B型事業所のよくある相談(制度手続き編)⑦<兼業(多機能型・併設型)の扱いが難しい>

こんにちは。行政書士の大場です。
このシリーズでは、就労継続支援B型事業所の「よくある相談」を、できるだけ難しい言葉を使わずに、ちゃんと分かる”ようにお話しします。
今回のテーマは
「兼業(多機能型・併設型)」のお話です。
「兼業(多機能型・併設型)」のお話です。
「就労継続支援A型事業所と就労継続支援B型事業所、どっちのルールでやればいいの?」
「うちはA型とB型を一緒にやってるけど、書類はどう出すの?」
「生活介護とB型を同じ建物でやってるけど、共用できるの?」
同じ屋根の下でやってるのに、制度のルールが違うなんて…ややこしいですよね
でも、これをスッキリ整理しておくと、実地指導でも堂々と説明できるようになります。
まずは整理!「多機能型」と「併設型」の違い
これ、名前は似てますが中身は全然違います。
区分 | 多機能型 | 併設型 |
---|---|---|
事業所番号 | 1つ(共通) | サービスごとに別 |
指定通知書 | 1枚に複数サービス | サービスごとに別々 |
届出 | 1通でOK | 各サービスごとに提出 |
帳票管理 | 共通でも区分してOK | 完全に別にする必要あり |
職員 | 兼務OK(時間配分で調整) | 兼務OKだけど記録必須 |
国保連請求 | 1つの番号でまとめて | 番号ごとに別請求 |
多機能型とは
「午前はB型、午後はA型スタッフも同じ!」こういう運営スタイルが多機能型です。
ひとつの事業所番号で、複数の障害福祉サービスを“ひとまとめ”にして運営できます。
メリットは
・利用者のステップアップ(B型→A型)がしやすい
・職員を共用できる
・届出がシンプル
根拠:障害者総合支援法施行規則 第7条の2
併設型とは
「A型とB型は隣の部屋でやってるけど、番号が違う」
この場合は併設型です。
番号が違うということは、行政的には“別の事業所”扱い。
帳票も契約書も届出も、全部バラバラ、同じ建物でも別事業です。
職員の「兼務」はどこまでOK?
はい、ここでまたややこしいワードが出てきます。
「兼務」って、つまり“掛け持ちOK”という意味なんですが、誰でも何でも兼務できるわけじゃありません。
サビ管(サービス管理責任者)は兼務できません。
サビ管さんは専任配置がルール、いくら人手不足でも、「午前サビ管・午後職業支援員」はダメなんです。
サビ管は“全時間サビ管”です。
支援も書類も全部、専任です。
ここは絶対に注意です。
兼務できるのは「一般職員」
つまり、
・職業指導員
・生活支援員
・目標工賃達成指導員
このあたりの職員さんは兼務OKです。
このあたりの職員さんは兼務OKです。
たとえばこんな感じ
兼務パターン | OK? | ポイント |
---|---|---|
職業指導員+生活支援員 | OK | よくある組み合わせ |
A型の支援員+B型の支援員 | OK | 多機能型でも併設型でも可 |
サビ管+生活支援員 | NG | サビ管は専任配置 |
管理者+支援員 | 条件付き | 小規模ならOK(ただし記録を分ける) |
常勤換算ってなに?
「常勤換算」というのは、勤務時間の合計で1人分にカウントできるという考え方です。
午前4時間(A型)+午後4時間(B型)=1.0人分
職業指導員:0.5(20時間)
生活支援員:0.5(20時間)
→ 合計1.0人分としてカウントOK。
このように、
“週40時間分の勤務時間が確保されていれば”
2人で分け合っても、基準上は「1人配置」と見なされます。
ただし
サビ管や管理者にはこの考え方は使えません。
あくまで支援職(一般職員)限定です。
根拠:障害者総合支援法施行規則 第19条の2
設備・部屋の共用はできる?
多機能型ならOKです。
ただし、
「午前はB型が使って、午後はA型」
「この相談室は時間で切り替えて使う」
など、時間や用途で区分しておくのが条件です。
根拠:指定基準省令 別表第1の2
大場のひとこと
この「多機能型」「併設型」「兼務」
どれも最初は頭がこんがらがります。
どれも最初は頭がこんがらがります。
でも、ここを押さえておくと
・実地指導であたふたしない
・職員配置の整理がスムーズ
2025年10月11日 17:23