<就労移行支援サービス費の考え方②>実績が出ない場合の報酬区分?
こんにちは、行政書士の大場です。
就労移行支援の指定を受けて半年、この時期に気になるのが、「報酬区分の扱い」です。
「6か月経過すると単価はどうなるのか」「まだ就職や定着の実績が出ていない場合はどう扱われるのか」
今回は、その仕組みと根拠を整理してみます。
開設から6か月間は“仮区分”
| 定員区分 | 単位数(仮区分) |
|---|---|
| 定員20人以下 | 879単位/日 |
| 定員21〜40人以下 | 743単位/日 |
6か月経過後は「自動的に報酬が更新」される
6か月経過後は、前年度・前々年度の「就職後6か月以上定着した利用者の割合(定着率)」をもとに、自治体が実績報告書を確認し、翌年度の報酬区分を判定します。
この「6か月経過後の報酬更新」は、原則として“過去2年度(前年度・前々年度)の定着率”をもとに判断されますが、開設1年目~2年目の事業所はどうなるのか疑問が出てきます。
以下で、厚労省通知と実務運用の流れを踏まえて整理します。
そのため、初年度(指定日から6か月経過するまで)は、全国一律で 「定着率3割以上4割未満」区分(仮区分) が適用されます。
| 定員 | 単位数 |
|---|---|
| 20人以下 | 879単位/日 |
| 21〜40人以下 | 743単位/日 |
この状態は、就職・定着の実績が出るまで継続されます。
この段階ではまだ「前々年度」は存在しないため、1年度分(前年度)の定着率のみで区分を判断します。
この段階で初めて、正式な「2年度平均の定着率」で報酬区分が確定します。
6か月経っても結果が出ない場合は?
半年経過時点でまだ「定着者がいない」場合、そのまま仮区分(定着率3〜4割未満)が継続されます。
報酬が下がることはなく、次の「年度実績報告」で初めて区分が見直されます。
つまり
「実績がない=ペナルティ」ではなく、「実績が出るまで仮区分を維持する」形になります。
ただし翌年度の実績で“自動的に減額”される場合も翌年度に提出する実績報告で、過去2年間の定着率が低い場合は、その結果に応じて翌年度の報酬単価が自動的に下がります。
| 定着率 | 定員20人以下 | 定員21〜40人以下 |
|---|---|---|
| 5割以上 | 1,210単位 | 1,055単位 |
| 4〜5割未満 | 1,020単位 | 881単位 |
| 3〜4割未満 | 879単位 | 743単位 |
| 2〜3割未満 | 719単位 | 649単位 |
| 1〜2割未満 | 569単位 | 524単位 |
| 0〜1割未満 | 519単位 | 466単位 |
| 0割 | 479単位 | 432単位 |
たとえば、
定員20人以下の事業所で定着率が「0〜1割未満」にとどまった場合、翌年度からの報酬単価は 519単位 に下がります。
根拠通知と制度設計の意図
→ 報酬は定着率に応じて段階的に設定。
→ 届出内容や体制について「事後確認を行う」旨を規定。
→ 「過去2年度の定着率で報酬を評価」と明記。
次回のブログはコチラ⇒<就労移行支援サービス費の考え方③>定着率の計算方法と実績報告