<就労継続支援B型事業所(新規開設編)③>都市計画法・建築基準法・消防法 <~行政書士が解説~>
こんにちは、行政書士の大場です。
今回はその中でも特に重要な3つの法律、都市計画法・建築基準法・消防法をわかりやすく整理してみましょう。
① 都市計画法 まず“どの区域”にあるかを見る
都市計画法は、「どこに何を建てていいか」を決める法律です。
同じ市内でも、エリアによって許可の考え方がまったく違います。
| 区分 | 内容 | 福祉施設の扱い |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 建物を建ててよい区域 | 原則OK(用途地域による制限あり) |
| 市街化調整区域 | 原則、建物を建ててはいけない区域 | 原則NG。例外許可が必要(都市計画法43条許可など) |
<行政書士の視点>
「市街化調整区域」は、行政との協議が必須です。
例外許可を取るためには、地域福祉ニーズや公益性を明確にする必要があります。
② 建築基準法 ― 建物が“人を受け入れられる構造”か
B型事業所は、一般的に「福祉施設等」に分類されるため、建築基準法上では“人が集まる用途”としての基準が適用されます。
つまり、以前「倉庫」「事務所」「店舗」として使われていた建物をそのまま利用する場合、用途変更(第87条)が必要になることがあります。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 元々が「住宅」や「倉庫」 | 用途変更が必要 |
| 元々が「福祉施設」や「事務所」 | 軽微な改修で済む場合あり |
| 延床面積200㎡を超える | 確認申請が必要になることが多い |
< 行政書士の視点>
「建物を改修したら済む」と思っても、“用途”が変わると法的には別の建物になります。
③ 消防法 の確認
消防法では、福祉施設は「防火対象物」に該当します。
開設前に消防署で「防火対象物使用開始届」の提出が必要になります。
<主な確認項目>
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 避難経路 | 出入口は2方向以上、スロープ幅は有効90cm以上が望ましい |
| 消火設備 | 消火器の設置数・場所・点検体制 |
| 火気設備 | 調理・暖房器具を使う場合の届出 |
| 防火管理者 | 延床面積300㎡以上または収容人数30人以上で選任義務あり |
< 行政書士の視点>
消防は「建物の安全確認」を最も重視します。
開設前に消防署へ平面図を持って相談すると、審査がスムーズに進みます。
④ 「3つの法律」はつながっている
| 法律 | 担当窓口 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 都市計画法 | 市町村の都市計画課 | 立地できる場所を決める |
| 建築基準法 | 建築指導課・建築士 | 建物の安全・構造を確認する |
| 消防法 | 消防署予防課 | 避難・防火の安全を確認する |
< 行政書士の視点>
「どこで」「どんな建物で」「どう使うか」この3つが揃って、はじめて“開設できる”という仕組みになっています。
⑤ 法的チェックの流れ(立地調査の実務ステップ)
1,都市計画図の確認(市の都市計画課)
2,登記簿・建築確認書類の入手(法務局・建築士経由)
3,消防署での事前相談(平面図持参)
4, 用途変更の必要性を建築士に確認
5,行政書士が法的整理・許可区分を確認
<行政書士の視点>
“物件契約の前”に立地調査を終えておくことが理想です。
借りたあとで使えない場合、修繕費だけで数十万円が無駄になります。
次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所(開設準備・指定申請<新規立上げ>)④>物件調査と周辺環境<~行政書士が解説~>