障害者総合支援法と就労継続支援B型事業所

行政書士の大場です。
障害者総合支援法の中でも、多くの方に身近な制度が「就労継続支援B型事業所」です。
就労継続支援B型事業所は「働きたいけれど、一般企業で雇用されるのは難しい」という方に、作業を通じて働く機会を提供する場です。
今回は、この就労支援B型の仕組みや特徴を解説します。
1. 就労継続支援B型事業所とは?
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障害者総合支援法に基づく「就労系サービス」のひとつ
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特徴は 雇用契約を結ばない こと
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利用者は「作業を行い、その成果に応じた工賃」を受け取る形式
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働くことを通じて、生活リズムの確立や社会参加を目指します。
2. 就労継続支援A型事業所との違い
●A型:事業所と雇用契約を結ぶ。最低賃金が保証される。
●B型:雇用契約は結ばず、作業分に応じた「工賃」を受け取る。利用者のペースを重視
→ B型は「体力や作業能力に不安がある」「段階的に社会参加したい」という方に向いている。
3. どんな作業があるのか
事業所によって多様ですが、代表的なものは次のとおりです。
・内職作業(封入・検品など)
・農作業(野菜づくり、花の栽培など)
・菓子・パン製造
・清掃・リサイクル作業
・印刷・軽作業
4. 利用の流れ(2024年10月以降)
1,市町村の障害福祉課で申請
利用希望者や家族が、市町村にサービス利用の申請を行います。
利用希望者や家族が、市町村にサービス利用の申請を行います。
2,アセスメント・相談支援専門員による聞き取り
生活の状況、就労経験、希望などをヒアリング。
ここで、本人の思いや「どんな支援が必要か」が整理されます。
生活の状況、就労経験、希望などをヒアリング。
ここで、本人の思いや「どんな支援が必要か」が整理されます。
3,サービス等利用計画の作成(選択的支援の導入)
2024年10月から、本人が「どのような支援を選ぶか」に重きを置いた 選択的支援 がスタート。
・どの事業所でどんな作業をしたいか2024年10月から、本人が「どのような支援を選ぶか」に重きを置いた 選択的支援 がスタート。
・就労か生活支援か、どのくらいのペースで通所したいか
→ 本人の希望を尊重した計画を立て、市町村に提出します。
4,支給決定
市町村が計画を審査し、利用できるサービスの種類・時間数などを決定します。
市町村が計画を審査し、利用できるサービスの種類・時間数などを決定します。
5,事業所と契約 → 通所開始
実際に事業所と契約を結び、作業に参加します。
実際に事業所と契約を結び、作業に参加します。
6,作業工賃を受け取りながら継続的に利用
作業を通して社会参加や生活リズムを整え、継続的に支援を受けます。
作業を通して社会参加や生活リズムを整え、継続的に支援を受けます。
5. 就労継続支援B型の意義と課題
●意義
・自分のペースで「働く」経験ができる・社会とつながりを持ち、居場所ができる
・将来のA型や一般就労へのステップになる場合も
●課題
・工賃が低い(全国平均は月額2万数千円)・事業所ごとに作業内容や環境の差が大きい
・運営には制度理解と継続的な工夫が不可欠
就労継続支援B型は、障害者総合支援法のなかで「働きたいけど今は雇用は難しい」という方に応える大切な制度です。
事業所の側から見れば、作業内容の工夫や販路開拓が利用者の工賃やモチベーションに直結します。
行政手続きは複雑ですが、その先には「利用者の自立と笑顔」を支える意義があります。
事業所の側から見れば、作業内容の工夫や販路開拓が利用者の工賃やモチベーションに直結します。
行政手続きは複雑ですが、その先には「利用者の自立と笑顔」を支える意義があります。
次回のブログはコチラ⇒就労継続支援B型のお金の仕組み①<基本の全体像>
2025年10月04日 17:06