<行政書士が解説・居場所型のB型事業所③>制度の中でどう位置づける
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型というと、「働く支援」というイメージが強いですよね。
でも、実は制度の中には“働くこと”だけではなく、日中活動や社会参加の場としての役割も含まれているんです。
今回は、その「居場所型B型」が制度上どう整理されているのかを、やさしく見ていきます。
B型の正式な定義は「働く場+生活を支える場」
国(厚生労働省)が示すB型の定義はこうです。
「生産活動その他の活動の機会の提供および就労に必要な知識・能力の向上のための支援を行う事業」
この“その他の活動”という部分がポイントです。
ここには、日中活動・社会参加・生活リズムの支援なども含まれています。
つまり、B型事業所は単に「働く場所」ではなく、“人が社会と関わりながら安心して過ごせる場所”でもあるんですね。
「居場所型」はB型の中のひとつの形
令和6年度(2024年度)の報酬改定では、厚労省が次のように述べています。
「就労継続支援B型事業所には、工賃向上を重視する事業所と、地域生活支援・居場所機能を重視する事業所がある。」
つまり、“居場所型”も正式にB型の一形態として認められているということです。
書類ではどう書けばいいの?
「じゃあ、運営規程や申請書には“居場所型”と書いていいの?」という疑問もあるかもしれません。
実は、“居場所型”という言葉は制度上の正式名称ではありません。
ですので、書類には次のように表現すると自然です。
「利用者の特性に応じた生産活動および日中活動の機会を提供し、社会参加と生活リズムの安定を支援する。」
この表現なら、行政にも伝わりやすく、「働く」と「通う」の両方を支援している姿勢が伝わります。
工賃向上計画書に書くときのコツ
居場所型のB型では、工賃金額よりも「通所・参加の継続」を重視します。
ですから、目標設定も次のように書くと良いでしょう。
| 目標の方向性 | 例文 |
|---|---|
| 通所機会の確保 | 「年間を通して出席率を70%以上に維持する」 |
| 生活リズムの安定 | 「午前中から活動に参加できる利用者を増やす」 |
| 社会参加の促進 | 「地域イベントへの参加機会を年間3回設ける」 |
“金額の数字”ではなく、“変化の方向性”を見える形にするのがよいでしょう。
制度のキーワードは「多様性」
それぞれに合った支援を続けることが、B型の本来の目的、居場所型のB型は、まさにその「多様性」を体現する形だと言えます。
次回のブログはコチラ⇒<行政書士が解説・居場所型のB型事業所④>工賃が低くても意味がある?