B型事業所のよくある相談(制度手続き編)⑧<定員変更・従業員増減の届け出を忘れていた>

こんにちは。行政書士の大場です。
このシリーズでは、就労継続支援B型事業所でよくある「相談」を、わかりやすくお話します。
今回のテーマは
「定員を増やしたのに、届出を出してなかった…」です。
「もう利用者さん増えてるけど、届出って要るんですか?」
はい、要ります
就労継続支援B型事業所の運営では、利用定員や職員数を変更したときには、“変更届”を出す義務があります。
根拠:
障害者総合支援法 第29条・施行規則第52条
指定障害福祉サービス事業者は、
指定内容に変更があった場合、遅滞なく届け出なければならない。
どんなときに「変更届」が必要?
定員や人員の増減に関係する主なケースはこんな感じです。
変更内容 | 届出の要否 | 備考 |
---|---|---|
利用定員を変更(増員・減員) | 必要 | 定員を変えるときはレイアウト図なども添付 |
職員を増やした/減らした | 必要 | 職員体制一覧・勤務表を更新して提出 |
サービス管理責任者が交代した | 必要 | 経歴書・資格証の写しを添付 |
管理者が変わった | 必要 | 管理者経歴書・登記簿変更ありの場合も |
設備を拡張・移転した | 必要 | 図面・賃貸契約書写しなど添付 |
利用者が増えたが定員は変えていない | 状況による | 定員超過はNGです。増やすなら必ず変更届を出します。 |
「遅滞なく」っていつまで?
法律上は「遅滞なく」ですが、実務上はだいたい以下のタイミングで提出が必要です。
種類 | 提出の目安 |
---|---|
定員変更 | 変更日の前までに提出(許可が出てから実施) |
職員増減 | 変更があった日から10日以内(遅くとも1か月以内) |
特に定員変更は“届出”ではなく、事前協議が必要になるケースもあります。
たとえば宮城県の場合、定員を増やすときは「事前協議書」を出して審査を受け、OKが出てから正式に変更届を提出します。
よくある「忘れてたパターン」
「利用者さんがどんどん増えて、気づいたら定員オーバーでした…」
「職員を追加したけど、変更届って出すんでしたっけ?」
忙しい現場だと、気づかないまま半年経ってるなんてことも、でも行政の実地指導で聞かれます。
現在の人員体制表と指定時の職員数が違いますねって」この時に「届出済みです」と言えればOK。
忘れていると「報告漏れ」として指摘対象になります。
届け出を忘れたときの対応
手順は下記の通りです。
1,現在の職員体制・定員状況を整理
2,変更日を確認(いつから変わったか)
3,「変更届」と「変更後の書類」を提出
4,事後報告として説明(「遅延理由」を添える)
※ 提出先は、県または指定権者(政令市の場合は市)。
宮城県では「障害福祉課 指定担当」です。
提出書類の例(定員変更の場合)
書類名 | 内容 |
---|---|
変更届(様式第6号) | 定員や人員の変更内容を記載 |
平面図(変更後) | 作業室・相談室などの面積確認用 |
職員体制一覧表 | 新しい人員構成を反映 |
勤務表 | 常勤換算で基準を満たしているか確認用 |
定員変更理由書 | 利用者の増加や地域ニーズなどを記載 |
定員を増やすときの注意点
たとえば、作業室の面積は“利用者1人あたり3.0㎡以上”が必要(宮城県の場合)。
職員も定員増に合わせて増やす必要があります👇
利用者数 | 職員配置基準 |
---|---|
20人まで | 職業指導員・生活支援員 各1人以上 |
20人を超える場合 | 10人増えるごとに各1人ずつ追加が望ましい(実質指導基準) |
大場のひとこと
「書類出すのがちょっと後回しになっちゃって…」
次回のブログはコチラ⇒B型事業所のよくある相談(制度手続き編)⑨<法人登記住所と事業所住所が違う場合の扱い>