのうち、どれかが弱いと全体がうまく回りません。
だからこそ、“工賃アップ”は「やる気」ではなく「設計図」です。
“就労型B型”の仕組み
就労型B型では、職員と利用者がチームのように動きます。
外部協力者による販売・技術・営業支援です。誰かひとりが頑張るより、役割がはっきりしているチームほど工賃が安定して上がりやすい、これが就労型の特徴だと感じます。
成果を出している事業所の共通点
各地の成功事例を調べていると、こんな共通点がありました。
-
“得意”を活かした作業設計
→ 作業を一律にせず、利用者ごとに工程を調整 -
“見える数字”を共有
→ 月ごとに生産量・売上・工賃を職員も利用者も見える化 -
“失敗を責めない文化”
→ 作業ミスも「改善のきっかけ」として扱う -
“営業・発信の担当者”を置く
→ 地域や企業に仕事をつなぐ窓口をつくる
どの取り組みも、「頑張れ!」より「仕組みで回す」、この考え方が共通していました。
働く環境を整えることも仕組みの一部
次回のブログはコチラ⇒<行政書士が解説・就労型のB型事業所③>「仕事をつくる発想」