<就労移行支援サービス費の考え方①>就労移行支援サービス費とは
こんにちは、行政書士の大場です。
就労移行支援の現場では、「うちは何人就職させたか」という数字が話題になることがあります。
しかし、制度の根本を見てみると評価されるのは「何人就職したか」ではなく、“どれだけの人が働き続けているか” (継続性)です。
制度の背景
就労移行支援サービス費(基本報酬)は、厚生労働省告示(平成18年厚生労働省告示第523号)
および 令和6年度報酬改定(厚生労働省告示第57号) に基づいて算定されます。
この報酬制度の大きな特徴は、「就職後6か月以上、継続して働いている人の割合=定着率」によって段階的に報酬が変わる仕組みになっていいます。つまり、就労移行支援の目的が「就職支援」から「職場定着支援」へと明確にシフトしているのです。
報酬区分の基本構造
就労移行支援の基本報酬は、事業所の 定員規模(20人以下/21〜40人以下) と就職後6か月以上定着した利用者の割合(定着率) に応じて決まります。
【利用定員20人以下】
| 定着率 | 基本報酬単位(1日あたり) |
|---|---|
| 5割以上 | 1,210単位 |
| 4割以上〜5割未満 | 1,020単位 |
| 3割以上〜4割未満 | 879単位 |
| 2割以上〜3割未満 | 719単位 |
| 1割以上〜2割未満 | 569単位 |
| 0割超〜1割未満 | 519単位 |
| 0割 | 479単位 |
【利用定員21〜40人以下】
| 定着率 | 基本報酬単位(1日あたり) |
|---|---|
| 5割以上 | 1,055単位 |
| 4割以上〜5割未満 | 881単位 |
| 3割以上〜4割未満 | 743単位 |
| 2割以上〜3割未満 | 649単位 |
| 1割以上〜2割未満 | 524単位 |
| 0割超〜1割未満 | 466単位 |
| 0割 | 432単位 |
新規指定時の扱い
開設から6か月以内の事業所は、まだ就職・定着の実績がないため、「定着率3〜4割未満」区分(879単位または743単位) が適用されます。6か月が経過して実績が出始めると、自治体が前年度・前々年度の定着率を確認し、次年度から報酬区分を見直す 仕組みになっています。
この制度が伝えたいこと
この仕組みが意味しているのは、「支援のゴールは“就職”ではなく“職場での定着”である」という明確なメッセージです。
就労移行支援は、“働き続ける力”を育てる支援です。
その積み重ねこそが、報酬という形で評価されるよう設計されています。
次回のブログはコチラ⇒<就労移行支援サービス費の考え方②>実績が出ない場合の報酬区分?