<就労継続支援B型事業所(再構築・発展編)⑧>運営のポイント <~行政書士が解説~>
こんにちは。行政書士の大場です。
多機能型への転換手続きが完了すると、「とりあえず開設はできたけど、その後の運営はどうすれば?」という段階に入ります。
実はここからが本番です。
今回は、多機能型運営の3つの要(職員体制・記録・加算)を整理してみます。
① 職員体制 「兼務」と「共通管理」をどう設計するか
多機能型の大きな特徴は、職員を兼務できることです。
たとえば、同じ管理者やサービス管理責任者がA型とB型、B型と生活介護を兼ねることが可能です。
ただし、“兼務できる”=“自由に配置できる”ではありません。
次のようなルールを押さえる必要があります。
| 区分 | 要件 | 留意点 |
|---|---|---|
| 管理者 | 同一建物・一体運営が前提 | 常勤換算の確保が必要 |
| サビ管(サービス管理責任者) | 同一敷地・利用者規模に応じた配置 | 両サービスの計画・記録が整合すること |
| 職業指導員・生活支援員 | 兼務可。ただし勤務時間配分を明記 | 勤務表・体制届の時間整合が必須 |
| 看護職員・機能訓練員 | 共通配置が可 | 健康管理体制がサービスをまたいで説明できること |
② 記録の一体化 ― 日報・支援記録を分けすぎない
多機能型では、記録管理が複雑になりがちです。
A型・B型・生活介護それぞれに日報を分けると、運営負担が大きくなります。
ポイントは「共通部分は一元管理、個別支援は区分管理」
| 区分 | 管理の考え方 |
|---|---|
| 出勤・出席記録 | 共通化(同一日報または勤務簿で管理) |
| 支援記録(個別計画) | サービスごとに記録(例:B型用・生活介護用) |
| ミーティング記録 | 一体運営会議として月1回以上実施 |
| 工賃台帳・生産活動記録 | 事業全体で一括管理(原資区分は分ける) |
<行政書士の視点>
実地指導では「記録の形式よりも、内容の一貫性」が重視されます。
記録を分けすぎると、サービスが独立している”と見なされることもあります。
③ 加算の一体化 算定要件のズレに注意
多機能型では、加算の算定が最もややこしい部分です。
共通職員を配置していても、加算上は“サービス単位”で算定されるため、届出内容が正確でないと返戻になります。
| 加算区分 | 管理上のポイント |
|---|---|
| 処遇改善加算/特定処遇改善加算 | 職員名簿・勤務時間・賃金台帳を共通管理 |
| サービス提供体制強化加算 | サービスごとに配置基準を満たしているか確認 |
| ベースアップ等支援加算 | 給与改善の配分ルールをサービスごとに説明できること |
| 生産活動活性化支援加算 | B型活動が生活介護と一体運営されているかを明記 |
| 就労定着・移行支援加算 | 一体的支援の記録が残っている |
④ 「一体的運営」を説明できるかが鍵
多機能型では、書類の整備よりも「運営の説明力」が問われます。
監査では、次のような質問をされることが多いです。
・利用者の支援記録は、どのように共有していますか?
・各サービスの職員が連携する仕組みを説明してください。
⑤ 開設後3か月で確認すべきチェックリスト
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 職員体制届 | 届出内容と勤務表が一致しているか |
| 運営規程 | 実際の運営に即した修正がされているか |
| 支援記録 | 共通項目と個別項目の整理ができているか |
| 加算届 | 算定対象職員・勤務時間の整合 |
| 会議記録 | 一体運営の記録(議題・決定事項) |
| 工賃台帳 | B型活動分を明確化できているか |
<行政書士の視点>
開設直後は“運営の軌道修正期間”です。
半年以内に「一体運営マニュアル」を整えると、次年度以降の監査対応が楽になります。
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