こんにちは、行政書士の大場です
異業種から就労継続支援B型事業所への参入を考えたとき、最初に必ず理解しておく必要があるのが 「就労継続支援B型という制度そのもの」 です。ここを曖昧なまま進めると、
・生産活動の設計
・人員配置
・工賃の考え方
・行政対応
すべてでズレが生じます。
就労継続支援B型は「福祉サービス」である
まず大前提として、就労継続支援B型は障害者総合支援法に基づく福祉サービス です。
飲食業・製造業・印刷業・IT業など、一般の事業とは出発点がまったく違います。
B型事業所は
ことを目的とした 障害福祉サービス事業 です。
つまり、利益を出す事業を行うこと自体が主目的ではありません。
A型・B型・就労移行との違い
異業種参入の方が混乱しやすいのが、「A型・B型・就労移行」の違いです。
簡単に整理すると、
・就労移行支援
→ 一般就労に向けた訓練が中心(原則2年)
・就労継続支援A型
→ 雇用契約あり(最低賃金の支払い義務)
・就労継続支援B型
→ 雇用契約なし(工賃支払い)
B型最大の特徴は、
「雇用契約を結ばない」 という点です。
「雇用契約を結ばない」とはどういうことか
ここは非常に重要です。
B型では、利用者と事業所の間に労働契約(雇用契約)は存在しません。
そのため、
・労働基準法は直接適用されない
・最低賃金の支払い義務はない
・出勤日数や作業量を一律に強制できない
という前提で運営する必要があります。
異業種出身者が「仕事なのだから、これくらいはできるはず」
という感覚で運営すると、制度上・運営上のトラブルにつながります。
B型事業所の収入構造
B型事業所の収入は、主に次の2つです。
1.障害福祉サービス報酬(給付費)
2.生産活動による収入
ここで重要なのは、生産活動収入がメインではない という点です。
多くの異業種参入者は、「生産活動で稼げば事業は安定する」と考えがちですが、
制度上の土台はあくまで 福祉サービス報酬 です。
生産活動は「工賃を支払うための原資」「利用者の就労機会をつくる手段」という位置づけになります。
利用者・事業所・行政の関係
B型事業所は、一般企業のように「お客様と会社」だけの関係ではありません。
・利用者
・事業所
・指定権者(市町村・都道府県)
この三者関係の中で成り立っています。
事業所は「利用者にサービスを提供する主体」であると同時に、「行政から指定を受けて運営している立場」でもあります。
そのため
・行政の指導
・実地調査
・書類の整合性
が非常に重視されます。
異業種参入者が最初にやるべきこと
異業種から参入する方にまず伝えたいのは次の点です。
・就労継続支援B型は「ビジネス」ではなく「制度事業」
・生産活動は主目的ではない
・雇用契約がないことの意味を理解する
・行政との関係を前提に運営を考える
これを理解したうえで、はじめて「どんな生産活動を行うか」を考える段階に進みます。
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