<就労継続支援B型事業所 基本報酬の考え方③>基本報酬はなぜ「1日単位」で支払われるのか?
こんにちは、行政書士の大場です。
第1回・第2回では、基本報酬の意味 と 区分Ⅰ〜Ⅴの意図 について触れてきました。
第1回・第2回では、基本報酬の意味 と 区分Ⅰ〜Ⅴの意図 について触れてきました。
今回はさらに一歩踏み込んで、「なぜB型事業所の基本報酬は“1日単位”で支払われるのか?」という制度の根本を見ていきます。
この仕組みを理解すると、「なぜ生産活動の強化が必要なのか?」「なぜ工賃が区分に影響するのか?」もすべて繋がります。
※本記事では正式名称の「サービス費」を 基本報酬 に統一して表記します。
1、B型事業所は“通所型サービス”
就労継続支援B型は「1日通所」=「1日の支援」という単位で設計されています。
利用者が事業所に来ることで
・作業・訓練
・生活支援
・健康管理
・相談支援
・記録作成
・個別支援計画に基づく支援
これら一連の支援を行うため、“その日の支援全体”に対して報酬が支払われます。
つまり、「今日1日、支援を提供しました」という成果に対して基本報酬が算定される。
これが根本的な仕組みです。
2、 利用者が来ない日は「支援が提供されていない日」
当たり前に思えるかもしれませんが、制度的には非常に重要です。
利用者が来ない日
・生産活動がない
・支援記録もない
・個別支援計画に基づく訓練も提供されていない
そのため、利用者が来なければ基本報酬はゼロという設計になっています。
3、だからこそ“利用者が来られる環境づくり”が大切
利用者の出席が安定するためには
・安心して通える雰囲気
・職員の安定した支援体制
・生活リズムを整える仕組み
・やりがいのある生産活動(作業)
これらが必要です。
特に生産活動は、利用者にとって“通う理由”そのものです。
・「今日も作業がある」
・「自分の力が役に立つ」
・「ここに来れば居場所がある」
こうした要素が揃うと、利用者の通所が安定し、事業所としても毎日の基本報酬を着実に積み上げられる ようになります。
4、制度の視点
これは厚生労働省がとても重視しているポイントです。
● 理由①:毎日の支援の積み重ねを評価したい
「1回の訓練よりも、継続した通所の方が利用者の力になる」という障害福祉の基本理念が背景にあります。
● 理由②:利用者の活動時間・参加状況を重視
B型事業所は「働く場」でもあるため、継続した参加 が評価される仕組みが必要であること。
● 理由③:安定した支援体制を維持してほしい
・毎日支援が提供され
・記録が残り
・職員配置が適切で
・利用者が参加している
この状態を1日単位で確認し、報酬に反映する仕組みです。
5、1日単位は“生産活動の安定性”と直結
ここが最も重要です。
<生産活動が弱い事業所>
・仕事が不定期
・利用者が参加できない日がある
・活動時間が短くなる
→ 通所が不安定 → 基本報酬も不安定
→ 通所が不安定 → 基本報酬も不安定
<生産活動が強い事業所>
・毎日仕事がある
・利用者が作業できる
・活動時間が安定
→ 通所が安定 → 基本報酬が安定
→ 通所が安定 → 基本報酬が安定
だからこそ、生産活動の充実=経営の安定という流れになります。
6、行政書士としての実感
現場を回っていると、本当に実感するのがこれです。
生産活動が安定している事業所は、利用者が“自然と来たくなる”ということです。
生産活動が安定している事業所は、利用者が“自然と来たくなる”ということです。
その結果として
・基本報酬が安定
・平均工賃も上がる
・上位区分も狙える
・収支も安定する
制度を理解すれば、“1日単位”という仕組みは単に事務処理の形式ではなく、B型事業所の役割そのものを評価する設計 だと分かります。
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2025年11月13日 14:00