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<就労継続支援B型事業所 基本報酬の考え方②>なぜ基本報酬は区分Ⅰ〜Ⅴに分かれているのか?

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こんにちは、行政書士の大場です。
前回は、基本報酬が“B型事業所の心臓部”である理由についてお話しました。

前回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所 基本報酬の考え方①>基本報酬とは何か?

今回はその続きとして、「なぜ基本報酬は区分Ⅰ〜Ⅴに分かれているのか?」というテーマを、制度の背景から分かりやすく解説します。
※本記事では正式名称の「サービス費」を 基本報酬 に統一して表記します。

 基本報酬の区分は“事業所の健康状態”を示す指標

まず、区分Ⅰ〜Ⅴは次のように位置づけられています。
・区分Ⅰ → 最も高い基本報酬(健全・強い事業所)
・区分Ⅴ → 最も低い基本報酬(改善が必要な事業所)

行政が区分を分けている理由は、B型事業所の“質の差”を明確にし、評価の高い事業所により高い報酬を支払うためです。

いわば、「事業所の健康診断結果」 のようなもの

 なぜ区分が必要なのか? ― 制度の根本的な考え方

区分制度が作られている背景には、3つの狙いがあります。

① 生産活動の質を“見える化”したい
これまでのB型は、
・工賃が高い事業所
・工賃が低い事業所
・生産活動が強い事業所
・生産活動が弱い事業所
すべてが同じ基本報酬でした。
しかし、それでは頑張って工賃を上げている事業所が報われないという課題がありました。
そこで、工賃が高い → 区分Ⅰ・Ⅱ → 高い基本報酬、工賃が低い → 区分Ⅳ・Ⅴ → 低い基本報酬という仕組みを作り、努力が報酬に反映される設計に変わりました。
 
② “働く場としてのB型事業所”を強化したい
B型事業所の目的は、単に作業を提供するだけではなく
・働く習慣をつける
・社会参加を広げる
・生活リズムを整える
・能力を伸ばす
といった役割があります。
そのため行政は、利用者がしっかり通える「働く場」を作れているか?を重視しています。
区分は、その“働く場の機能”を評価するものでもあるのです。
 
③ 法人の経営努力を促すため
生産活動が弱い事業所が、ずっと同じ報酬で運営できてしまう構造では
・職員の負担が増える
・生産活動が伸びない
・工賃も上がらない
という悪循環が続きます。
そこで、「努力すれば高い報酬を得られる」「改善しなければ報酬が下がる」という仕組みに変え、生産活動を強化するインセンティブ(動機) 制になっています。

 区分Ⅰ〜Ⅴは何を基準に決まるのか?

令和6年度改定で特に大きな要素になったのが✔ 平均工賃(月額)
B型事業所においては、この数値が最重要指標として扱われるようになりました。

簡単に言えば
・工賃が高いほど区分は上がる
・工賃が低いほど区分は下がるということです。

※細かくは他にも「利用者の通所状況」「支援体制」「活動時間」なども関係しますが、最大の軸は 平均工賃 です。

今後のB型事業所は「区分が運命を決める」時代へ

事業所の運営方針や収支の状態に大きな影響を与えます。
その基本報酬が区分によって上下する以上、区分を上げることが最大の経営戦略になりますというのは間違いありません。


そして区分を上げるために最も効果的なのが工賃アップと生産活動の強化です

区分表の抜粋(例:定員20人以下/平均工賃月額別)

(Ⅰ)
職員配置基準:6:1以上(新設) 
平均工賃月額/基本報酬単位数(定員20人以下)
・45,000円以上 → 837単位 
・35,000円以上~45,000円未満 → 805単位 
・30,000円以上~35,000円未満 → 758単位 
・25,000円以上~30,000円未満 → 738単位 
・20,000円以上~25,000円未満 → 726単位 
・15,000円以上~20,000円未満 → 703単位 
・10,000円以上~15,000円未満 → 673単位 
・10,000円未満 → 590単位 
(Ⅱ)
職員配置基準:7.5:1以上 
平均工賃月額/基本報酬単位数(定員20人以下)

・45,000円以上 → 748単位
・35,000円以上~45,000円未満 → 716単位
・30,000円以上~35,000円未満 → 669単位
・25,000円以上~30,000円未満 → 649単位
・20,000円以上~25,000円未満 → 637単位
・15,000円以上~20,000円未満 → 614単位
・10,000円以上~15,000円未満 → 584単位
・10,000円未満 → 537単位 

(Ⅲ)
職員配置基準:10:1以上 
平均工賃月額/基本報酬単位数(定員20人以下)

・45,000円以上 → 682単位 
・35,000円以上~45,000円未満 → 653単位
・30,000円以上~35,000円未満 → 611単位
・25,000円以上~30,000円未満 → 594単位
・20,000円以上~25,000円未満 → 572単位
・15,000円以上~20,000円未満 → 557単位
・10,000円以上~15,000円未満 → 532単位
・10,000円未満 → 490単位 

(Ⅳ)〜(Ⅵ)
「平均工賃月額を基準としない/利用者の就労・生産活動参加を評価する体系」 
(例:定員20人以下)
・区分Ⅳ:584単位
・区分Ⅴ:530単位
・区分Ⅵ:484単位 

 <利用時の注意点>

・定員数(20人以下、21〜40人、41〜60人等)によって単位数が変わります。 
・平均工賃月額の算定方法が改定されており、前年度の「支払工賃総額 ÷ 平均利用者数 ÷12月」で算出されるようになっています。 
・あくまで“定員20人以下”のケースを抜粋しており、実際の事業所では「定員規模+配置基準+地域加算」などで若干単位が異なることがあります。
・上記データは一般解説サイトがまとめたものなので、正式には 厚生労働省 公表資料「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」等をご確認ください。 厚生労働省


次回のブログはコチラ⇒<就労継続支援B型事業所 基本報酬の考え方③>基本報酬はなぜ「1日単位」で支払われるのか?

2025年11月13日 12:45