<就労継続支援B型事業所(新規立上げ編)⑲>体制整備<~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
就労継続支援B型事業所の新規立ち上げのご相談を受けていると、開設準備の段階では「とにかく人を集めれば何とかなる」と考える法人が少なくありません。
しかし、利用者が増え、職員が増えていくと、「誰が」「何を」「どのように判断するのか」が曖昧なままでは、現場が混乱してしまいます。
その混乱を防ぎ、支援の質を安定させるために必要なのが、「体制整備」=“運営を仕組み化すること” です。
① 体制整備とは?
「誰が」「どのように」「どこまで」責任を持つかを明確にすることです。
など、見えないトラブルが増えていきます。
<行政書士の視点>
“体制整備”は、書類の整理ではなく“信頼を守る仕組みづくり”です。
明文化しておくことで、誰が入っても同じ支援が提供できます。
② 組織図をつくる
まず取り組みやすいのは、組織図(体制図)の作成です。
これがあるだけで、事業所全体の流れが一目で分かります。
組織図の基本構成(例)
理事長・代表者
↓
・ 管理者 ・サービス管理責任者(サビ管)・ 職業指導員 ・ 生活支援員 ・ 嘱託医・外部支援者
< 行政書士の視点>
組織図に“実際の氏名・勤務形態・兼務先”を明記しておくと、加算届や実地指導の際に、すぐに説明ができるようになります。
③ 会議体制の整備
| 会議名 | 主な目的 | 頻度の目安 |
|---|---|---|
| 全体会議 | 運営方針・行事・安全確認 | 月1回 |
| 個別支援会議 | 利用者支援内容の見直し | 3か月に1回 |
| 職員ミーティング | 日々の作業・工賃・課題共有 | 週1回 |
| 管理者・サビ管会議 | 加算届・帳票点検・改善方針 | 月1回 |
<行政書士の視点>
“会議録を残す”だけで、支援の見直しや改善が「根拠あるもの」になります。議題・日付・出席者・決定事項の4点を必ず記録しておきます。
④ 苦情・緊急時対応のルールづくり
利用者や家族からの苦情、事故や急病時の対応
これらは体制整備の有無で結果が変わる部分です。
| 整備項目 | 内容 | 書類の例 |
|---|---|---|
| 苦情対応体制 | 担当者・第三者委員・行政窓口を明示 | 苦情対応規程・掲示ポスター |
| 緊急時対応体制 | 事故・災害・感染症・急病対応 | 緊急時対応マニュアル |
| 報告体制 | 誰が・どこに・いつ報告するか | 事故報告書・報告フロー表 |
< 行政書士の視点>
「何か起きたときに誰が動くのか」それを迷わないための整備が、体制整備の本質です。
ルール化しておくと、管理者不在時でも対応が止まりません。
⑤ 外部連携体制 ― “地域で支える”仕組み
B型事業所は、単独で完結する支援ではありません。
外部支援者、医療機関・企業・学校・地域団体・行政など、外部との連携体制があることで支援が安定します。
< 行政書士の視点>
嘱託医契約書や連携協定書を整えておくと、「連携体制あり」として加算届や実地指導で評価されます。
⑥ 属人運営から仕組み運営へ
| 段階 | 状況 | 対応策 |
|---|---|---|
| 初期 | 管理者中心で動く | 組織図・会議体制を整える |
| 中期 | 職員が個別判断で対応 | マニュアルと報告ルールを設定 |
| 定着 | チームで支援を共有 | 定期点検・改善会議を継続運用 |
< 行政書士の視点>
「誰がいても変わらない支援」こそ、本当の安定運営です。
体制整備とは、“安心して引き継げる仕組み”を作ることです。
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