<行政書士が解説・居場所型のB型事業所①>働けない人”を排除しないために
本日から、この「居場所型のB型事業所」をテーマにしていきます。
ふと、疑問に思ったところがあります。
「居場所型って正式な制度なの?」「工賃が低いと指導されるのでは?」と、不安を感じている事業所も少なくありません。
結論から言えば、「居場所型のB型事業所」は制度上、確かに認められたB型の一形態です。
国(厚生労働省)も令和6年度の報酬改定で、「工賃向上を重視する事業所」と「地域生活・居場所機能を重視する事業所」の両立を明確に打ち出しています。
※居場所型とは正式の名称ではないようです
「働く」よりも「通う」ことに意味がある人たち
長年のひきこもり経験がある方、精神障がいの症状が安定しない方、高齢で体力が続かない方
作業や工賃よりも、「安心して過ごせる時間」「人とのつながり」「自分のペースで関われる場」を重視します。
制度の中でどう位置づけられているのか
就労継続支援B型は、「生産活動その他の活動の機会の提供および就労に必要な支援を行う事業」と障害者総合支援法で定義されています。この「その他の活動の機会」という文言がポイントです。
令和6年度の報酬改定でも、「多様な利用者のニーズに応じ、日中活動支援の場としての機能も重要」と明記され、“働けない人を排除しないB型”が正式に評価されるようになりました。
工賃が低くても、意味のある支援
「工賃が低いとダメなんじゃないか」と心配する声もあります。
確かに、国は工賃向上を政策目標に掲げています。
でもそれは、“働ける人の可能性を広げる”ための支援であり、“働けない人を切り捨てる”ための基準ではありません。
むしろ、出席率や生活リズムの安定、人との交流の回数など、“お金では測れない支援の成果”が居場所型B型の価値です。
これからのB型に求められる姿
今後のB型事業所には、「工賃向上型」と「居場所型」が共存することが求められます。
働く力を育てる場も、日中を安心して過ごせる場も、どちらも地域に必要な支援の形です。
“働けない人”を排除しないこと、それこそが、就労継続支援B型が地域福祉の中で果たすべき役割ではないでしょうか。
次回のブログはコチラ⇒<行政書士が解説・居場所型B型事業所②>作業よりも“通うこと”が支援になる?