<行政書士が解説・居場所型のB型事業所⑦>令和9年度改定(2027年度)を見据えて
こんにちは、行政書士の大場です。
居場所型B型について調べていると、国(厚生労働省)が進めている次の報酬改定、つまり令和9年度(2027年度)の制度改定が、今後のB型事業所のあり方を大きく左右する節目になることが予想されます。
1. 制度の方向は「機能の整理」へ
厚労省の検討会資料では、就労系の障害福祉サービス全体について、次のように示されています。
「生産活動を中心とする支援と、日中活動を中心とする支援を明確に整理する。」
つまり、「働く支援」と「生活を支える支援」をこれまでよりはっきり分けていく方向が検討されているのです。
この流れから見ると、現在B型の中にある「居場所型」と「工賃向上型」が、将来的に別の制度や報酬体系に整理される可能性があると考えられます。
2. 居場所型B型が“なくなる”のではなく“形を変える”
一部では「居場所型がなくなるのでは?」という声もあります。
しかし、資料を読む限り、そうではありません。
むしろ国は、
「就労が難しい人にも、日中の居場所や社会参加の場を保障する」という方針を明確に示しています。
つまり、“居場所型”という形が消えるのではなく、日中活動支援型サービスや地域生活支援の新しい枠組みとして整理・再定義される可能性が高いのです。
3. 「どんな支援をしているのか」を言葉にする時代へ
制度が再編されるときに大切になるのは、「あなたの事業所はどんな支援をしているのか」を、きちんと説明できることです。
たとえば、
その特徴を明確にしておくと、制度が変わってもスムーズに移行できます。
行政に説明するときも、「通所継続」「生活改善」「社会参加」など、数値だけでなく“支援の目的”を言語化しておくことが大切です。
4. 今からできる3つの準備
次の3つです
| 準備すること | 内容 |
|---|---|
| ① 事業所の方向性を整理する | 「就労型」か「居場所型」か、主軸を明確にしておく |
| ② 記録・成果を見える化する | 出席率、交流の回数、生活リズムなど“非数値の成果”を残す |
| ③ 地域との関係を強める | 自治体・企業との連携を日常化しておく |
これらは、制度が変わっても事業所を守る“土台”になります。
5. 制度は変わっても、支援の本質は変わらない
制度改定のたびに「変わる」という不安がつきまといますが、実際には、国が目指している方向は一貫しています。
「誰もが地域で自分らしく暮らせるように支援する」
この基本は、居場所型にも就労型にも共通です。
大切なのは、制度の枠ではなく、“利用者が安心して通える場をどう守るか”という視点です。
居場所型B型は、これからの地域福祉にとって欠かせない存在であり、形を変えてもその役割は続いていくと思います。
次回のブログはコチラ⇒<行政書士が解説・就労型のB型事業所①>“働く力”を育てるB型事業所