<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(物件選定編)⑬>物件選定・用途変更<仙台市版>
こんにちは、行政書士の大場です。
B型事業所を開所する際、もっとも重要なテーマが “物件選定” です。
そして、物件選定の裏側には必ず「用途判定(建築基準法の用途区分)」 が関わります。
・見た目が良い
・家賃が安い
・広さがちょうどいい
…だけで選ぶと、あとで必ず問題が発生します。
物件選びは「用途判定の可否」→「消防」→「設備基準」の順でチェックすることがもっとも重要です。
今回は“物件選定の判断基準+用途判定の正しい順序” をまとめていきます。
1. B型事業所にに向いている物件
物件候補が出てきたら、まずはこの3つをチェックします。
✔ ① 面積・レイアウトが適切か
・訓練・作業室
・相談室
・多目的室
・トイレ
・事務室
・廊下幅
特に訓練・作業室は「成人1人あたり 3.3㎡」 が仙台市の目安です。
例:利用定員20名なら
→ 66㎡程度が必要になります。
✔ ② 立地・アクセスは問題ないか
・最寄駅・バス停
・駐車場
・送迎の動線
・近隣クレームのリスク
B型事業所は地域住民との関係も重要です。
✔ ③ 建物の構造・築年数が用途判定に耐えられるか
・検査済証の有無
・鉄骨・鉄筋コンクリート造か
・床の耐荷重
・天井高
・配管・電気容量
ここが甘いと、あとで工事が高額になりがちです。
2. 用途判定とは?
物件を選ぶ前に必ず知っておくべきこと
建築基準法では、建物は “用途(使い方)” によって分類されているというルールがあります。
・事務所
・店舗
・工場
・学校
・住宅
・福祉施設(通所施設)
※就労継続支援B型事業所は一般的に「福祉施設(通所)」扱い。
つまり…事務所や店舗として使われていた物件がそのまま“B型の通所施設”として使えるとは限りません。
これが物件選びで最も誤解されやすい点です。
3. 用途変更が必要かどうかは、この順序で判断する
物件契約をする前に、必ず次の3ステップを踏みます。
STEP1|建物の“元々の用途”を確認する(最優先)
物件資料・登記簿に書かれている内容ではなく建築確認申請書 と 検査済証 で確認するのが原則です。
これらは、不動産会社ではなく行政(建築指導課)に保存されている正式資料 です。
<元の用途の目安>
・事務所 → 用途変更の可能性あり(要注意)
・店舗(物販・飲食) → 消防設備不足が多く慎重な判断が必要
・学校跡・公共施設跡 → 通所系は適合しやすい
・福祉施設(デイサービス等)跡 → 原則そのまま使用可能
※「元用途」が何であるかにより、用途変更の必要性・工事量が大きく変わります。
STEP2|用途変更の要否は “用途・構造・収容人数” の組み合わせ
建築基準法には「〇名を超えると用途変更が必須」という一律の基準はありません。
しかし実務では、“福祉用途として使用する場合、収容人数(利用者+職員)により避難・防火基準が変わるため、用途変更の判断材料になる”というのが正確です。
<判断材料となる項目>
・元の用途(STEP1)
・建物の構造(木造/鉄骨/RC)
・階数(1階か2階か)
・避難経路の確保状況
・収容人数(利用者+職員)
・消防設備の有無
仙台市では福祉施設(通所系)を設置する場合、25〜30名規模になると用途変更・増設工事が必要になる可能性があります。
あくまで行政判断になります。
STEP3|建築指導課・消防署へ“事前協議”
仙台市の新規指定申請では物件契約前に建築・消防の事前協議が実務上必須です。
<相談時に提出する主な資料>
平面図が必要になります。
4. B型事業所に向いている物件例
向いている物件
・福祉施設の居抜き
・医療系テナント(クリニック跡など)
・テナントビルの1階
・平屋の広い物件
・鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建物
向いていない物件
・住宅の1階(用途変更不可に近い)
・店舗跡(消防設備不足が多い)
・検査済証のない古い木造
・廊下幅が狭い物件
・駐車場が確保できない物件
次回のブログはコチラ⇒<新規開所の流れ>就労継続支援B型事業所(物件選定編)⑭>行政の事前相談前に見るべきポイント
2025年11月21日 19:24